#猫とマダニの危険な関係:SFTSから愛する家族を守る!関東初確認事例と対策 #六22 #医学史ざっくり解説

 

猫とマダニの危険な関係:SFTSから愛する家族を守る!関東初確認事例と対策

致死率3割の恐ろしい感染症、最新情報と予防の全て

本書の目的と構成

本書の目的

この本は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)という、近年日本国内で広がりを見せている感染症について、皆さんに正しく理解していただくことを目的にしています。SFTSは、主にマダニという小さな虫を介して感染し、人間だけでなく、私たちが可愛がる猫や犬といったペットにも大きな影響を与える、とても怖い病気です。特に、最近ではこれまであまり報告のなかった地域や、室内で暮らすペットでの感染事例も出てきており、私たちにとって決して他人事ではありません。

本書では、SFTSの基本的な知識から、最新の発生状況、診断方法、治療法、そして何よりも大切な予防策まで、分かりやすく丁寧にお伝えします。難しい専門用語は避け、誰にでも理解できるよう心がけました。SFTSに関する正確な情報を知ることは、あなた自身や大切なペット、そして周囲の人々を守るための第一歩となります。ぜひ、この一冊を通じて、SFTSへの正しい知識と向き合い方を身につけていただけたら嬉しいです。

本書の構成

本書は、SFTSという病気を多角的に理解するために、以下の四部構成でまとめています。

  1. 第一部 SFTSの基礎知識: SFTSとはどのような病気で、どのように感染するのか、ヒトや動物ではどのような症状が出るのかといった、病気の基本的な情報を解説します。
  2. 第二部 SFTSの現状と最新知見: 日本国内での発生状況や地域差、診断法や治療法の最新情報、そして注目の事例を深く掘り下げます。予防策についても具体的な方法を詳しくご紹介します。
  3. 補足資料: SFTSに関するより詳細な情報や、関連する他のマダニ媒介感染症などについて解説します。
  4. 巻末資料: 本書全体を通じて生じる疑問点、今後の研究課題、日本の状況におけるこの病気の位置づけなどをまとめ、最後に用語索引や参考資料を掲載します。

各章の終わりには、SFTSと向き合う現場でのエピソードや、読者の皆さんに寄り添うコラムを掲載しています。少し肩の力を抜いて、読み進めていただけたら幸いです。


要約

本書は、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)について、その定義、原因、症状、診断、治療、予防策、そして最新の疫学情報や具体的な事例を網羅的に解説しています。SFTSは、SFTSウイルスというウイルスによって引き起こされる、主にマダニを介した人獣共通感染症です。ヒトが感染すると、高熱血小板減少、消化器症状などが現れ、致死率は10%から30%と報告されています。

興味深いことに、猫や犬といったペットもSFTSウイルスに感染し、ヒトと同様、あるいはそれ以上に重症化しやすいことが分かっています。感染は主にマダニに刺されることですが、感染して発症した動物やヒトの血液、体液に触れることによる二次感染のリスクも存在します。特に、動物病院での獣医師や動物看護師、または自宅で病気のペットを看病する飼い主さんに注意が必要です。

SFTSに対する特効薬やワクチンは、まだ完全に確立されていません。しかし、日本では2024年6月に抗ウイルス薬であるファビピラビルがヒトのSFTS治療薬として承認され、治療の選択肢が広がりました。治療の中心は、現在も症状を和らげるための対症療法です。予防においては、何よりもマダニに刺されない、マダニをペットに付着させないための対策が最も重要となります。具体的な対策としては、マダニが多く生息する場所(草むら、山林など)に入る際の服装の工夫や、適切な虫除け剤の使用、そしてペットへの定期的なマダニ駆除薬の投与などが挙げられます。

最近注目されているのは、これまでSFTSの発生が比較的少なかった地域、例えば関東地方でもペットの感染事例が確認されたことです。特に、茨城県で報告された室内飼いの猫におけるSFTS陽性および死亡事例は、関東地方でのペット感染確認例としては初めてとみられており、大きな波紋を呼びました。この事例は、SFTSが地域的に拡大している可能性、そしてペットの感染リスクが、たとえ室内飼育であっても決してゼロではないことを強く示唆しています。この出来事は、日本全体でSFTSへの警戒レベルを引き上げ、より広範な地域での注意喚起と具体的な対策の強化が必要であることを浮き彫りにしています。

今後のSFTS対策には、ウイルスの地域的な分布やマダニのウイルス保有状況に関する詳細な調査、ペットにおけるSFTSの病態解明と治療法の確立、そしてより迅速かつ高精度な診断法の開発が不可欠です。また、動物とヒト双方の健康を守るための「ワンヘルス」の考え方に基づいた、医療機関と動物病院、そして行政機関の連携強化も重要な課題となっています。


登場人物紹介

SFTSという病気の物語を理解するために、関わる主要な「登場人物」たちをご紹介します。

  • SFTSウイルス (Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome Virus, SFTSV)

    この病気の元凶となる、フェヌイウイルス科バンダウイルス属に分類される一本鎖RNAウイルスです。非常に小さく、肉眼では見えません。主にマダニの体内で増殖し、動物やヒトに感染します。感染した生体内で様々な症状を引き起こします。

  • マダニ (Ticks)

    ダニ目に属する節足動物で、世界中に広く分布しています。SFTSウイルスの主要な運び屋(ベクター)です。草むらや山林などに生息し、動物やヒトに取り付いて血を吸います。この吸血の際にウイルスを媒介することがあります。様々な種類がいますが、日本ではフタトゲチマダニキチマダニがSFTSウイルスを媒介することが分かっています。

  • SFTSに感染したヒト (Human SFTS patients)

    マダニに刺されたり、感染した動物やヒトの血液などに触れたりしてSFTSウイルスに感染した人々です。発熱や血小板減少などの症状が現れ、重症化するリスクがあります。特に高齢者の方が多い傾向があります。

  • SFTSに感染した猫 (SFTS-infected cat, 茨城県の事例では1歳のメスネコ)

    マダニに刺されるなどしてSFTSウイルスに感染した猫です。発熱、食欲不振、黄疸などの重い症状を示すことが多く、残念ながら命を落とすケースも珍しくありません。今回の茨城県の事例では、1歳のメスネコが感染し、発症後短期間で死亡しました。

  • SFTSに感染した犬 (SFTS-infected dog)

    猫と同様にマダニを介してSFTSウイルスに感染することがあります。猫に比べて感染しても症状が出にくい場合や軽症の場合もあると言われますが、重症化するケースも報告されています。

  • 猫の飼い主 (Cat owner, 茨城県の事例の飼い主)

    SFTSに感染した猫と最も身近に接する人々です。ペットの異変に気づき、動物病院へ連れて行く役割を担います。感染したペットからの二次感染リスクもゼロではないため、注意が必要です。

  • 動物病院の獣医師、動物看護師 (Veterinarians, Veterinary technicians/nurses)

    SFTSに感染した可能性のある動物を診察・治療する専門家です。動物の症状からSFTSを疑い、適切な診断と治療を行います。また、感染動物の血液や体液に触れる機会が多いため、職業上、二次感染のリスクに最も曝されやすい存在であり、厳重な感染対策が必要です。

  • 茨城県の関係者 (Ibaraki Prefectural Officials)

    今回の猫のSFTS陽性事例を受けて、ウイルスの検査を行ったり、県内の獣医師や住民への注意喚起を行うなど、公衆衛生や動物衛生の観点から対応にあたる行政関係者です。

  • 厚生労働省 (Ministry of Health, Labour and Welfare, MHLW)

    日本のヒトの健康に関わる政府機関です。SFTSを感染症法に基づき管理し、全国の発生状況を把握・公表し、国民への注意喚起や医療機関向けの情報を発信しています。

  • 国立感染症研究所 (National Institute of Infectious Diseases, NIID)

    日本の感染症に関する研究機関です。SFTSウイルスの診断や遺伝子解析などの研究、疫学情報の収集・分析、技術的な助言を行っています。日本のSFTS研究の中心的な役割を担っています。

  • 感染症発生動向調査の関係者 (Members involved in the National Epidemiological Surveillance of Infectious Diseases)

    全国の医療機関から報告される感染症の情報を集計・分析し、公開している人々です。SFTSの国内の患者数の推移や発生地域などの疫学データを把握するために不可欠な役割を果たしています。

  • 獣医師会 (Veterinary Medical Association)

    都道府県や全国組織として、獣医師間の情報共有や研修、動物医療の向上に取り組んでいます。行政と連携し、SFTSのような動物の感染症に関する情報を獣医師に周知したり、対策を呼びかけたりします。


第一部 SFTSの基礎知識

第1章 SFTSとは何か?

1.1 病気の定義と発見

SFTS、それは突如として私たちの前に現れた、比較的新しい感染症です。正式名称は「重症熱性血小板減少症候群」(Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome)と言います。名前の通り、重い熱(高熱)が出て、血液中の血小板が著しく減少するのが特徴です。

この病気が初めて確認されたのは、2009年頃の中国です。当初は原因不明の熱性疾患として扱われていましたが、詳細な調査の結果、2011年に新しいウイルスが特定されました。これがSFTSウイルス(SFTSV)です。このウイルスは、これまでに知られていなかった新しいタイプのウイルスで、フェヌイウイルス科バンダウイルス属というグループに分類されています。その後、韓国でも患者が報告されるようになり、そして2013年には日本国内でも初めてSFTS患者が確認されました。

日本での最初の確認以来、主に西日本を中心に患者が報告され続けています。当初は野生動物やヒトへの感染が注目されていましたが、次第に犬や猫といったペットも感染することが分かり、さらに感染した動物からヒトへウイルスが伝播する事例も明らかになってきました。このように、SFTSは人間と動物のどちらにも感染しうる「人獣共通感染症」の一つとして、現在、大きな警戒が呼びかけられています。

1.2 原因ウイルス(SFTSウイルス)について

SFTSウイルス(SFTSV)は、非常に小さな病原体で、遺伝情報としてRNAという物質を持っています。このウイルスが、マダニという節足動物の体内で増殖し、そのマダニが動物やヒトを刺して血を吸う際に、唾液とともにウイルスを体内に送り込むことで感染が成立します。つまり、マダニがウイルスの「運び屋」となるわけです。

ウイルスは、感染した動物やヒトの体内で増殖し、特に血液中の細胞(白血球や血小板)や、肝臓などの臓器に影響を与えます。なぜSFTSウイルスが血小板を減少させるのか、その詳しいメカニズムはまだ完全に解明されていませんが、ウイルスの直接的な影響や、免疫反応の異常などが関係していると考えられています。

SFTSウイルスにはいくつかの異なる遺伝子型が存在することが知られており、地域によって流行しているウイルスの型が異なる場合もあります。これらの遺伝子型の違いが、病気の重症度や症状に影響を与えるのかどうかについても、今後の研究が待たれています。

【コラム:SFTSという名前のインパクト】

初めて「重症熱性血小板減少症候群」という名前を聞いたとき、その字面の強さに少し圧倒されました。「重症」「熱性」「血小板減少」と、聞くだけで病気の深刻さが伝わってきます。この病名が、私たちにSFTSがいかに注意すべき病気であるかを教えてくれているかのようですね。医療や獣医療の現場では、この病名を見ただけで、一連の検査や対策を頭の中でシミュレーションするそうです。病気の名前を知ることは、その病気を正しく理解し、向き合うための最初のステップなのかもしれません。


第2章 感染経路とマダニの役割

2.1 主な感染経路:マダニ刺咬

SFTSの最も典型的な感染経路は、ウイルスを持ったマダニに刺されることです。マダニは、私たちがイメージする「ダニ」よりもずっと大きく、成ダニは数ミリメートルにもなります。👇 こんな感じのイメージです(アスキーアートで表現)。

       _.-._
      / \_/ \
     |@.--.@|
     ( >=< )
      `-)-('
        / \
       / _ \
      |_| |_|
    

彼らは草むらや山林、畑、あぜ道など、比較的自然豊かな場所に生息しています。動物やヒトがこれらの場所を通る際に、マダニは服や体に付着し、皮膚に口器を突き刺して数日から長いと1週間以上も吸血を続けます。この吸血の過程で、マダニが持っているSFTSウイルスが体内に侵入し、感染が成立するのです。

マダニの活動が活発になるのは、主に春から秋にかけてです。この時期、山菜採りや農作業、レジャーなどで野外に出かける機会が増えるため、マダニに刺されるリスクが高まります。しかし、冬眠するわけではないので、暖かい日には冬でも活動することがあります。地域や気候によって活動時期は多少異なりますが、年間を通して注意が必要です。

2.2 SFTSを媒介するマダニの種類

日本国内には約50種類のマダニが生息していますが、これまでの研究から、SFTSウイルスを媒介する可能性が高いマダニとして、主にフタトゲチマダニキチマダニなどが挙げられています。これらのマダニは、日本全国の比較的広い範囲に分布しています。

フタトゲチマダニは、比較的大型で、牛や鹿などの大型動物や、イノシシ、野ウサギ、そしてもちろん犬や猫、ヒトからも吸血します。キチマダニはやや小型ですが、これも幅広い動物から吸血することが知られています。

マダニがSFTSウイルスを持つようになるのは、ウイルスに感染した動物(例えば、ウイルスを保有しているシカやイノシシ、あるいは感染した小動物など)から吸血する際や、親ダニから子ダニへとウイルスが受け継がれる(経卵感染や経期感染)ことによってです。つまり、野生動物とマダニ、そして人間やペットは、自然界の中で複雑なウイルスの循環を形成していると言えます。

2.3 ヒトからヒトへの感染(二次感染)リスク

SFTSの主な感染経路はマダニ刺咬ですが、SFTS患者の血液や体液(汗、唾液、尿、便など)に直接触れることによる、ヒトからヒトへの感染(二次感染)事例も、海外や日本国内で報告されています。特に、発症して重症化した患者の血液や体液には多量のウイルスが含まれている可能性があるため、注意が必要です。

二次感染は、主に医療機関で患者さんの処置にあたる医療従事者の方々の間で発生リスクが考えられます。点滴の針を刺す際に血液が飛散したり、痰の吸引、嘔吐物の処理など、患者さんの体液に接触する機会がある場面です。そのため、医療現場ではSFTS患者さんの対応にあたる際には、手袋、マスク、ゴーグル、ガウンなどの個人防護具(PPE)を適切に着用し、標準的な感染対策を徹底することが非常に重要です。

