#炭素税vs排出量取引――市場を殺したのは誰か:環境政策における「保守の自殺」と官僚の勝利 📉💸 #王31 #1990_2025炭素税の歴史_平成経済学史ざっくり解説
市場を殺したのは誰か:環境政策における「保守の自殺」と官僚の勝利 📉💸 炭素税vs排出量取引――「次善の策」が招く政治経済学的ディストピア 年 出来事 詳細・国/地域 1920年代 ピグー税の理論提唱 Arthur Pigouが負の外部性を税で内部化する枠組みを提案(炭素税の理論的基盤)。 1990 世界初の炭素税導入 フィンランド(初期低率、後増加)。 1991 スウェーデン・ノルウェー・デンマークで導入 北欧諸国で本格化、高税率で排出削減効果。 2005 EU ETS(排出量取引制度)開始 欧州連合(炭素税と並行)。 2008 ブリティッシュコロンビア州の歳入中立炭素税 カナダ(成功例、経済成長と排出削減両立)。 2012 日本で「地球温暖化対策のための税」(温対税)導入 CO2 1tあたり289円相当、段階的施行(2016年最終税率)。 2017 チリで全国炭素税導入 南米初。 2019 シンガポールで炭素税導入 アジアで日本以外初。 2021 中国全国排出量取引開始 世界最大規模。 2023 EU CBAM(炭素国境調整措置)移行期間開始 輸入品に炭素コスト反映。 2024 世界の炭素価格収益が記録的1000億ドル超 75の仕組みでグローバル排出28%カバー。 2025 デンマークで畜産向け炭素税(世界初) 農業セクター拡大。 目次 まえがき 第一部 幻想の政治経済学:理論と現実の乖離 第一章 四つの選択肢と一つの嘘 第二章 「等価性」の罠:炭素税とキャップ・アンド・トレード 第三章 保守主義の知的崩壊と戦略的敗北 第二部 現場からのケーススタディ:オンタリオの憂鬱(※後半へ続く) 第三部 未来への提言と日本への示唆(※後半へ続く) 第四部 歴史の審判:2015-2025年の実証分析(※後半へ続く) 本書の目的と構成 本書は、環境経済学における最も古く、かつ最も解決困難な問いの一つである「価格(税)」対「数量(枠)」の論争を、2010年代半ばのカナダ・オンタリオ州という具体的な政治的実験場を通じて解剖する試みです。 なぜ、経済学者がこぞって推奨する「炭素税」は政治の場で忌避され、より複雑で、より腐敗のリスクが高い「キャップ・アンド・トレード(排出量取引)」が選ばれるのか。あるいは、...