現代のフーケたち――ピーター・ティール、イーロン・マスク、ジェンスン・フアンと、国家を支配する民間インフラ #士04 #1615一27ニコラ・フーケ_江戸フランス史ざっくり解説
現代のフーケたち――ピーター・ティール、イーロン・マスク、ジェンスン・フアンと、国家を支配する民間インフラ 17世紀フランスに、ニコラ・フーケという男がいた。 彼はルイ14世の財務総監だった。王国の財政を支え、金融業者を動かし、莫大な富を築いた。そして、ヴォー=ル=ヴィコント城という壮麗な宮殿を建設した。 1661年8月17日、フーケは国王ルイ14世を招いて盛大な祝宴を催した。建築、庭園、絵画、音楽、料理。フランス最高の芸術家たちを集めたその宴は、当時の文化的到達点だった。 しかし、わずか19日後の9月5日、フーケは逮捕された。 国王に仕える臣下が、国王に匹敵するほどの富と威信を持つようになった。国王のために働いていたはずの男が、いつの間にか国王とは別の権力中心になっていた。 もちろん、フーケの失脚には財政不正の疑惑、コルベールとの権力闘争、王権強化という複数の要因が絡んでいる。豪華な城を建てたから逮捕された、という単純な話ではない。 しかし、ここには現代にも通じる問題がある。 21世紀の世界には、現代のフーケとも呼ぶべき人物たちがいる。 ピーター・ティール、イーロン・マスク、ジェンスン・フアン。 彼らは王宮を建てない。代わりに、人工知能、衛星通信、半導体、クラウド、データ分析、ロケット、エネルギーという、国家の機能そのものを支えるインフラを構築している。 彼らの富が問題なのではない。 問題は、国家が彼らの所有するインフラなしには、従来と同じ能力を維持できなくなる可能性である。 1. フーケ問題――臣下が王の必要条件になるとき フーケの時代、フランス王室は慢性的な財政難に苦しんでいた。 戦争には資金が必要だった。徴税制度は複雑で、税収は必ずしも安定していなかった。王室は金融業者や徴税請負人のネットワークに依存していた。 フーケは、その仕組みの中心にいた。 彼は王室に資金を供給する一方、自身も金融ネットワークを利用して富を蓄積した。つまり、国家の財政機能を支える立場でありながら、その機能を動かす人的・経済的ネットワークを自らの影響下に置いていた。 この構造を抽象化すると、次のようになる。 国家 | | 資源・機能の供給を委任 v 民間の有力主体 | +-- 資本 +-- 技術 +-- 人材 +-- 情報 +-- 供給ネッ...