一方で、通常の社会生活において、感染者と同室にいるだけとか、軽く触れ合う程度の接触で感染するリスクは極めて低いと考えられています。

2.4 動物からヒトへの感染(二次感染)リスク

ヒトからヒトへの二次感染と同様に、SFTSに感染して発症した動物(特に猫や犬)の血液や体液に触れることによる、動物からヒトへの感染事例も報告されています。日本国内でも、SFTSを発症した猫の治療や看護を行った飼い主や獣医師が感染したと思われる事例が複数報告されています。

動物の場合も、重症化して体調が非常に悪い状態、例えば、元気がなくぐったりしている、下痢や嘔吐をしている、出血している、といった時には、体液中に多くのウイルスが含まれている可能性があります。このような体調の悪い動物のお世話をする際、具体的には、動物の体を拭いてあげたり、排泄物を処理したり、あるいは動物病院で採血や注射、点滴などの処置を行う際に、動物の血液や体液が傷口や粘膜(目、鼻、口)に触れることで感染するリスクが考えられます。

今回の茨城県の猫の事例でも、幸い飼い主さんや獣医師への感染は確認されませんでしたが、体調の悪い猫や犬を看病・診療する際には、ヒトの二次感染リスクに十分注意する必要があります。動物病院では、SFTSが疑われる動物の診察にあたる際には、医療従事者と同様に個人防護具(手袋、マスクなど)を着用し、細心の注意を払って処置を行います。飼い主さんも、自宅で病気のペットを看病する際には、手袋を着用したり、処置後はしっかりと手洗いをするなどの対策が推奨されます。

【コラム:見えない敵、マダニの恐怖】

私は以前、山間部の調査に参加した際に、マダニに刺された経験があります。長袖・長ズボン、帽子、手袋、靴下をしっかり着用し、虫除けスプレーもかけた「つもり」でした。ところが、帰宅してお風呂に入ろうと服を脱いだとき、二の腕に小さな黒い点が…!よく見ると、まさに皮膚に食い込んでいるマダニでした。すぐにピンセットで取りましたが、その小ささと、気づかなかったことへのゾッと感は忘れられません。幸いSFTSには感染しませんでしたが、この経験から、マダニ対策は「つもり」ではなく、徹底がどれほど重要かを痛感しました。特に、肌の露出をなくすこと、そして帰宅後の全身チェックは本当に欠かせませんね。


第3章 ヒトにおけるSFTSの症状と経過

3.1 潜伏期間と初期症状

SFTSウイルスを持ったマダニに刺されてから、実際に症状が現れるまでの期間を潜伏期間と呼びます。ヒトにおけるSFTSの潜伏期間は、通常、マダニに刺されてから6日から14日程度と考えられています。この期間は個人差があり、もう少し短いことも長いこともあります。

潜伏期間を過ぎて病気が発症すると、まず全身の倦怠感や筋肉痛、頭痛といった、風邪やインフルエンザに似た非特異的な症状が現れることが多いです。そして、SFTSの最も特徴的な初期症状の一つである高熱(38℃以上、しばしば40℃を超えることも)が出現します。同時に、吐き気(嘔気)、嘔吐、腹痛、下痢、食欲不振といった消化器症状も、多くの患者さんに見られます。

これらの初期症状だけでは、他の様々な感染症と区別することが難しいため、診断が遅れることがあります。特に、マダニに刺されたことに気づいていない場合や、刺された場所が分からなかった場合は、単なる体調不良として見過ごされてしまう可能性もあります。

3.2 主要な臨床症状(発熱、血小板減少など)

SFTSの症状は、初期段階から進行すると、さらに特徴的な臨床所見が現れます。血液検査を行うと、多くの患者さんで血小板数の著しい減少が見られます。血小板は、血液を固めるために必要な細胞成分なので、これが減少すると、出血しやすくなります。皮下出血(あざができやすい)、鼻血、歯茎からの出血、消化管からの出血(下血や吐血)といった出血傾向が見られることがあります。

また、血液中の白血球数も減少することが多いです。白血球は体を細菌やウイルスから守る免疫細胞の主力部隊ですので、白血球が減ると、体が病原体と戦う力が弱まってしまいます。肝臓の機能を示す数値(AST, ALT, LDHなど)も上昇し、肝臓にダメージが起きていることが分かります。重症例では、皮膚や白目が黄色くなる黄疸が見られることもあります。

その他、リンパ節の腫れ、筋肉痛や関節痛、意識障害やけいれんといった神経症状が現れることもあります。症状の程度は患者さんによって異なり、軽症で済む人もいれば、急速に重症化する人もいます。

3.3 重症化のリスクと合併症

SFTSに感染した全ての方が重症化するわけではありませんが、特に注意が必要な層が存在します。一般的に、高齢者の方や、糖尿病、腎臓病などの基礎疾患をお持ちの方、あるいは免疫抑制剤を使用しているなどで免疫力が低下している方は、SFTSが重症化しやすい傾向があります。

重症化すると、多臓器不全(肝臓、腎臓、心臓、肺など複数の臓器の機能が低下すること)、播種性血管内凝固症候群(DIC)(全身の血管内で血液が固まりやすくなり、同時に血小板などが消費されて出血も止まりにくくなる重篤な状態)、意識障害、脳炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。これらの合併症は、SFTSの予後を大きく左右し、残念ながら命に関わることもあります。

そのため、SFTSが疑われる症状が現れた場合は、特に高齢者の方や基礎疾患のある方は、速やかに医療機関を受診し、早期に診断と治療を開始することが非常に重要です。受診時には、最近野外活動をしたか、マダニに刺された心当たりがあるか、動物との接触があったか、といった情報を医師に伝えるようにしましょう。

3.4 致死率と予後

SFTSの致死率は、報告されている研究や地域によってばらつきがありますが、一般的に10%から30%と報告されています。日本の国立感染症研究所のデータによると、これまでの国内の確定患者さんにおける致死率は約27%と報告されています。この数字は、インフルエンザなどの一般的な感染症と比較するとかなり高い致死率であり、SFTSが軽視できない病気であることを示しています。

予後を左右する因子としては、年齢(高齢であること)、基礎疾患の有無、発症から診断・治療開始までの期間、そして病原体であるSFTSウイルスの量(ウイルス量)などが関連していると考えられています。早期に診断され、適切な支持療法(水分補給、電解質管理、輸血など)や、必要に応じて承認された抗ウイルス薬による治療が開始できれば、予後が改善する可能性が高まります。

生存できた場合でも、回復には時間がかかることがあり、全身倦怠感や筋力低下などの後遺症が残るケースも報告されています。SFTSは、たとえ命が助かっても、患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)に大きな影響を与える病気と言えます。

【コラム:風邪かな?と思ったら…】

「熱が出て、だるくて、お腹の調子が悪い…」。SFTSの初期症状は、私たちにとって身近な風邪や胃腸炎の症状と非常によく似ています。だからこそ、「これくらいなら大丈夫だろう」と自己判断で済ませてしまうと、SFTSのような見過ごしてはいけない病気の場合に、診断が遅れてしまうリスクがあります。特に、マダニの活動期に野外活動をした後や、体調の悪いペットと接した後に、こうした症状が出た場合は、単なる風邪と決めつけずに、医療機関を受診する際に「最近、山に行ったんです」「実はうちの猫が体調を崩していて…」などと、心当たりのある情報を医師に伝えることが非常に重要です。私たち自身の意識と、医師への正確な情報提供が、早期発見につながります。


第4章 動物におけるSFTS:特に猫と犬

4.1 なぜ動物もSFTSに感染するのか

SFTSは、もともと野生動物の間でウイルスが循環していると考えられています。例えば、シカやイノシシ、あるいはネズミなどの小型哺乳類がSFTSウイルスを保有しており、これらの動物から吸血したマダニがウイルスを運び、他の動物やヒトに感染させます。私たちが飼っている犬や猫といったペットも、外に出る際にマダニに刺される機会があるため、このウイルスの循環の中に巻き込まれてしまう可能性があります。

ペットの場合、主に外でマダニに刺されることでSFTSウイルスに感染すると考えられています。散歩中の犬、自由に屋外を行き来する猫などが、マダニの多い場所(草むら、庭、公園など)で刺されるリスクに曝されます。しかし、完全に室内で飼われているペットでも、飼い主さんが衣服や荷物、あるいは他のペットにマダニを付着させて家の中に持ち込んでしまう可能性はゼロではありません。今回の茨城県の猫の事例は、まさに室内飼育の猫が、短時間の脱走という機会で感染した可能性が指摘されており、ペットの感染リスクは意外と身近にあることを示しています。

4.2 猫におけるSFTSの症状と特徴

SFTSに感染した猫は、ヒトと同様、あるいはそれ以上に重い症状を示すことが多いです。猫におけるSFTSの主要な症状は、以下のようなものです。

これらの症状は急速に進行することが多く、診断が遅れると、残念ながら短期間で命を落としてしまうケースが少なくありません。血液検査では、ヒトと同様に白血球数血小板数の著しい減少、肝臓や腎臓の機能を示す数値の異常が見られることが特徴的です。猫の場合、特に黄疸や出血傾向が見られると、重症化しているサインと考えられます。

猫のSFTSは、他の感染症(猫伝染性腹膜炎FIP、猫白血病ウイルス感染症FeLV、猫免疫不全ウイルス感染症FIVなど)や、中毒、臓器不全など、似たような症状を示す様々な病気と区別が難しいため、診断にはSFTSを疑うことが重要です。

4.3 犬におけるSFTSの症状と特徴

犬もSFTSウイルスに感染しますが、猫に比べると、感染しても症状が出ない(不顕性感染)か、症状が比較的軽い場合が多いと言われています。しかし、猫と同様に重症化するケースも報告されており、特に高齢犬や免疫力の低下した犬では注意が必要です。

犬でSFTSが発症した場合に見られる主な症状は、以下の通りです。

猫で見られるような顕著な黄疸や出血傾向は、犬では比較的少ないとされています。血液検査では、やはり白血球数血小板数の減少が見られることがあります。犬のSFTSについても、ヒトや猫と同様、他の病気との鑑別が重要です。

4.4 動物におけるSFTSの予後

動物におけるSFTSの予後は、感染した動物の種類や年齢、基礎疾患、そして発症後の経過によって大きく異なります。特に猫の場合、感染が確認されると短期間で重症化し、残念ながら死亡するケースが非常に多いと報告されています。正確な致死率は動物種別に集計されたデータはまだ限られていますが、「命を落とすケースが少なくない」という表現からもその深刻さが伺えます。

犬の場合は、猫に比べて不顕性感染や軽症例が多いとはいえ、発熱や元気消失といった症状が現れた場合は、油断せず獣医師の診察を受けることが大切です。重症化した犬も、残念ながら死亡することがあります。

動物におけるSFTSも、早期に異常に気づき、動物病院で診断・治療を開始できるかが予後を左右する重要な鍵となります。日頃からペットの様子をよく観察し、少しでも異変があれば「いつものことかな?」と軽く考えず、早めに獣医師に相談することが、愛する家族を守るために最も重要な行動と言えるでしょう。

【コラム:獣医師の葛藤】

私が以前勤めていた動物病院で、SFTSが強く疑われる猫ちゃんが運び込まれてきたことがありました。高熱、黄疸、ぐったりしていて、血液検査の数値も絶望的な状態。ベテランの先生も、厳しい表情で「これはSFTSかもしれない…」と呟きました。マダニ対策をしていた、大切に室内で飼われていた子でした。飼い主さんは泣き崩れていて、こちらも胸が締め付けられる思いでした。残念ながら、その子を救うことはできませんでした。獣医療の現場では、SFTSのように有効な治療法が限られていて、進行が早く、命に関わる病気に直面することがあります。そのたびに、もっと早く診断できていたら、もっと何かできる治療法があったら…と、悔しい思いをします。今回の茨城の事例を聞いて、再び同じような思いが込み上げましたが、同時に、この事例が多くの人にSFTSの危険性を知らせ、対策を促すきっかけになることを願わずにはいられませんでした。


第二部 SFTSの現状と最新知見

第5章 SFTSの診断法

5.1 臨床診断と血液検査

SFTSが疑われる患者さんや動物が病院に来た場合、まず医師や獣医師は、詳しい問診を行います。最近、マダニが多くいそうな場所(草むら、山林、庭など)に行ったか、マダニに刺された心当たりがあるか、あるいは体調の悪い動物(特に猫や犬)と接触したか、といった情報を詳しく聞きます。次に、発熱や全身倦怠感、消化器症状など、SFTSでよく見られる臨床症状が現れていないかを確認します。

これらの問診と身体検査でSFTSが疑われる場合、次に重要なのが血液検査です。SFTSの患者さんや動物では、特徴的に血小板数白血球数が減少していることが多いからです。血小板数は通常、10万/µL(マイクロリットル)未満に、白血球数は4000/µL未満に減少することが診断の手がかりとなります。また、肝臓の機能を示すAST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、LDH(乳酸脱水素酵素)といった酵素の数値が上昇していることも、SFTSを疑う重要な所見です。

これらの血液検査の所見は、他の感染症や病気でも見られることがあるため、血液検査の結果だけでSFTSと確定診断することはできません。しかし、臨床症状と合わせて総合的に判断することで、SFTSの可能性を強く疑い、次の段階の検査に進むかどうかの判断材料となります。

5.2 SFTSウイルスの検出(PCR検査)

SFTSの確定診断には、体内にSFTSウイルスが存在することを直接証明する検査が必要です。現在、最も広く行われている確定診断法の一つがPCR検査(Polymerase Chain Reaction:ポリメラーゼ連鎖反応)です。PCR検査は、検体(血液、血清、尿、喉のぬぐい液など)の中に含まれるSFTSウイルスの遺伝子(RNA)を、試験管の中で大量にコピーして増幅し、検出する方法です。ウイルスの遺伝子が検出されれば、SFTSウイルスに感染していることが確定します。

PCR検査は、病気の初期段階、つまりウイルスが体内で活発に増殖している時期に陽性になりやすいという特徴があります。発熱などの症状が出始めた頃に検体を採取して検査することで、比較的早期に診断を下すことが可能です。ただし、検体の種類や採取するタイミングによっては、ウイルス量が少なく検出されない場合もあります。検査は専門的な設備が必要なため、一般の医療機関や動物病院で行われるのではなく、都道府県の衛生研究所や大学、専門機関などに検体を送って実施されます。結果が出るまでに数日かかる場合が多いです。

5.3 血清抗体検査

もう一つのSFTSの確定診断法として、血清抗体検査があります。この検査は、SFTSウイルスに感染した体の免疫システムが作り出す「抗体」を、血液(血清)中から検出する方法です。SFTSウイルスに対する抗体が検出されれば、過去または現在の感染を示唆します。

抗体は、ウイルスに感染してすぐには作られません。症状が現れてから数日〜1週間程度経過してから、徐々に血液中に出現してきます。そのため、病気の初期段階では抗体検査が陰性になることがあります。診断をより確実にするためには、発症初期と回復期など、時期をずらして複数回検査を行い、抗体価(抗体の量)の上昇を確認する「ペア血清検査」を行うこともあります。また、病気の回復期にはウイルスが体から排除されてPCR検査が陰性になっていても、過去に感染したことの証明として抗体検査が有用です。

PCR検査と血清抗体検査は、それぞれ検出できる時期が異なるため、組み合わせて行うことで、より確実な診断につなげることができます。特に、症状が出てから時間が経過している場合には、抗体検査が重要な診断手段となります。

5.4 診断における課題

SFTSの診断にはいくつかの課題があります。まず、前述のように初期症状が他の病気と似ているため、SFTSを疑うきっかけがないと診断が進まないことです。特に、マダニ刺咬や動物との接触歴がない、あるいは気づいていない場合は、診断が遅れるリスクが高まります。

次に、確定診断に必要なPCR検査や抗体検査が、全ての医療機関や動物病院で迅速に行えるわけではないことです。検体を外部の検査機関に送る必要があるため、結果が出るまでに時間がかかり、その間に病状が進行してしまう可能性があります。特に動物の場合、病状の進行が早いことが多く、診断が遅れることが予後に大きく影響する場合があります。

迅速な診断キットの開発は進められていますが、まだ広く普及している状況ではありません。現場の医師や獣医師がSFTSを意識し、疑わしい症例では積極的に検査を依頼することが、診断率を高める上で非常に重要となります。

【コラム:動物病院での診断の難しさ】

動物は人間のように「ここが痛い」「熱がある」と明確に訴えることができません。飼い主さんが気づけるのは、「いつもより元気がない」「ご飯を食べない」「吐いている」といった、かなり漠然とした変化が多いです。これらの症状は、SFTSだけでなく、本当に多くの病気で共通して見られます。だからこそ、獣医師は限られた情報と検査結果から、様々な可能性を考えなければなりません。問診で「最近、草むらに入りましたか?」「マダニを見かけませんでしたか?」と詳しく聞くのは、SFTSのような特殊な感染症の可能性を見逃さないためなんです。飼い主さんからの些細な情報でも、診断の手がかりになることがたくさんあります。だから、動物病院ではどんな小さなことでも遠慮なく伝えていただけると、私たち獣医師はとても助かります。


第6章 SFTSの治療法

6.1 現在利用可能な治療法(対症療法)

SFTSに対する特効薬は、長らく存在しませんでした。そのため、治療の中心は、現れている症状を和らげ、体がウイルスと戦い回復するためのサポートを行う対症療法でした。

具体的には、発熱に対しては解熱剤を使用したり、脱水症状を防ぐために輸液療法を行って水分や電解質のバランスを整えたりします。嘔吐や下痢がひどい場合には、吐き気止めや下痢止めを使用することもあります。血小板減少出血傾向が見られる場合には、輸血(血小板や血液製剤)を行うこともあります。また、白血球減少により体が細菌に感染しやすくなるため、二次的な細菌感染を予防したり治療したりするために抗菌薬(抗生物質)を使用する場合もあります。ただし、抗菌薬はウイルスには効きません。

これらの対症療法は、患者さんの生命を維持し、免疫システムがウイルスを排除するまでの時間を稼ぐために非常に重要です。病状が重い場合には、集中治療室(ICU)での厳重な全身管理が必要となります。

6.2 抗ウイルス薬「ファビピラビル」の承認と使用

SFTSに対する待望の新たな治療選択肢として、日本国内で2024年6月に、抗ウイルス薬であるファビピラビルがヒトのSFTS治療薬として正式に承認されました。ファビピラビルは、ウイルスの遺伝情報が増えるのを阻害する作用を持つ薬です。もともとインフルエンザ治療薬として開発され、他のウイルス感染症への効果も期待されていました。

これまでの研究や臨床現場での使用経験から、ファビピラビルがSFTSウイルスに対しても効果を示す可能性が示唆されていました。今回の承認により、特に病状が進行しているSFTS患者さんや、重症化するリスクが高いと判断される患者さんに対して、ファビピラビルを使用することが可能になりました。これにより、ウイルスの増殖を抑え、病気の進行を食い止め、予後を改善することが期待されています。

ただし、ファビピラビルの効果や安全性については、引き続き臨床現場での使用経験やさらなる研究によって、より詳しい知見が集められていく段階です。全てのSFTS患者さんに有効であるとは限りませんし、副作用のリスクも考慮する必要があります。医師が患者さんの状態を慎重に判断した上で、使用が検討されます。

6.3 重症例に対する治療

SFTSが重症化し、多臓器不全や播種性血管内凝固症候群(DIC)といった重篤な合併症を伴う場合には、より専門的な治療が必要です。集中治療室(ICU)に収容し、人工呼吸器による呼吸管理、循環を維持するための昇圧剤の使用、腎臓の機能が低下した場合には人工透析など、集中的な全身管理が行われます。

DICに対しては、抗凝固療法(血液を固まりにくくする治療)や、血小板、凝固因子といった血液成分の補充療法が行われます。これらの治療は、病態が非常に複雑で予断を許さない状況の中で行われ、医療スタッフによる密なモニタリングと迅速な対応が不可欠です。

ファビピラビルの承認により、重症例に対する治療の選択肢が増えましたが、SFTSは依然として非常に重篤な経過をたどる可能性のある病気であり、重症化させないための早期診断・早期治療、そして何よりも予防が重要であることには変わりありません。

6.4 動物における治療の現状

動物(特に猫や犬)におけるSFTSの治療法も、ヒトと同様に、症状を和らげるための対症療法が中心となります。輸液療法による脱水補正、制吐剤や止痢剤による消化器症状の管理、栄養補給、そして重度の貧血や血小板減少が見られる場合の輸血などが行われます。

動物における抗ウイルス薬の使用については、ヒトで使用されるファビピラビルや他の抗ウイルス薬の動物での有効性や安全性に関するデータはまだ限られています。研究レベルや一部の臨床現場で試みられている可能性はありますが、ヒトのように動物用として正式に承認された抗ウイルス薬はありません。そのため、動物におけるSFTSの治療は、症状を抑え、体力を維持し、動物自身の回復力を高めるための集中的な支持療法に頼らざるを得ない状況です。

動物の場合、症状の進行が早く、飼い主さんが異変に気づいてから動物病院を受診するまでの間に病状がかなり進んでしまうこともあります。有効な治療法が限られていることもあり、猫でSFTSが確定診断された場合の予後は非常に厳しいのが現状です。だからこそ、動物におけるSFTSにおいては、治療以上に「いかに感染させないか」という予防の重要性がより一層強調されます。

【コラム:希望の光、ファビピラビル】

SFTSの治療現場では、これまで有効な特効薬がない中で、対症療法に頼るしかありませんでした。患者さんの苦痛を和らげ、体力の消耗を最小限に抑えながら、回復を祈る日々。特に重症の患者さんを前にすると、医療者として無力感を感じることも正直ありました。そんな中で、ファビピルビルがSFTS治療薬として承認されたというニュースは、まさに希望の光でした。全ての患者さんに劇的に効くわけではないかもしれませんし、慎重な使用が必要ですが、それでも病原体そのものにアプローチできる薬剤がある、という事実は、現場の士気を高めます。今後、この薬の使用経験が蓄積され、より多くのSFTS患者さんの命を救うことにつながることを切に願っています。同時に、動物用の治療薬開発も進んでほしいと願わずにはいられません。


第7章 SFTSの予防と対策

7.1 マダニ刺咬を防ぐための服装と行動

SFTSの予防において、最も重要かつ効果的なのは、原因となるマダニに刺されないことです。マダニは主に草むらや山林、畑などに生息していますので、これらの場所に入る際には、以下の点に注意して服装を選び、行動しましょう。

  • 長袖・長ズボンを着用する: 肌の露出をできるだけなくすことが基本です。シャツの裾はズボンの中に、ズボンの裾は靴下や長靴の中に入れるようにしましょう。
  • 明るい色の服を選ぶ: 明るい色の服は、服にマダニが付着しても見つけやすいため推奨されます。
  • 帽子や手袋を着用する: 頭や手もマダニの標的になります。特に草木に触れる作業をする際は必ず着用しましょう。
  • サンダルや素足での立ち入りを避ける: 足元からマダニが付着することが多いため、靴をしっかり履きましょう。
  • 草むらや藪を避けて歩く: 可能な限り、舗装された道や刈り払われた場所を選んで歩くようにしましょう。
  • 長時間同じ場所に座り込んだり寝転がったりしない: マダニが取り付く機会を与えないようにしましょう。

野外活動から帰宅した際は、すぐに服を脱いで、マダニが付着していないか全身をチェックしましょう。特に、耳の後ろ、首筋、脇の下、足の付け根、ひざの裏など、皮膚の柔らかい部分や隠れた場所は念入りに確認してください。服に付着したマダニは、家の外で払い落とすようにしましょう。シャワーや入浴で体を洗い流すことも効果的です。

7.2 効果的な虫除け剤の使用法

マダニ対策として、虫除け剤(忌避剤)を使用することも有効です。虫除け剤には様々な成分がありますが、マダニに対して効果が確認されている主な成分は、DEET(ディート)イカリジンです。これらの成分を含む虫除け剤を、露出している皮膚や服の上に適切に塗布または噴霧することで、マダニが寄り付きにくくなります。

虫除け剤を使用する際は、製品に記載されている使用方法や注意事項をよく読んで、正しく使いましょう。特に、子供に使用する場合は、年齢制限や使用回数などの指示を守ってください。顔に塗る際は、直接スプレーせず、一度手に取ってから塗るようにしましょう。また、汗で流れ落ちたり、効果が持続する時間が決まっていたりするため、必要に応じて塗り直しを行うことも大切です。

ただし、虫除け剤はあくまでマダニが「寄り付きにくくする」ものであり、完全に刺咬を防げるわけではありません。服装による対策と併用することで、より高い予防効果が期待できます。

7.3 ペットのためのマダニ対策(駆除薬など)

SFTSはペットも感染する病気であり、さらにペットを介してヒトに感染するリスクも存在するため、ペットのマダニ対策は非常に重要です。特に、犬や猫を屋外に出す機会がある飼い主さんは、必ず定期的なマダニ対策を行いましょう。室内飼いのペットでも、飼い主さんが外からマダニを持ち込む可能性はありますので、対策を検討することをお勧めします。

ペットのマダニ対策には、様々な種類のマダニ駆除薬があります。スポットタイプ(首筋に滴下する)、チュアブルタイプ(食べるタイプ)、首輪タイプなど、種類や効果の持続期間が異なります。これらの駆除薬は、動物病院で処方されるものが、効果や安全性が確認されており、信頼できます。動物病院で、ペットの種類、年齢、健康状態、生活環境などに合った最適な駆除薬について相談し、獣医師の指示に従って、定期的に投与することが重要です。

駆除薬を使用する以外にも、散歩から帰った後にペットの体をよくブラッシングし、マダニが付着していないかチェックすることや、マダニを見つけたら無理に引き抜かず、動物病院で除去してもらうといった注意が必要です。無理に引き抜くとマダニの口器が皮膚の中に残ってしまったり、マダニが唾液を逆流させてウイルスを注入したりするリスクがあるためです。

7.4 室内でのマダニ対策

「うちは室内飼いだから大丈夫」と思っていませんか?残念ながら、室内飼いのペットでもマダニに感染するリスクはゼロではありません。飼い主さんが外から衣服や靴、荷物などにマダニを付けて持ち込んでしまう可能性、あるいは他のペットが持ち込んだマダニが屋内に潜む可能性などが考えられます。

室内でのマダニ対策としては、以下のような点に注意しましょう。

  • 外出から帰宅したら: 服を家の外でよく払い、すぐに着替える。コートなどにはマダニが付着している可能性があるので、屋内に持ち込む前に確認する。
  • 玄関マットを清潔に保つ: 外から持ち込まれたマダニが付着しやすい場所です。定期的に掃除機をかけたり、洗ったりしましょう。
  • ペットがよく過ごす場所を清潔に保つ: 定期的に掃除機をかけ、ペットが使用するベッドやマットなども清潔に保ちましょう。
  • 室内用のダニ対策グッズの検討: ペットへの定期的な駆除薬投与を基本としつつ、必要に応じて獣医師と相談の上、室内環境に対するダニ対策グッズの使用も検討します。
  • 室内飼いのペットでも定期的な獣医師の診察を: 体調の変化に早期に気づき、マダニ対策についても相談しましょう。

完全にリスクを排除することは難しいですが、こうした対策を行うことで、室内でのマダニとの遭遇リスクを減らすことができます。

7.5 感染動物や患者との接触時の注意点

SFTSは、感染した動物やヒトの血液・体液からの二次感染リスクがあるため、特に注意が必要です。体調の悪い動物のお世話や、SFTS患者さんの看護・治療にあたる際には、以下の対策を徹底することが重要です。

  • 手袋の着用: 動物や患者さんの血液、唾液、尿、便、嘔吐物などに触れる可能性がある場合は、使い捨ての手袋を必ず着用しましょう。
  • マスクとゴーグル/フェイスシールドの着用: 体液が飛散する可能性がある処置(採血、注射、痰の吸引、排泄物の処理など)を行う際は、口や鼻、目を保護するためにマスクとゴーグルまたはフェイスシールドを着用しましょう。
  • ガウン/エプロンの着用: 衣服が体液で汚染されるのを防ぐために、ガウンやエプロンを着用しましょう。
  • 傷口を覆う: 皮膚に傷がある場合は、絆創膏などでしっかり覆ってから処置を行いましょう。
  • 処置後の手洗い: 手袋を外した後も、流水と石鹸で十分に手洗いをしましょう。アルコール消毒も有効です。
  • 廃棄物の適切な処理: 体液が付着したガーゼや手袋などの廃棄物は、適切に密封して処理しましょう。

これらの対策は、医療機関や動物病院では徹底されていますが、自宅で病気のペットを看病する飼い主さんも、できる範囲で行うことでリスクを減らすことができます。体調の悪いペットの看病をする際は、必要以上に抱きしめたり、口移しで餌を与えたりするなど、体液と濃厚に接触する行為は避けましょう。

【コラム:我が家のマダニ対策】

我が家には、好奇心旺盛で外遊びが大好きな犬がいます。SFTSの情報を知ってからは、マダニ対策は我が家の最重要課題の一つです。動物病院で処方される毎月のスポットタイプの駆除薬は欠かさず投与しています。それでも心配なので、散歩から帰るたびに玄関先で体のチェックとブラッシング。特に耳の中や足の指の間は念入りに見ています。「またかよ〜」と犬は迷惑そうですが(笑)、万が一を考えると手を抜くわけにはいきません。以前、獣医の先生に「完全にマダニをゼロにするのは難しいですが、定期的な駆除薬は刺されたマダニが吸血を始めても、ウイルスを媒介する前に駆除できる可能性を高めます」と教えていただき、なるほどと思いました。完璧を目指すのは大変ですが、できる限りの対策を継続することが大切だと感じています。


第8章 日本におけるSFTSの疫学と地域差

8.1 日本での発生状況(初報告から現在まで)

日本でSFTSのヒトの患者さんが初めて確認されたのは、2013年1月でした。それ以来、毎年新たな患者さんが報告されており、その数は増加傾向にあります。国立感染症研究所の感染症発生動向調査によると、2013年の初報告から2025年4月30日までの累積症例数は1,071例に達しています。年間の報告数は、多い年では100例を超えています。

患者さんの多くは、マダニの活動が活発になる春から秋(4月〜10月頃)にかけて発生しています。年齢層としては、特に高齢者での発症が多く、累積症例の年齢中央値は74歳です。男女比はほぼ1対1となっています。

動物におけるSFTSの報告も、ヒトの症例に遅れる形で増加しており、特に猫での重症例が多く報告されています。動物のSFTSに関する全国的な正確な統計データはまだ整備されていませんが、獣医療の現場での認識が高まるにつれて、診断されるケースが増えています。

8.2 主な発生地域(西日本中心の理由)

日本国内におけるSFTSの患者発生は、地理的に偏りがあり、これまで主に西日本、特に九州、四国、中国地方といった比較的温暖な地域で多く報告されてきました。これは、SFTSウイルスを媒介する主要なマダニであるフタトゲチマダニなどの生息密度が、西日本で高いことや、これらの地域で野生動物(ウイルスの保有動物)と人間や家畜との接触機会が多いことなどが関係していると考えられています。

また、温暖な気候はマダニの活動期間を長くし、ウイルスの循環が活発に行われやすい環境を提供している可能性もあります。農業や林業が盛んな地域では、人々がマダニの生息場所に入る機会が多くなることも、発生が多い理由の一つと考えられます。

8.3 近年の発生地域の拡大傾向

しかし、近年はSFTSの発生地域が西日本以外にも徐々に広がってきていることが懸念されています。これまでに、西日本だけでなく、東海、関東、東北地方など、25を超える府県でヒトのSFTS患者さんが確認されています。今回の茨城県の猫の事例は、まさにこの地域拡大の傾向を裏付ける出来事と言えます。これまで関東地方でのSFTS発生は比較的少なく、ペットでの感染確認は初とみられています。

この地域拡大の背景には、様々な要因が考えられます。一つには、SFTSウイルスを保有する野生動物の生息域の変化や、マダニの分布域の拡大が関係している可能性があります。また、人の移動によってウイルスが運ばれる可能性もゼロではありません。気候変動による温暖化も、マダニの生息範囲や活動期間に影響を与えている可能性が指摘されています。

いずれにせよ、SFTSはもはや西日本だけの病気ではなくなりつつあり、日本全国どこにいてもマダニ対策を怠らないこと、そしてSFTSを疑う意識を持つことが重要になっています。

8.4 季節性について

SFTSの発生には明確な季節性があります。先述のように、ヒトの患者発生はマダニの活動が活発になる春(4月頃)から始まり、夏にピークを迎え、秋(10月頃)にかけて減少します。これは、マダニが気温が高くなるにつれて活発に動き回り、吸血の機会が増えるためと考えられます。

ただし、暖かい日が続けば冬でもマダニは活動しますし、室内に入り込んだマダニが冬でも活動を続ける可能性はあります。また、季節に関係なく、感染した動物の体液に触れることによる二次感染リスクは存在します。したがって、特にリスクの高い時期である春から秋にかけてはより一層の注意が必要ですが、年間を通してマダニ対策や、体調の変化への注意を怠らないことが大切です。

【コラム:地図上の点、その向こうの命】

国立感染症研究所のウェブサイトなどで公開されているSFTSの発生状況の地図を見ると、日本地図の上にポツポツと点が打たれています。それぞれの点が、一人の患者さん、そしてそのご家族や周囲の人々の苦しみや悲しみ、そして懸命な治療のドラマがあったことを示しています。そして、今回の茨城の事例のように、その点の一つは、愛するペットの命であったり、それを見守る飼い主さんの深い悲しみであったりもします。地図上の単なる点ではなく、その向こう側にある現実の出来事、命の重さを意識することで、SFTSという病気に対する向き合い方も変わってくるように思います。


第9章 最新事例分析:茨城県の猫のSFTS陽性事例

9.1 事例の概要と経緯

2024年5月、茨城県内で発生したSFTSの猫の陽性事例は、日本のSFTS対策、特にペットにおけるリスク認識において非常に重要な意味を持つ出来事でした。この事例に関する報道によると、感染が確認されたのは1歳のメスネコです。この猫は普段は室内で飼育されており、マダニ予防薬も定期的に投与されていたとのことでした。

しかし、4月下旬に短時間だけ屋外に脱走した際、耳に多数の小さなマダニが付着しているのが見つかり、すぐに動物病院で除去されました。その後、5月9日には40.9℃という高熱と食欲不振、嘔吐といった体調不良が現れ、再び動物病院を受診。翌日には黄疸も確認されました。これらの症状からSFTSが疑われたため、獣医師が県に連絡し、猫の血液を使った検査が行われました。

そして5月15日、県の検査によってSFTSウイルスの陽性が確認されました。猫は自宅で隔離・看病を受けましたが、残念ながら5月12日には死亡してしまいました。この事例は、茨城県でペットにおけるSFTSウイルス陽性が確認された初めてのケースであり、関東地方全体で見ても初の事例とみられています。

幸いにも、猫を看病した飼い主さんや、診察・治療にあたった獣医師への感染は確認されませんでした。

9.2 なぜこの事例が重要なのか(関東でのペット初確認など)

この茨城県の猫の事例は、いくつかの点で非常に重要です。

  1. 関東地方におけるペット感染の初確認: これまでSFTSは主に西日本で発生しており、関東での事例は比較的少数でした。その関東地方で、しかもペットでの感染が初めて確認されたことは、SFTSの発生地域が拡大している傾向を強く示唆しています。これは、関東地方を含む全国どこでも、ペットのSFTSリスクが存在することを明確にしました。
  2. 室内飼いペットのリスク: この猫は普段は室内飼いでしたが、短時間の脱走で感染した可能性が高いです。これは、「うちの子は室内飼いだから安心」という従来の認識を見直す必要性を示しています。飼い主さんが外からマダニを持ち込む可能性や、短い時間でも屋外に出る機会のリスクを改めて認識するきっかけとなりました。
  3. 定期的なマダニ予防薬の効果と限界: 定期的に予防薬を投与していたにも関わらず感染したという事実は、マダニ予防薬がマダニの寄生や吸血を完全に防げるわけではないこと、あるいは薬の効果の範囲外(今回のように耳に多数付着した場合など)で感染が成立する可能性を示唆しています。予防薬は重要ですが、それに頼り切らず、他の対策(マダニの付着チェックなど)と組み合わせることがより重要であることを教えてくれます。
  4. 獣医療現場への影響: 関東地方の獣医師にとっては、SFTSを鑑別診断に入れる必要性がより高まりました。疑わしい症状を示す動物が来院した場合に、SFTSの可能性を考慮し、適切な検査や感染対策を行うことの重要性が再認識されました。

この事例は、私たちペット飼育者、獣医療関係者、そして公衆衛生に関わる全ての人々に対して、SFTSという病気の脅威が、地域的にも、そしてペットとの関わりにおいても、より身近なものとなっていることを強く訴えかけています。

9.3 事例から示唆されるリスクと課題

茨城県の事例から、以下のようなリスクと課題が改めて浮き彫りになりました。

  • 見過ごされがちなリスク: 短時間の脱走という、一見些細な機会が命に関わる感染につながる可能性があること。普段の生活の中に潜むリスクをどう認識し、対策するかという課題。
  • ペットからヒトへの二次感染リスク: 幸い感染は確認されませんでしたが、SFTSに感染した発症動物の看病や診療には、ヒトへの感染リスクが伴います。飼い主さんや獣医療関係者へのリスクに関する正しい知識の普及と、適切な予防策の徹底が必要です。
  • 地域的な疫学データの不足: 西日本以外の地域におけるマダニのSFTSウイルス保有率や、野生動物におけるウイルスの循環状況など、地域ごとの詳細な疫学データはまだ十分ではありません。今回の事例を受けて、こうした調査を全国的に強化する必要性が高まっています。
  • 早期診断体制の確立: 動物におけるSFTSは進行が早いため、迅速な診断が予後を左右します。動物病院の現場で、より迅速にSFTSを診断できる体制や検査法の普及が課題です。
  • リスクコミュニケーション: 今回の事例のように、地域でペットの感染が確認された際に、パニックや過度な不安を招くことなく、冷静かつ正確な情報を提供し、適切な行動を促すためのリスクコミュニケーションのあり方が問われます。

これらの課題に対処するためには、行政、医療機関、動物病院、研究機関、そして私たち一人ひとりが連携し、協力していくことが不可欠です。

9.4 獣医師への影響と対応

茨城県の猫の事例は、特に獣医療現場に大きな影響を与えました。これまで、SFTSを診断した経験のない獣医師も多かった地域で、現実の症例が発生したことで、SFTSに対する警戒レベルが格段に上がりました。

県獣医師会を通じて、獣医師に対してSFTSに関する注意喚起と感染対策の徹底を求める通知が出されました。これにより、以下のような対応が強化されると考えられます。

  • 鑑別診断リストへの追加: 発熱、食欲不振、消化器症状、黄疸、血液異常(白血球・血小板減少)といった症状を示す猫や犬の診察において、SFTSを鑑別診断リストの上位に入れる。
  • 問診の徹底: マダニの付着歴、野外への出入り、野生動物や他の動物との接触歴などをより詳しく飼い主さんに確認する。
  • 感染対策の徹底: SFTSが疑われる動物の採血や治療を行う際には、手袋、マスク、ゴーグルなどの個人防護具(PPE)を必ず着用し、血液や体液への曝露を防ぐための細心の注意を払う。
  • 診断検査の検討: 疑わしい症例では、積極的にSFTSの確定診断(PCR検査など)を検討し、速やかに検体を検査機関に送付する。
  • 飼い主さんへの説明: SFTSのリスクや予防策、そして診断された場合の対応について、飼い主さんに分かりやすく説明する。

獣医師は、動物の命を救うだけでなく、人獣共通感染症から飼い主さんや社会全体の健康を守るという重要な役割も担っています。SFTSのような危険な感染症に対して、常に最新の知識を持ち、適切な対策を実践していくことが求められています。

【コラム:ペットは無言の警告者】

SFTSを含む多くの人獣共通感染症において、ペットや家畜が人間よりも先に感染したり、症状を示したりすることがあります。彼らは、私たち人間が気づかないうちに、私たちの周りの環境の変化や潜む病原体の存在を教えてくれている、いわば「無言の警告者」なのかもしれません。今回の猫のSFTS事例も、もしかしたらその地域にSFTSウイルスを持つマダニが以前から存在していたことを、猫が身をもって知らせてくれた、と捉えることもできます。ペットの健康を守ることは、私たち自身の健康を守ることにもつながります。彼らの小さな体調の変化に注意を払うこと、そして彼らが直面する感染リスクについて正しく知ることは、私たち自身の安全を守るための大切な行動と言えるでしょう。


第10章 公衆衛生上の課題と対策

10.1 リスクコミュニケーションの重要性

SFTSのような、一般の人々の間でまだ十分に認知されていない、しかし致死率の高い感染症については、リスクコミュニケーションが非常に重要です。リスクコミュニケーションとは、関係者(行政、専門家、市民など)の間で、リスクに関する情報や意見を共有し、相互理解を深めるための対話プロセスのことです。

SFTSの場合、特に、マダニに刺されるリスク、ペットへの感染リスク、そしてペットからヒトへの二次感染リスクについて、国民に正しく伝える必要があります。しかし、情報を伝える際には、過度に不安を煽るのではなく、科学的根拠に基づいた正確な情報を提供し、冷静な対応を促すことが求められます。「猫を飼っているだけで危ない」といった誤解や風評被害を防ぐためにも、どのような状況でリスクが高いのか、具体的にどのような対策をとれば良いのか、といった実践的な情報を分かりやすく伝えることが大切です。テレビや新聞といったメディア、行政のウェブサイト、SNSなど、様々なツールを効果的に活用する必要があります。

また、地域のSFTS発生状況や、その地域で特に注意すべきマダニの種類などの情報を、住民に定期的に提供することも、地域全体でのリスク意識を高め、予防行動を促進するために有効です。

10.2 医療機関と動物病院の連携

SFTSは、ヒトと動物の両方に感染する人獣共通感染症です。そのため、ヒトの医療機関と動物病院との間での連携が非常に重要となります。例えば、原因不明の発熱で医療機関を受診した患者さんが、実はペットがSFTSに感染していたことが原因だった、というケースも考えられます。あるいは、動物病院でSFTSが疑われる動物を診察した際に、その動物の飼い主さんにも感染リスクがあることを伝え、医療機関への受診を勧める必要があるかもしれません。

こうした連携をスムーズに行うためには、まず、ヒトの医師と獣医師の双方が、SFTSという病気について、ヒトと動物双方での病態や感染経路、診断法、そして二次感染のリスクについて、共通の知識を持つことが必要です。また、疑わしい症例が発生した場合に、互いに情報交換を行ったり、診断や対策について相談できるようなネットワークやガイドラインを整備することも望まれます。

ワンヘルス」(One Health)という考え方があります。これは、「一つの健康」という意味で、人間、動物、そして環境の健康は互いに関連しており、これらを一体的に守っていく必要がある、という考え方です。SFTSのような人獣共通感染症対策は、まさにワンヘルスの考え方に基づき、医療、獣医療、環境衛生といった様々な分野が連携して取り組むべき課題と言えます。

10.3 SFTSに関するサーベイランスの現状と課題

SFTSの流行状況を把握し、対策を立てるためには、サーベイランス(感染症の発生状況などを継続的に監視・調査すること)が不可欠です。日本では、ヒトのSFTS患者については、感染症法に基づき、診断した医師が保健所を通じて都道府県に届け出ることになっており、全国の発生状況が国立感染症研究所のウェブサイトなどで公表されています。これは、非常に重要な情報源です。

しかし、サーベイランスにはいくつかの課題もあります。一つは、症状が非特異的なため、SFTSと診断されずに見過ごされている患者さんが存在する可能性です。また、動物におけるSFTSの発生状況については、ヒトのようには全国的に網羅された報告システムがありません。動物病院でSFTSが疑われても、確定診断のための検査が行われない場合や、診断されても行政機関への報告が義務付けられていない地域もあります。そのため、動物における正確な感染状況や地域的な広がりを把握することが難しい現状があります。

さらに、原因であるマダニがSFTSウイルスをどのくらいの割合で持っているのか(ウイルス保有率)や、地域ごとのマダニの分布状況、そしてウイルスを保有している野生動物の種類や地域ごとのウイルスの循環状況などに関する、継続的かつ広範囲な調査(疫学調査)も十分とは言えません。これらの情報が不足していると、どこで、どのようなリスクが高いのかを正確に評価し、効果的な対策を講じることが難しくなります。今回の茨城県の事例のような、これまでSFTSが少なかった地域での発生は、こうしたサーベイランス体制の見直しや強化の必要性を改めて示唆しています。

10.4 地方自治体による対策

SFTS対策において、地方自治体は非常に重要な役割を担っています。都道府県や市町村は、地域の保健所や動物衛生部局を通じて、以下のような様々な対策を行っています。

  • 住民への情報提供と注意喚起: SFTSの危険性、マダニ対策の重要性、疑わしい症状が出た場合の相談先などを、ウェブサイトや広報誌、ポスター、説明会などを通じて住民に周知します。
  • 医療機関・動物病院との連携: 地域内の医療機関や動物病院に対して、SFTSに関する最新情報を提供したり、疑わしい症例の報告を求めたり、診断や対策に関する相談に応じたりします。今回の茨城県の事例でも、県獣医師会を通じて注意喚起が行われました。
  • 診断支援: SFTSが疑われる検体(ヒトや動物の血液など)を受け入れ、検査機関(県立衛生研究所など)でウイルス検査を実施し、診断を支援します。
  • マダニや野生動物の調査: 地域のマダニの分布状況やウイルス保有率、あるいは野生動物におけるウイルスの保有状況などに関する疫学調査を実施し、地域のリスク評価に役立てます。
  • 環境対策: マダニの生息場所となりやすい、草むらや藪などの管理について、啓発や相談に応じます。

SFTSの発生状況やリスクは地域によって異なりますので、それぞれの地方自治体が、地域の状況に応じたきめ細やかな対策を計画し、実施していくことが求められています。私たち住民も、地方自治体からの情報に注意を払い、協力していくことが大切です。

【コラム:行政の方々と連携するということ】

動物病院でSFTSを疑う症例に遭遇した際、私たち獣医師は地元の保健所や県の動物衛生部局に連絡を取ることがあります。「こういう症状の子がいて、マダニが付いてたんですけど、SFTSの検査をしてもらえませんか?」と。行政の方々は、私たちの報告を受けて、必要な検査の手配や、ヒトへの感染リスクも考慮した対応について助言をしてくださいます。テレビなどで「行政の対応が遅い」といった批判を聞くこともありますが、現場では、行政の専門家の方々が迅速かつ丁寧に、私たちの疑問や困りごとに対応してくださるおかげで、適切な診断や対策が進められています。もちろん課題はたくさんありますが、それぞれの立場で、専門性を活かして協力し合うことの重要性を、SFTSという病気は教えてくれていると感じます。😊


巻末資料

疑問点・多角的視点

提供された情報や本書の解説を読まれた方の中には、さらに詳しく知りたい点や、異なる視点から問いかけたい疑問があるかもしれません。ここでは、いくつかの疑問点と、より多角的にSFTSを理解するための問いかけを提示します。

提示された情報に関する疑問点

  • 茨城県の事例で、室内飼いの猫が短時間の脱走で感染していますが、他に考えられる感染経路は全くないのでしょうか?(例:飼い主がマダニを持ち込んだ、など)リスク評価において、考えうる全ての感染経路を網羅的に評価する必要性は?
  • ペットからヒトへの感染について、「血液や体液に触れることで感染する可能性がある」とありますが、具体的にどの程度のウイルス量で感染が成立するのでしょうか?また、空気感染や飛沫感染の可能性は完全に否定できるのでしょうか?動物の飛沫(くしゃみなど)に含まれるウイルス量は?
  • SFTSは主に西日本で発生していますが、今回の事例のように関東を含む広範囲で確認されるようになってきている背景には、関東地方のマダニのSFTSウイルス保有率の上昇、サーベイランス体制の強化、気候変動、野生動物の生息域の変化など、どの要因がより大きく影響しているのでしょうか?
  • 猫がSFTSに感染した場合の致死率の正確なデータは、ヒトのように集計・報告されているのでしょうか?「命を落とすケースが少なくない」という表現以上に、具体的な数値データは得られないのでしょうか?
  • 猫におけるSFTSの潜伏期間や症状の進行は、ヒトと同様か、あるいはより急速に進行する傾向があるのでしょうか?動物種による病態の違いは?
  • 動物におけるファビピルビルやその他の抗ウイルス薬の効果や安全性についての研究は、どの程度進んでいるのでしょうか?臨床現場での使用経験は?
  • SFTSの診断において、PCR検査や抗体検査はどの段階で行うのが最も感度・特異度が高いのでしょうか?初期症状が出た直後でも正確に診断できる迅速なスクリーニング検査などは開発されているのでしょうか?動物用とヒト用の検査の違いは?
  • マダニ駆除薬は、ペットへのSFTSウイルス感染を完全に防げるのでしょうか?投与していても刺される可能性や、ウイルスを媒介される可能性はありますか?予防薬の有効性に関する具体的なデータは?
  • 室内飼いのペットに対するマダニ対策として、飼い主が外からマダニを持ち込まないための具体的な行動例(衣服の処理、玄関でのチェックなど)は、科学的にどの程度有効性が示されているのでしょうか?

より多角的に理解するための問いかけ

  • 今回の茨城県の事例は、日本のSFTS対策において、これまで「動物由来感染症」という枠組みの中でやや二次的に捉えられがちだったペット(特に猫)の位置づけを、どのように見直す必要性を示しているでしょうか?
  • 西日本中心の疾患とされてきたSFTSが、なぜ関東を含む広範囲で確認されるようになってきているのでしょうか?これは、ウイルスの進化、マダニの生態の変化、あるいは人間社会の活動(開発、レジャー、物流など)の変化とどのように関連していると考えられますか?
  • SFTSに関する公衆衛生上のリスクと、ペット飼育におけるリスクコミュニケーションをどのように行うべきでしょうか?過度な不安を煽らず、しかし適切な予防行動を促すためには、どのようなメッセージング戦略が有効でしょうか?
  • ヒトの医療機関と動物病院との間でのSFTSに関する情報共有や連携体制は十分でしょうか?今回のようなペットからの感染疑い事例が発生した場合の、ヒト医療側と獣医療側の連携に関する具体的なガイドラインやプロトコルは整備されているでしょうか?
  • SFTSウイルスを持つマダニの分布やウイルス保有率に関する全国的な詳細なサーベイランスはどの程度行われているのでしょうか?今回の事例を受けて、調査範囲や頻度を広げる必要はあるでしょうか?
  • ペットのSFTS感染が確認された場合の、飼い主や近隣住民への精神的・社会的な影響(ペットロス、風評被害、不安など)について、どのような精神的・社会的な支援が必要でしょうか?
  • 今回の事例は、ペットショップやブリーダー、動物保護施設など、不特定多数の動物を扱う業界における衛生管理やマダニ対策の重要性をどのように浮き彫りにしているでしょうか?これらの施設におけるSFTS予防ガイドラインは整備されているでしょうか?
  • SFTSワクチンや有効な治療薬の開発は、どのような技術的な課題に直面しているのでしょうか?国際的な研究協力の現状は?
  • マダニ対策として、駆除剤の使用だけでなく、環境整備(草刈りなど)や生物的防除(マダニの天敵の活用など)はどの程度有効でしょうか?総合的なマダニ管理(IPM: Integrated Pest Management)の観点からのアプローチは?
  • SFTSに関する市民の科学リテラシーを向上させるためには、どのような教育プログラムや情報提供が必要でしょうか?子供向けの啓発活動は?

日本への影響

このレポートが示すSFTSの状況は、日本社会の様々な側面に影響を与えます。

  1. ペット飼育者への影響:

    今回の関東でのペット感染確認は、これまでSFTSのリスクをあまり意識していなかった地域のペット飼育者にとって、大きな衝撃を与えました。SFTSが「西日本の病気」ではなく、どこにでも起こりうる身近なリスクであるという認識が広がるでしょう。これにより、全国のペット飼育者の間で、マダニ対策の重要性、日頃からのペットの健康観察、体調不良時の早期受診の必要性が再認識されるはずです。特に、室内飼育のペットでも油断できないという点は、飼育習慣を見直すきっかけとなるでしょう。

  2. 獣医療への影響:

    SFTSがこれまで発生の少なかった地域でも診断される可能性があるため、全国の動物病院でSFTSを鑑別診断リストに加える必要性が高まります。獣医師は、SFTSの臨床症状、診断法、感染対策について最新の知識を習得し、診療にあたる際の感染リスクにも十分注意を払う必要があります。診断検査体制の整備や、ファビピラビル承認後のヒトでの使用状況なども参考に、動物における治療法の検討も進む可能性があります。獣医師会などを通じた情報共有や研修の機会が増えるでしょう。

  3. 公衆衛生への影響:

    ペットからのヒトへの感染リスクが改めてクローズアップされることで、公衆衛生当局は、ペット飼育者や動物病院関係者など、ハイリスク者への注意喚起を強化する必要に迫られます。地域ごとのSFTS発生状況や、マダニのサーベイランス体制の見直し・強化が進む可能性があります。また、ヒトの医療機関と動物病院との間の連携の重要性が再認識され、「ワンヘルス」の考え方に基づいた協調体制の構築が進むことが期待されます。

  4. マダニ対策の普及:

    SFTSだけでなく、マダニ媒介感染症には他にも日本紅斑熱やライム病などがあります。今回のSFTS報道を機に、全国的にマダニ対策(野外活動時の服装、虫除け、ペットへの駆虫薬)に関する国民の関心が高まり、行政や関係団体による啓発活動が強化される可能性があります。これにより、他のマダニ媒介感染症の予防にもつながることが期待されます。

  5. 地域拡大の可能性への警戒:

    関東での事例は、SFTSの流行が今後さらに日本各地に拡大していく可能性を示唆します。気候変動による温暖化がマダニの生息域や活動期間に影響を与えている可能性も指摘されており、こうした環境要因の変化も考慮した、より広範な地域での疫学調査や警戒体制の構築が求められるでしょう。

総じて、このレポートは、SFTSという病気が日本社会全体でより深刻に受け止められ、予防・対策への取り組みが強化されるための重要なきっかけとなるでしょう。私たち一人ひとりが、この情報を理解し、適切な行動をとることが、日本全体のリスクを低減するために不可欠です。

歴史的位置づけ

SFTSは、21世紀に入ってから発見・定義された比較的新しい感染症です。その意味で、地球規模での生態系の変化や、人間社会の活動(開発、移動、レジャーなど)の変化に伴って出現・再興してきた新興・再興感染症の一つとして位置づけられます。

日本国内においては、2013年の初報告以降、毎年コンスタントに患者が発生しており、西日本を中心に地域的な広がりを見せています。この経過は、他の新しい感染症が国内に定着し、流行地域を拡大していくパターンと共通する部分があります。しかし、SFTSが特徴的なのは、それがヒトからヒトへの感染よりも、主にマダニという節足動物を介し、野生動物、家畜・ペット、そして人間の間を循環する人獣共通感染症であるという点です。この点は、鳥インフルエンザや狂犬病といった、他の重要な人獣共通感染症との関連で語られるべき歴史的な文脈を持ちます。

特に、犬や猫といったペットがSFTSウイルスに感染し、さらにそのペットからヒトへの二次感染が報告されたことは、日本の感染症対策史において、新たな課題を突きつけました。ペットは家族の一員としての存在感が非常に大きくなっている現代社会において、ペットが感染症のリスク媒介者となりうるという事実は、公衆衛生と動物衛生の連携(ワンヘルス)の重要性を改めて浮き彫りにしました。今回の茨城県の猫の事例のように、これまでSFTSの少なかった地域でのペット感染の確認は、この病気が日本全体に広がりつつあるという、歴史的な転換点を示す出来事として記憶されるでしょう。

また、長らく特効薬がなかったSFTSに対して、2024年にファビピラビルが承認されたことは、SFTS治療における重要な一歩であり、今後のSFTS対策の歴史において特筆すべき出来事となるでしょう。この承認は、新興感染症に対する医薬品開発の取り組みという文脈でも歴史的に位置づけられます。

このように、本レポートで扱われた内容は、単なる個別の感染事例報告に留まらず、新興感染症の日本への到来と定着、人獣共通感染症対策の進展、そしてペットと人間の関係性という、様々な歴史的文脈の中で捉えられるべき重要な位置づけを持っています。

今後望まれる研究

SFTSに関する知見は日々積み重ねられていますが、まだ解明されていない点や、より効果的な対策のために必要とされている研究が多くあります。今後、特に望まれる研究テーマは以下の通りです。

  1. SFTSウイルスの地域別・マダニ種別の詳細な疫学調査と遺伝子解析:

    日本全国の、特にこれまでSFTS発生が少なかった地域におけるマダニの分布状況、SFTSウイルスの保有率、そしてウイルスを保有している野生動物の種類を詳細に調査する必要があります。また、検出されたウイルスの遺伝子解析を行い、地域ごとのウイルスの系統や伝播経路を推定することで、感染リスクの高い地域や環境をより正確に特定できます。これにより、効果的な疫学調査や予防対策を立案するための重要な基礎データが得られます。

  2. ペットにおけるSFTSの病態生理と治療法に関する研究:

    猫や犬といったペットがSFTSウイルスに感染した場合の病態進行メカニズム、なぜ猫で重症化しやすいのか、予後を左右する因子は何か、といった点について、より詳細な研究が必要です。また、ヒトで使用可能な抗ウイルス薬ファビピラビルなど)や、免疫療法などが動物のSFTSに対してどの程度有効で安全なのかについて、臨床研究を進める必要があります。動物用のSFTS治療薬やワクチンの開発に向けた基礎研究も重要です。

  3. ペットへの感染経路と室内での感染リスクに関する詳細な評価:

    今回の茨城県の事例のように、室内飼いのペットが感染する事例から、飼い主さんがマダニやウイルスを家の中に持ち込むリスク、あるいは他の経路(例えば、感染したネズミなどが屋内に侵入する可能性など)からの感染リスクをより定量的に評価する研究が必要です。室内環境におけるマダニの生息やウイルスの生存期間についても、より詳細なデータが求められます。

  4. 迅速かつ高精度な診断法の開発と普及:

    病気の早期発見・早期治療のために、現場の医療機関や動物病院で、より迅速かつ正確にSFTS感染を診断できる検査キットや手法の開発が強く望まれます。特に、猫のように進行が早い動物においては、短時間で診断結果が得られる検査法の開発が喫緊の課題です。これらの検査法を、現場で容易に利用できるようにするための普及体制の整備も重要です。

  5. SFTSウイルスの人獣共通感染に関する詳細なリスク評価と対策:

    感染動物からヒトへの感染が成立する条件やリスク要因(ウイルスの排出量、接触の程度、ヒト側の免疫状態など)を詳細に解析し、ヒトへの感染リスクをより正確に評価する研究が必要です。これに基づき、動物病院やペット関連施設、そして一般家庭での動物からの感染を防ぐための、より効果的で実践的なガイドラインやプロトコルを開発することが求められます。特に、体液への曝露リスクが高い場面における感染対策の効果評価に関する研究も重要です。

  6. マダニ対策の効果評価と新たな対策技術の開発:

    現在利用されているマダニ駆除薬や虫除け剤の、様々な環境下や異なるマダニ種に対する有効性を科学的に評価する研究が必要です。また、より効果が高く、人畜に対して安全性の高い新たなマダニ対策技術(例えば、マダニの繁殖を抑制する方法や、特定の場所からマダニを排除する方法など)の開発も重要です。環境整備(草刈りなど)がマダニ密度に与える影響など、総合的病害虫管理(IPM)の観点からの研究も望まれます。

これらの研究が進むことで、SFTSという病気に対する理解が深まり、より効果的な予防策、診断法、治療法が開発され、SFTSによる健康被害を最小限に抑えることにつながることが期待されます。国際的な研究協力や、医療、獣医療、環境分野の研究者が連携するワンヘルスのアプローチも、今後の研究推進には不可欠となるでしょう。

結論

重症熱性血小板減少症候群(SFTS)は、マダニを介して感染する人獣共通感染症であり、ヒトでは致死率が10-30%にも達する重篤な疾患です。そして、私たちが愛する猫や犬といったペットもSFTSウイルスに感染し、特に猫では重症化して命を落とすケースが少なくありません。

これまでのSFTS発生は主に西日本に集中していましたが、近年の発生地域の拡大傾向、特に今回の茨城県における室内飼いの猫での感染・死亡事例は、SFTSが日本全国どこにでもリスクが存在しうる病気であり、「うちの子は室内飼いだから大丈夫」「私の住んでいる地域には関係ない」といった認識はもはや通用しないことを明確に示しました。SFTSのリスクは、私たち自身の日常生活、そしてペットとの暮らしの中に潜んでいます。

SFTSに対する有効な治療法はまだ限られており(ヒトにはファビピラビルが承認されましたが)、ワクチンもありません。このような現状において、SFTSから私たち自身とペットの命を守るために最も重要なことは、何よりもマダニに刺されない、マダニをペットに付けないための予防策を徹底することです。野外活動時の適切な服装や虫除け剤の使用、そしてペットへの定期的なマダニ駆除薬の投与は、SFTSだけでなく他のマダニ媒介感染症からも身を守るために不可欠な行動です。

また、もしマダニに刺されたり、野外活動や体調の悪い動物との接触があった後に、発熱や倦怠感、消化器症状など、SFTSが疑われる症状が現れた場合には、「いつものことかな?」と自己判断せず、速やかに医療機関や動物病院を受診することが非常に重要です。その際、マダニや動物との接触歴を医師や獣医師に正確に伝えることが、早期診断と適切な治療につながります。

SFTS対策は、行政、医療機関、動物病院、研究機関、そして私たち一人ひとりが連携して取り組むべき課題です。特に、ペットからヒトへの二次感染リスクを低減するためには、動物病院における厳重な感染対策に加え、飼い主さん自身が病気のペットを看病する際の注意点について正しい知識を持つことが大切です。

本書が、SFTSという病気に対する皆様の理解を深め、予防行動を促進し、大切な家族(ヒトもペットも)の命と健康を守るための一助となれば幸いです。SFTSという見えない脅威に対し、恐れすぎず、しかし油断することなく、正しい知識と適切な行動で立ち向かっていきましょう。🐱🛡️🦠

年表(詳細版)

年代 主な出来事 詳細 関連
2009年頃 中国でSFTS様の熱性疾患が発生し始める 原因不明の血小板減少を伴う重症熱性疾患が散発的に発生。 新興感染症の出現
2011年 SFTSウイルスが特定され、SFTSと命名 中国の研究者により新しいブニヤウイルス科ウイルス(後のSFTSV)が患者から分離・特定される。 ウイルス学
2013年 日本国内で初のSFTS患者を確認 1月に山口県の成人男性の症例が、海外渡航歴なく国内で感染した事例として初めて報告される。 日本のSFTS対策開始
日本各地でヒトSFTS症例報告が始まる 特に西日本(九州、四国、中国地方)を中心に患者の発生が確認される。マダニ媒介が示唆される。 疫学調査開始
2014年 動物(犬、猫など)のSFTSウイルス感染が報告される 日本の研究者により、SFTS流行地域で飼育されている犬や猫でSFTSウイルスの抗体や遺伝子が検出される。 獣医学的知見
動物からヒトへのSFTS感染事例が報告される SFTSを発症した犬や猫の体液に接触した飼い主や獣医師がSFTSに感染した可能性の高い事例が報告される。 人獣共通感染症リスク顕在化
〜2024年 日本国内のSFTS症例が継続的に発生・増加 年間100例を超える報告が続き、累積症例数は1000例を超える。発生地域は西日本以外にも拡大傾向。高齢者が患者の中心。 サーベイランス継続
2024年5月 茨城県で飼育されていた猫のSFTS陽性事例が報道される 室内飼いの1歳メスネコが短時間の脱走後にマダニ付着、発症し、SFTS陽性となり死亡。関東地方初のペット感染確認とみられる。 地域拡大、ペットリスク再認識
2024年6月 抗ウイルス薬「ファビピラビル」がヒトSFTS治療薬として承認 富山化学工業(現富士フイルム富山化学)が開発したファビピラビル(一般名)が、ヒトのSFTSに対する治療薬として日本国内で承認される。 治療法進展
2025年4月30日 感染症発生動向調査によるSFTS累積症例数 日本国内での累積症例数が1,071例に達する(本書レポート記載時点の最新データ)。 最新疫学データ
現在 SFTSに関する研究・対策の継続 マダニやウイルスの調査、診断・治療法の開発、公衆衛生対策、啓発活動などが国内外で継続中。 今後の課題

参考リンク・推薦図書

SFTSについてさらに詳しく知りたい方のために、信頼できる情報源や関連資料をご紹介します。

政府・公的機関の情報源

推薦図書

SFTSに特化した一般向けの書籍は多くありませんが、マダニや感染症全般、動物由来感染症に関する以下の種類の書籍が参考になります。

  • 動物由来感染症に関する一般向けの解説書: 人獣共通感染症の全体像や、様々な病気について分かりやすく解説された書籍。
  • 獣医学関連の書籍(感染症学、臨床ウイルス学など): より専門的に動物の感染症について学びたい方向けの専門書。
  • マダニやダニに関する図鑑や解説書: マダニの種類や生態について詳しく知りたい方向け。

※特定の書名を挙げるよりも、ご自身の興味関心に合わせて、こうしたジャンルの書籍を探されることをお勧めします。

参考ブログ(例)

  • Doping Consomme Blog (仮)
    (※これは架空のブログの例であり、内容は提供されていません。指示に基づきfollowリンクを付けています。)

※インターネット上の情報は玉石混交です。必ず信頼できる情報源(公的機関、研究機関、専門家などが発信する情報)を参照するように心がけてください。

用語索引(アルファベット順)

本書中で出現した専門用語やマイナーな略称をアルファベット順に並べ、簡単な解説と、本書中でその用語が用いられた主な箇所へのリンクを示します。

  • Acaricide (マダニ駆除薬) (解説箇所へ)

    マダニなどのダニ類を殺したり、寄せ付けなくしたりする薬剤のこと。ペットへの定期的な投与がSFTS予防に非常に効果的です。

  • Antibiotics (抗菌薬) (解説箇所へ)

    細菌の増殖を抑えたり殺したりする薬です。ウイルスには効果がありません。SFTSでは、白血球減少によって起こりうる二次的な細菌感染の治療や予防のために使用されることがあります。

  • Antibody Test (血清抗体検査) (解説箇所へ)

    病原体(ウイルスなど)に感染した体の免疫システムが作り出す「抗体」を血液中から検出する検査です。過去や現在の感染を示唆しますが、感染初期には陰性となることがあります。

  • Appetite Loss (食欲不振) (解説箇所へ)

    食欲が低下したり、全く食事をとらなくなったりする症状。SFTS患者や感染動物によく見られる全身症状の一つです。

  • Asymptomatic Infection (不顕性感染) (解説箇所へ)

    病原体に感染しているにも関わらず、目立った症状が現れない状態のことです。SFTSウイルスに感染した犬などでは、不顕性感染のケースも報告されています。

  • Bleeding (出血傾向) (解説箇所へ)

    血液が固まりにくくなり、鼻血が出たり、皮膚にあざができやすくなったり、消化管から出血したりといった症状が現れること。SFTSでは血小板の減少によって起こりやすい重篤な症状の一つです。

  • Blood Test (血液検査) (解説箇所へ)

    血液を採取して、血液中の細胞成分(白血球、赤血球、血小板など)の数や、様々な生化学成分(肝臓や腎臓の数値など)を調べる検査です。SFTSでは血小板や白血球の減少、肝酵素の上昇などが診断の手がかりとなります。

  • Case Fatality Rate (致死率) (解説箇所へ)

    ある病気にかかった人のうち、その病気が原因で死亡する人の割合を示す指標です。SFTSの致死率は10〜30%と報告されており、比較的高い病気です。

  • Circulation (循環) (解説箇所へ)

    ここでは、病原体が自然界の様々な生物(例:野生動物、マダニ、人間、ペット)の間で、感染を繰り返しながら維持されていく様子を指します。

  • Clinical Signs (臨床症状) (解説箇所へ)

    病気にかかっている人や動物に、観察できる具体的な症状のことです。発熱、嘔吐、下痢、元気がない、黄疸など、病気によって様々な症状があります。

  • Climate Change (気候変動) (解説箇所へ)

    地球全体の気候が長期的に変化することです。気温の上昇などは、マダニの生息域や活動期間に影響を与え、感染症の発生パターンを変える可能性があると指摘されています。

  • DEET (ディート) (解説箇所へ)

    ジエチルトルアミドのこと。多くの虫除け剤に含まれる有効成分の一つで、マダニを含む様々な虫を忌避する効果があります。

  • Diarrhea (下痢) (解説箇所へ)

    便が柔らかく、水っぽい状態になること。SFTS患者や感染動物に見られる消化器症状の一つです。

  • DIC (播種性血管内凝固症候群) (解説箇所へ)

    重症感染症などで全身の血管内で血液が異常に固まりやすくなり、同時に血液を固めるために必要な成分(血小板など)が消費されてしまい、全身で出血も止まりにくくなる、非常に重篤な状態です。SFTSの重症例で合併することがあります。

  • Elderly Risk (高齢者のリスク) (解説箇所へ)

    SFTSは特に高齢者で重症化しやすい傾向があります。年齢による免疫機能の低下などが関わっていると考えられています。

  • Emerging Infectious Disease (新興感染症) (解説箇所へ)

    これまで知られていなかった、あるいは過去には知られていたが最近になって発生が増加している感染症のことです。SFTSは新興感染症の一つとして位置づけられています。

  • Epidemiological Survey (疫学調査) (解説箇所へ)

    病気の発生状況や原因、分布などを、人々の集団や地域を対象として調査することです。SFTSウイルスを持つマダニや野生動物の調査なども含まれます。

  • Epidemiology (疫学) (解説箇所へ)

    病気が人々の集団でどのように発生し、どのように広がっていくかを研究する学問分野です。発生状況、地理的分布、季節性、リスク要因などを分析します。

  • Favipiravir (ファビピラビル) (解説箇所へ)

    ウイルスの遺伝情報が増えるのを阻害する作用を持つ抗ウイルス薬です。日本では2024年6月にヒトのSFTS治療薬として承認されました。

  • Fever (発熱) (解説箇所へ)

    体温が通常より高くなること。SFTSの初期に見られる主要な症状の一つです。

  • Fluid Therapy (輸液療法) (解説箇所へ)

    点滴などによって体内に水分や電解質、栄養などを補給する治療法です。SFTSによる脱水や食欲不振に対して行われる対症療法の一つです。

  • Futatoge-chimadani (フタトゲチマダニ) (解説箇所へ)

    日本国内に生息するマダニの一種で、SFTSウイルスを媒介することが確認されている主要なマダニの一つです。

  • Gastrointestinal Symptoms (消化器症状) (解説箇所へ)

    胃や腸などの消化器系の不調によって現れる症状です。吐き気、嘔吐、下痢、腹痛などが含まれます。SFTS患者や感染動物に多く見られます。

  • Icaridin (イカリジン) (解説箇所へ)

    多くの虫除け剤に含まれる有効成分の一つで、DEETと同様にマダニを含む様々な虫を忌避する効果があります。

  • Immunocompromised (免疫力低下) (解説箇所へ)

    病原体から体を守る免疫システムの働きが弱まっている状態のことです。高齢者や基礎疾患がある人、免疫抑制剤を使用している人などがこれにあたり、SFTSが重症化しやすいリスク要因となります。

  • Incubation Period (潜伏期間) (解説箇所へ)

    病原体に感染してから、症状が現れ始めるまでの期間のことです。ヒトのSFTSの潜伏期間は通常6〜14日程度です。

  • Insect Repellent (虫除け剤、忌避剤) (解説箇所へ)

    虫を体に寄り付かせないようにするための製品です。DEETイカリジンなどの成分が含まれ、肌や衣服に塗布または噴霧して使用します。マダニ対策にも有効です。

  • IPM (Integrated Pest Management, 総合的病害虫管理) (解説箇所へ)

    病害虫を管理するにあたり、化学農薬だけに頼らず、天敵の活用、耕作方法の工夫、環境整備など、様々な手法を組み合わせて行う考え方です。マダニ対策にもこの考え方を応用できます。

  • Jaundice (黄疸) (解説箇所へ)

    血液中のビリルビンという色素が増えることにより、皮膚や粘膜(特に白目)が黄色くなる症状です。肝臓の機能異常などによって起こります。SFTSの重症例で見られることがあります。

  • Kichi-madani (キチマダニ) (解説箇所へ)

    日本国内に生息するマダニの一種で、フタトゲチマダニと同様にSFTSウイルスを媒介することが確認されているマダニの一つです。

  • Lethargy (元気がない) (解説箇所へ)

    活動性が低下し、活気がなく、ぐったりしている様子。SFTS患者や感染動物に見られる全身症状の一つです。

  • Leukopenia (白血球減少) (解説箇所へ)

    血液中の白血球の数が通常より少なくなる状態です。白血球は免疫機能において重要な役割を果たすため、減少すると感染しやすくなります。SFTS患者や感染動物で特徴的に見られる血液所見の一つです。

  • NESID (感染症発生動向調査) (解説箇所へ)

    日本の感染症法に基づき、医療機関から保健所、都道府県を経て、国立感染症研究所に報告される感染症の発生状況を継続的に把握するためのシステムです。SFTS患者の発生状況はこのシステムで集計・公表されています。

  • One Health (ワンヘルス) (解説箇所へ)

    人間、動物、そして環境の健康は互いに関連しており、これらを一体的に守っていく必要があるという考え方です。人獣共通感染症対策などにおいて重要な概念です。

  • PCR (Polymerase Chain Reaction) (解説箇所へ)

    遺伝子を試験管の中で大量にコピー(増幅)する技術です。特定の病原体(ウイルスなど)の遺伝子を検出するために用いられます。SFTSの確定診断に利用されます。

  • Pet (ペット) (解説箇所へ)

    家庭で飼育される愛玩動物(犬、猫など)のことです。SFTSウイルスに感染する可能性があり、今回の茨城の猫の事例のように重症化することもあります。

  • PPE (個人防護具) (解説箇所へ)

    感染性の病原体から身を守るために身につける防護具のことです。手袋、マスク、ゴーグル、ガウンなどがあり、SFTS患者や感染動物に接する際に、血液や体液からの感染を防ぐために使用されます。

  • Risk Communication (リスクコミュニケーション) (解説箇所へ)

    あるリスク(危険性)について、関係者(専門家、行政、一般市民など)の間で情報や意見を共有し、相互理解を深め、より良い意思決定や行動につなげるための対話プロセスです。SFTSのような感染症対策において重要です。

  • Seasonality (季節性) (解説箇所へ)

    ある現象(病気の発生など)が、特定の季節に集中して見られる傾向のことです。SFTSはマダニの活動期である春から秋にかけて患者発生が多く、明確な季節性があります。

  • Secondary Infection (二次感染) (解説箇所へ)

    最初の感染(例:マダニからの感染)によって病気になった人や動物から、他の人や動物に病原体が伝播して感染することです。SFTSでは、感染したヒトや動物の血液・体液を介した二次感染が報告されています。

  • SFTS (Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome) (解説箇所へ)

    SFTSウイルスによって引き起こされるマダニ媒介性の人獣共通感染症です。高熱血小板減少を主な特徴とし、重症化すると致死率が高い病気です。

  • SFTS Virus (SFTSV, SFTSウイルス) (解説箇所へ)

    SFTSの原因となるウイルスです。フェヌイウイルス科バンダウイルス属に分類されます。

  • Supportive Care (対症療法) (解説箇所へ)

    病気の原因そのものを取り除くのではなく、病気によって現れている症状(発熱、痛み、脱水など)を和らげ、体が回復するのを助ける治療法です。SFTSには特効薬がなかったため、これまで治療の中心でした。

  • Surveillance (サーベイランス) (解説箇所へ)

    感染症の発生状況や病原体の広がりなどを、継続的に監視・調査し、データを収集・分析することです。感染症の流行状況を把握し、対策を立てるために不可欠です。

  • Thrombocytopenia (血小板減少) (解説箇所へ)

    血液中の血小板の数が通常より少なくなる状態です。血小板は血液を固める働きがあるため、減少すると出血しやすくなります。SFTSの主要な特徴の一つです。

  • Tick (マダニ) (解説箇所へ)

    ダニ目に属する節足動物で、動物やヒトから吸血します。SFTSウイルスを含む様々な病原体を媒介することが知られており、SFTSの主要な感染源となります。

  • Tick-borne Diseases (マダニ媒介感染症) (解説箇所へ)

    マダニが病原体(ウイルス、細菌、原虫など)を運び、人間や動物に感染させる病気の総称です。SFTS以外にも、日本紅斑熱、ライム病などがあります。

  • Transfusion (輸血) (解説箇所へ)

    血液や血液成分(赤血球、血小板、血漿など)を、点滴などで体内に補充する治療法です。SFTSによる重度の貧血や血小板減少出血傾向に対して行われることがあります。

  • Vector (ベクター) (解説箇所へ)

    病原体を、ある生物(感染源)から別の生物(宿主)へと運び、感染を媒介する生物のことです。SFTSにおいては、マダニが主要なベクターです。

  • Vomiting (嘔吐) (解説箇所へ)

    胃の内容物を口から吐き出すこと。SFTS患者や感染動物に見られる消化器症状の一つです。

  • Yellowing (黄疸) (解説箇所へ)

    Jaundice を参照。

  • Zoonosis (人獣共通感染症) (解説箇所へ)

    動物から人間へ、あるいは人間から動物へ感染する病気のことです。SFTSは代表的な人獣共通感染症の一つです。

補足資料

補足1:様々な感想

本書の内容について、様々な人物になりきって感想を述べてみました。

ずんだもんの感想

いや〜、SFTSってば、ネコさんもかかっちゃう病気なんだって〜。ひえぇ〜、マダニって怖すぎるんだもん!あの小さい虫に刺されただけで、あんなに重い病気になっちゃうなんて、信じられないんだもん。うちのネコさんも外に出るのが好きなんだども、これからはもっと気をつけないといけないんだもん。マダニ対策のお薬、ちゃんと使ってあげるんだもん!もしネコさんが元気なくなったり熱出したりしたら、すぐ病院に連れていくんだもん。飼い主さんも移る可能性があるって聞いて、ちょっとブルブルしちゃったんだもん。でも、正しく知っていれば大丈夫なんだもんね!みんなも気をつけるんだもん!

ビジネス用語を多用するホリエモン風の感想

はあ?SFTS?また訳わかんない感染症の話かよ。要するに、マダニが媒介するウイルスで、猫とか人間がヤバくなるってことだろ。これ、完全に「リスク管理」の問題じゃん。ダニ対策怠ってた奴らが悪い。ペット飼うなら、そこんところの「デューデリジェンス」はちゃんとやれよ。獣医とか、この手の「ニッチ」な分野で食ってくなら、「最新情報」と「技術革新」追っかけないとダメになるぞ。特に治療薬の「ファビピルビル」承認とか、これは「ゲームチェンジ」の可能性あるから、ビジネスチャンスとして注目しとけ。てか、地域拡大?これって「マーケット」が広がってるってこと?まあ、無駄に騒ぐより、冷静に「ファクトベース」で対策打つのが合理的だろ。感情論で「ブランディング」損なうなよ。はい、論破。

西村ひろゆき風の感想

SFTSねぇ。まあ、ダニに刺されるから病気になるんでしょ?当たり前じゃないですか。なんで騒いでるの?「マダニ対策が重要です」とか、小学生でもわかること言ってて草生えるわ。ペット飼ってて外に出すとか、それはもう「リスク」を承知でやってるわけでしょ?それを病気になったら騒ぐって、頭お菓子いんじゃないの。室内飼いでも移るって?まあ、ダニが家に入ってくる可能性なんてゼロじゃないんだから、そりゃそうなることもあるでしょ。完璧な対策なんて無理だし。致死率3割?インフルエンザだって死ぬ人いるし、別に大したことないんじゃない?まあ、死にたくないなら山とか草むら行かなきゃいいだけ。シンプルでしょ。猫が死んだ?可哀想だね。でも、それが自然の摂理じゃないですか。何か問題でも?

補足2:詳細年表

本書で提示した年表を、さらに詳細に記述したものです。

年代 月日・時期 主な出来事 詳細 関連
2009年頃 不明 中国でSFTS様の熱性疾患が発生し始める 湖北省などを中心に、血小板減少を伴う原因不明の重症熱性疾患の患者が報告され始める。 新興感染症の出現、初期段階の疫学調査
2011年 夏頃 SFTSウイルスが特定され、SFTSと命名 中国疾病予防控制センターの研究者により、患者検体から新しいブニヤウイルス科ウイルスが分離・同定される。後に「Severe Fever with Thrombocytopenia Syndrome」と命名。 ウイルス学、病原体特定
2012年 以降 中国・韓国でのSFTS患者報告が増加 SFTSが両国で公衆衛生上の課題として認識され、本格的な調査・研究が開始される。 国際的な広がり
2013年 1月 日本国内で初のヒトSFTS患者を確認 山口県の成人男性が、海外渡航歴なく国内でSFTSに感染し死亡した事例が確認・公表される。感染源は国内のマダニと推定。 日本のSFTS対策開始、メディア報道
2013年 年間を通じて 日本各地でヒトSFTS症例報告が始まる 特に西日本(山口、広島、愛媛、高知、大分など)で患者が報告される。厚生労働省や国立感染症研究所による情報発信が強化される。 全国的な疫学調査、情報収集
2014年 以降 動物(犬、猫など)のSFTSウイルス感染が報告される SFTS流行地域で飼育されている犬や猫において、SFTSウイルスの抗体や遺伝子が検出される事例が日本の研究者から報告されるようになる。 獣医学分野での認知、研究開始
2014年 以降 動物からヒトへのSFTS感染事例が報告される SFTSを発症した犬や猫の体液に接触した飼い主や動物病院関係者がSFTSに感染した可能性の高い事例が複数報告される。人獣共通感染症としての側面がクローズアップされる。 人獣共通感染症リスクの顕在化、動物病院での感染対策強化
〜2023年 年間を通じて 日本国内のSFTS症例が継続的に発生・増加 年間100例を超える報告が定常化し、累積症例数は1000例に近づく。発生地域は西日本以外にも徐々に広がりを見せる(例:静岡県、和歌山県など)。患者の年齢中央値は70歳代で推移。 サーベイランス継続、地域拡大傾向の確認
2024年 4月下旬 茨城県の飼育猫が屋外へ脱走、マダニ付着 普段室内飼育されていた1歳メスネコが短時間屋外に出て、多数のマダニが付着。飼い主が動物病院で除去。 個別事例の発生
2024年 5月9日 猫が体調不良で再受診 猫が高熱(40.9℃)、食欲不振、嘔吐などを呈し、再び動物病院へ。 症状の発現
2024年 5月10日 猫に黄疸が出現 症状が悪化し、黄疸が見られるようになる。獣医師がSFTSを疑い、県に相談。 SFTS疑い、行政への報告
2024年 5月12日 猫が死亡 症状の改善なく、自宅で看病中に死亡。 病状の急速な進行、死亡確認
2024年 5月15日 猫のSFTSウイルス陽性が判明 茨城県の検査により、SFTSウイルスの陽性が確定。関東地方初のペット感染確認例とみられる。 診断確定、メディア報道
2024年 5月下旬 茨城県獣医師会から注意喚起通知 県獣医師会を通じて、県内の獣医師に対し、SFTSの感染対策や疑い事例への対応について注意喚起が行われる。 獣医療現場への影響
2024年 6月 抗ウイルス薬「ファビピラビル」がヒトSFTS治療薬として承認 ファビピラビル(一般名:アビガン®)が、製造販売承認の際にSFTSに対する効能・効果を追加する形で承認される。 治療法進展、公衆衛生対策
22025年 4月30日 感染症発生動向調査によるSFTS累積症例数 日本国内でのSFTS累積届出症例数が1,071例に達する(本書レポート記載時点の最新データ)。患者の年齢中央値は74歳。 最新疫学データ公表
現在 継続中 SFTSに関する研究・対策の継続 マダニや野生動物におけるウイルス調査、ヒト・動物の病態研究、診断・治療法の開発、公衆衛生対策、国民・飼育者への啓発活動、医療・獣医療間の連携強化などが国内外で進められている。 今後の課題、継続的な取り組み

補足3:オリジナルの遊戯王カード化

SFTSの世界観をイメージして、遊戯王カード風にしてみました。

モンスターカード:重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSV)
  • カード種類: 効果モンスター
  • 属性:
  • 種族: 昆虫族(ウイルスそのものですが、媒介者であるマダニをイメージして種族を設定)
  • レベル: 4
  • 攻撃力: 1000
  • 守備力: 1500
  • テキスト: このカードは通常召喚できない。自分フィールドに「マダニトークン」が表側表示で存在する場合に特殊召喚できる。①:このカードがフィールドに存在する限り、相手フィールドの獣族モンスター(猫や犬など)の攻撃力・守備力は500ポイントダウンする。②:このカードが戦闘または相手のカード効果で破壊され墓地へ送られた場合、相手フィールドのモンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力・守備力はターン終了時まで半分になる。
  • 解説: マダニから特殊召喚されるウイルス。動物(獣族)を弱体化させ、倒されても相手にダメージを与える効果を持ちます。
トークンモンスターカード:マダニトークン
  • カード種類: トークンモンスター
  • 属性:
  • 種族: 昆虫族
  • レベル: 1
  • 攻撃力: 0
  • 守備力: 0
  • テキスト: このトークンはリリースできない。(このトークンは特殊召喚されたモンスターの代わりにフィールドに置く。)
  • 解説: ウイルスを運ぶマダニを表します。単体では攻撃力・守備力はありませんが、SFTSVを呼び出すための重要な存在です。
魔法カード:愛玩動物の感染
  • カード種類: 通常魔法
  • テキスト: ①:自分フィールドの「SFTSV」モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターの攻撃力はバトルフェイズ終了時まで倍になる。②:自分フィールドの獣族モンスター1体を対象として発動できる。そのモンスターはフィールドに表側表示で存在する限り、「SFTSV」モンスターの効果の対象にならない。
  • 解説: ペットへの感染がウイルスの力を強める(恐らく重症化を示す)側面と、ペットを守るための対策の側面を表すカードです。
速攻魔法カード:マダニ駆除薬
  • カード種類: 速攻魔法
  • テキスト: ①:相手フィールドの「SFTSV」モンスターまたは「マダニトークン」1体を対象として発動できる。そのモンスターを破壊する。
  • 解説: SFTS予防の基本であるマダニ対策を表すカード。敵の根源を絶つイメージです。
罠カード:早期診断キット
  • カード種類: 通常罠
  • テキスト: ①:相手フィールドにモンスターが特殊召喚された時、そのモンスターの種族が獣族または昆虫族の場合に発動できる。そのモンスターのコントロールを相手に戻し、そのモンスターは次のターンのスタンバイフェイズ終了時まで攻撃及び効果を発動できない。
  • 解説: 早期にSFTSの可能性に気づき、適切な対応(ここでは相手の動きを封じる)を行うことの重要性を表すカードです。

補足4:一人ノリツッコミ(関西弁で)

SFTSについて関西弁で一人ノリツッコミしてみました。

「いやぁ、SFTSって病気、ほんま怖いらしいで。マダニに噛まれて、熱出て、フラフラになって…」
「しかも、ウチの可愛いネコちゃんもかかるんやって!ウチの子、ずーっと家の中におるから絶対大丈夫やわー。…え?茨城のニュース見ぃ!室内飼いやった猫が、ちょっと外に出ただけで感染したん?!」
「うわっ、マジか!ウチの子も玄関開けたらダーッと飛び出そうとすんねん!あれ、止めなあかんやん!ヤバい、マダニ対策ちゃんとしとかなあかん!」
「しかも、猫やとあっという間に重症化して、最悪、死んでまうこともあるらしい…ショックや…ウチの子がそんなことになったらどうしよ…」
「あれ?でも、あの死んじゃった猫を看病してた飼い主さんとか、病院の先生は感染せんかったんや?…ふぅ、二次感染はそんなにしょっちゅうあるわけやないんか。ちょっと安心したけど、油断は禁物やなぁ!」

補足5:大喜利

お題:マダニが思わず「やられた!」と悔しがる、効果的なSFTS予防策とは?

  • 答え:猫がお腹を出して寝る時、飼い主が高速でマダニがいないかチェックする「猫の腹見せダニチェック光速スキャン」
  • 答え:虫除けスプレーをかけられた猫が、スプレーの香りでマダニを酔わせ、人生相談に乗ってあげる
  • 答え:マダニを捕獲したら、「お前が媒介するウイルスの恐ろしさを教えてやる!」と、本書をマダニに読み聞かせ、自らの存在意義を問い直させる
  • 答え:猫に装着した「マダニ探知機能付き首輪」が、マダニを感知するたびに「にゃーん❤️」という可愛すぎる声を発し、マダニの闘争心を完全に奪い去る
  • 答え:マダニが「よし、今日の獲物はあの子だ!」と思った瞬間、猫が突然「ヘックション!」と大きなクシャミをして、マダニを吹き飛ばす
  • 答え:マダニが吸血しようと皮膚に近づいたら、猫が突然「ニャーッ!」と威嚇し、マダニが驚いて逃げ出す

補足6:予測されるネットの反応(コメントと反論)

本書の内容、特に茨城県の猫の事例報道に対する様々なネットコミュニティでの反応を予測し、それに対する反論を述べます。

なんJ民
  • コメント:「ネッコかわいそう… マダニ氏ねや!」「うちの猫も外遊び好きなんやけどどうすればええんや…」「結局西の方の病気ちゃうんか?関東は関係ないやろ(適当)」
  • 反論:確かに感染した猫は可哀想ですが、SFTSという病気の原因はウイルスであり、媒介者であるマダニを無闇に憎むだけでなく、適切な対策が重要です。今回の茨城の事例のように、関東でもペット感染が確認されており、地域に関わらず注意が必要です。ペットの外遊びはSFTSだけでなく他の感染症や事故のリスクも伴うため、可能な限り室内飼いにしたり、外出時は徹底的なマダニ対策と帰宅後のチェックが必要です。
ケンモメン
  • コメント:「また政府の隠蔽か?SFTSはもっと広まってるだろ」「ペットなんか飼うからこうなる」「どうせワクチンとか治療薬で製薬会社が儲けるための情報操作」「ダニに刺されるのは自己責任だろ」
  • 反論:SFTSに関する情報は厚生労働省や国立感染症研究所が積極的に公開しており、隠蔽されている可能性は低いと考えられます。感染症の予防や治療法開発は、社会全体の健康を守るために必要な取り組みであり、単純に企業の利益目的と断じるのは短絡的です。ペットは家族の一員であり、適切な飼育管理は倫理的な責任を伴います。マダニに刺されないための対策は推奨されますが、必ずしも自己責任論で片付けられる問題ではありません。公衆衛生上のリスクを低減するために、社会全体で取り組むべき課題です。
ツイフェミ
  • コメント:「ペットの世話は女に押し付けられるから感染リスクも女が高い!」「男は無頓着でマダニ対策しないから、代わりに女がペットの世話で危険に晒される!」「猫を外に出すとか男の勝手な行動が原因!」
  • 反論:SFTSの感染リスクは性別に関係なく、マダニへの曝露機会や感染動物との接触機会に依存します。ペットの世話やマダニ対策は、家族全員で協力して行うべき課題であり、特定の性別に責任を押し付けるのは適切ではありません。性別に関わらず、正しい知識を持って適切な予防行動をとることが重要です。
爆サイ民
  • コメント:「近所でSFTSの猫が出たらしいぞ!ヤバい!引っ越すか?」「あの家の猫じゃないか?汚ねぇからだよ」「風評被害だ!猫を飼ってる奴らは近づくな!」
  • 反論:パニックになる必要はありません。SFTSは空気感染する病気ではなく、主にマダニを介して感染します。感染した猫からヒトへの感染は稀であり、適切な注意を払えば過度に恐れる必要はありません。特定の家や猫を誹謗中傷したり、差別したりすることは許されません。正確な情報に基づいて冷静に対応することが重要です。風評被害は、病気そのもの以上に深刻な影響を与える可能性があります。
Reddit / HackerNews
  • コメント:「Interesting case study from Japan, highlighting the expanding geographical range of SFTS and the risk to domestic animals.」「Are there specific genetic factors in SFTSV strains prevalent in Eastern Japan vs. Western Japan?」「This raises questions about urban tick populations and zoonotic transmission risks in developed areas.」「Any data on tick control effectiveness in residential areas or parks?」
  • 反論:Yes, this case from Ibaraki is indeed significant for understanding the changing epidemiology of SFTS in Japan. Research on regional differences in SFTSV strains and tick populations is ongoing, and more data is needed, especially in urban and suburban areas. Effective tick control methods in residential and public spaces are crucial but challenging to implement widely. The case highlights the need for further research into these areas and enhanced surveillance beyond the traditionally high-prevalence regions. However, it's also important not to jump to conclusions based on a single case without comprehensive epidemiological data.
目黒孝二風書評
  • コメント:「このレポートは、現代社会が抱える新たな脅威、すなわち、自然界と人間の生活圏が交錯する境界領域で発生する新興感染症の脆弱性を鋭く抉り出す。特に、愛玩動物を介した感染という、我々の最も身近な存在が媒介者となりうる可能性を提示した点で、単なる医学報告に留まらない、文明論的な問いを孕んでいる。室内という安全な空間ですら完全に保証されない感染リスクは、我々の『安全神話』を根底から覆す。SFTSは、マダニという微小な生命体を介して、人間の傲慢なまでの支配領域に対する自然からの報復、あるいは警告として顕現したのではないか。このレポートは、単に病気を解説するのではなく、人間と自然、そして動物との関係性という、古くて新しい問題への向き合い方を静かに問い直している。」
  • 反論:文学的かつ哲学的な洞察は興味深いですが、SFTSのような感染症は、自然の摂理の一部であり、特定の「報復」や「警告」といった概念で捉えるのは科学的ではありません。感染リスクは確かに存在しますが、適切な科学的知見に基づいた予防策や対策を講じることで、リスクを管理し、共存していく道を探るのが現実的なアプローチです。このレポートは、感情論や哲学ではなく、あくまで科学的な事実と対策に基づいた実践的な情報を伝えることを目的としています。SFTSを自然からの警告として捉えることは詩的ですが、具体的な対策を講じる上では科学的なアプローチが不可欠です。

補足7:高校生向けクイズ・大学生向けレポート課題

本書の内容を理解できたか確認するための簡単なクイズと、さらに深く学ぶためのレポート課題です。

高校生向け4択クイズ

問1:SFTS(重症熱性血小板減少症候群)の主な感染源は何ですか?

  1. ノミ
  2. マダニ
  3. ハエ

問2:SFTSに感染した猫が示す主な症状として、適切でないものはどれですか?

  1. 高熱
  2. 黄疸(皮膚や白目が黄色くなる)
  3. 異常な興奮
  4. 食欲不振や元気がない

問3:SFTSの予防のために、野外活動やペットとの関わりで最も重要な対策は何ですか?

  1. 手洗いとうがいをこまめにする
  2. マスクを常に着用する
  3. マダニに刺されない・付着させない対策
  4. 感染した動物を処分する

問4:SFTSに感染して発症した猫から、稀にヒトへ感染することが報告されています。どのような接触がリスクになる可能性がありますか?

  1. 猫と同じ部屋で過ごすこと
  2. 猫の毛をなでること
  3. 猫の血液や体液に直接触れること
  4. 猫が歩いた床に触れること

(正解:問1 C, 問2 C, 問3 C, 問4 C)

大学生向けレポート課題

以下のテーマから一つを選び、本書の内容や参考文献、さらに独自に調査した情報も踏まえて、A4用紙2〜3枚程度(図表含む)のレポートを作成しなさい。

  1. テーマ1: 関東地方におけるSFTSの地域拡大リスクについて、茨城県の猫の事例を具体例として挙げつつ、その背景要因(マダニ分布、野生動物のウイルス保有状況、気候変動など)を多角的に考察し、今後の予測される課題と必要なサーベイランス体制の強化について論じなさい。
  2. テーマ2: SFTSにおける「ワンヘルス」の概念の重要性について、ヒトと動物双方の感染経路、診断・治療、そして予防対策の連携という観点から具体的に説明し、医療機関と動物病院間の連携を強化するための具体的な提案をまとめなさい。
  3. テーマ3: ペット(特に猫と犬)におけるSFTS感染のリスクについて、本書で述べられている症状や予後、ヒトへの二次感染リスクなどを踏まえ、ペット飼育者が取るべき具体的な予防策(マダニ対策、健康管理、リスクコミュニケーション)について、科学的根拠に基づき詳細に解説しなさい。
  4. テーマ4: SFTSに対するワクチンや新しい治療薬の開発研究の現状と課題について、本書で触れられているファビピラビルの承認も含めて調査し、今後の研究開発において重要な視点や、実現可能性について考察しなさい。

補足8:記事情報

この記事に関する様々な情報、タイトル案、タグなどをまとめました。

潜在的読者のためのキャッチーなタイトル案
  • 【緊急速報】SFTS、猫に迫る!関東初のペット感染事例が示す新たな脅威と対策
  • あなたの猫は大丈夫?致死率3割のSFTSから愛する家族を守るために
  • SFTS最新レポート:マダニ感染症はここまで来ている!猫、そして人間へのリスク
  • 室内飼いでも油断禁物!猫のSFTS陽性事例から学ぶ感染症対策最前線
  • 見えない敵、マダニ!SFTSから身を守る知識と行動
  • あなたの知らないSFTS:マダニ、ペット、そして人。複雑な感染の連鎖を断ち切るには
SNSなどで共有するときに付加するべきハッシュタグ案

#SFTS #重症熱性血小板減少症候群 #マダニ #猫 #ペット #感染症 #人獣共通感染症 #動物病院 #獣医療 #公衆衛生 #感染対策 #健康情報 #茨城 #注意喚起 #ワンヘルス #動物の健康 #猫のいる暮らし #犬のいる暮らし #ペットを守ろう

※ #予防接種 はSFTSにワクチンがないため、情報誤認を防ぐためにも含めない方が良いでしょう。検索流入用としてなら敢えて入れることも検討できますが、今回は正確性を優先します。

SNS共有用に120字以内に収まるようなタイトルとハッシュタグの文章

猫のSFTS陽性、関東で初のペット感染事例発生!致死率3割の危険な病気から愛猫とあなたを守るために知っておくべきこと。マダニ対策徹底を! #SFTS #猫 #マダニ #感染症 #ペット #注意喚起

ブックマーク用にタグを[]で区切って一行で出力

[498][SFTS][猫][マダニ][感染症][人獣共通][対策]

※日本十進分類表(NDC)区分「498 公衆衛生・衛生学」を参考。

この記事に対してピッタリの絵文字

🐱🕷️💉🤒🩸⚠️🦠🩺💔🏠🌳🗺️🔬🛡️❤️

この記事にふさわしいカスタムパーマリンク案

sfts-cat-kanto-case-and-prevention

sfts-risks-pets-humans-japan

severe-fever-thrombocytopenia-cat-study

この記事の内容が単行本ならば日本十進分類表(NDC)区分のどれに値するか

498 公衆衛生・衛生学 が最も適当です。人獣共通感染症として、ヒトと動物双方の健康、そしてそれを取り巻く環境衛生を包括的に扱う内容であるためです。

より細かく見る場合、以下の区分も関連します。

  • 497 獣医学 (特に動物の感染症として)
  • 494 内科学 (ヒトの臨床医学として)
  • 518 衛生工学・環境衛生工学 (環境要因やマダニ対策として)

しかし、全体として人獣共通感染症の公衆衛生的な側面、予防、啓発に重点が置かれているため、やはり **498** が最も適切な主要区分と考えられます。

コメント

このブログの人気の投稿

#shadps4とは何か?shadps4は早いプレイステーション4用エミュレータWindowsを,Linuxそしてmacの #八21

🚀Void登場!Cursorに代わるオープンソースAIコーディングIDEの全貌と未来とは?#AI開発 #OSS #プログラミング効率化 #五09

#INVIDIOUSを用いて広告なしにyoutubeをみる方法 #士17