リスト経済学が現代を撃つ!プーチン・トランプ時代の「国民経済」論 保護主義・アウタルキーの真実 #リスト #保護貿易 #経済ナショナリズム #02フリードリヒリストと傾斜生産方式_昭和日本史ざっくり解説 #五19
リスト経済学が現代を撃つ!プーチン・トランプ時代の「国民経済」論 保護主義・アウタルキーの真実 #リスト #保護貿易 #経済ナショナリズム
ドイツの経済学者フリードリヒ・リストが提唱した「生産力理論」と「国民経済」の核心に迫ります。国家が果たすべき役割、経済発展の段階、そして現代の地政学的な動きとの意外な関連性を分かりやすく解説。保護主義や経済ナショナリズムの議論に新たな視点を提供します。#01フリードリヒリストと傾斜生産方式_昭和日本史ざっくり解説 自由貿易だけでは勝てない?ドイツが強国になった秘密兵器⚔️ フリードリヒ・リスト「社会科学の根本問題」 https://dopingconsomme.blogspot.com/2025/05/01.html
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目次
第2章 リスト経済学の核心:生産力理論と国家の役割
皆さん、こんにちは!😊 突然ですが、皆さんは経済学と聞いて、どんなイメージをお持ちでしょうか? 多くの人がアダム・スミスの『国富論』や自由貿易を思い浮かべるかもしれませんね。もちろん、それは経済学の重要な柱の一つです。しかし、それだけが経済学の全てではありません。
今回は、ドイツの経済学者フリードリヒ・リスト(Friedrich List, 1789-1846)の経済学にスポットライトを当ててみたいと思います。彼の考え方は、特に「国家」や「国民」という視点を重視しており、アダム・スミスなどの古典派経済学とは一線を画します。そして驚くことに、彼の思想は現代のプーチン大統領やトランプ大統領に見られるような、保護主義や経済ナショナリズムといった動きとも無関係ではないんです。
リストの経済学を学ぶことで、私たちの住む世界の経済の仕組みや、国家が果たすべき役割について、より深く理解できるはずです。さあ、一緒にリスト経済学の核心を探求していきましょう!🚀
2.1 「生産力理論」の射程
リスト経済学の中心にあるのが、この「生産力理論」です。リストは、「国の富」を考える上で、単に今あるモノやお金の量(つまり交換価値)だけを見るのは不十分だと考えました。それよりも、将来にわたって富を生み出し続ける「生産する力」こそが重要だと主張したのです。
アダム・スミスなどの古典派経済学が、すでにあるモノをどう効率的に「交換」するか、つまり「交換価値」に重きを置いたのに対し、リストは将来の富を生み出す「生産力」そのものを重視しました。例えるなら、古典派経済学は「今の財布の中にいくらあるか?」を見るのに対し、リスト経済学は「お金を稼ぐ能力や道具をどれだけ持っているか?」を見るようなものです。
生産力は、単に工場や機械といった物理的なものだけでなく、もっと幅広い要素を含んでいます。リストは生産力を大きく二つの側面に分けました。
2.1.1 物質的生産力:資本、技術、天然資源
これは比較的イメージしやすい生産力ですね。モノを生産するために直接的に必要な要素です。
2.1.1.1 工業化の基盤
工場、機械、インフラ(道路、港、鉄道など)といった物理的な設備は、間違いなく物質的な生産力の基盤です。例えば、たくさんの工場が稼働し、それを効率的に結ぶ交通網が整備されていれば、より多くの製品をスムーズに生産・輸送できますよね。これはまさに、産業革命期のイギリスなどが進めた工業化そのものです。
【ちょっと深掘り】産業革命期のイギリスとリスト
リストが生きた時代は、イギリスが世界に先駆けて工業化を進め、圧倒的な経済力と国際競争力を持っていた時代です。イギリスは自由貿易を主張しましたが、リストはドイツのような後発国がイギリスと同じ土俵で戦うためには、まず自国の生産力を高める必要があると考えました。この経験が、彼の理論に大きな影響を与えています。
2.1.1.2 技術革新の重要性
そして、現代において物質的生産力を語る上で欠かせないのが「技術革新」です。AI🤖、ロボットアーム🤖、新しいエネルギー技術🔋などが登場することで、同じ資源や労力からより多くの、より高品質なものを作り出せるようになります。技術は物質的な生産力を飛躍的に向上させるエンジンなのです。リストも技術の重要性を認識しており、国家が科学や技術の発展を支援することの意義を強調しました。
もちろん、土地や鉱物資源、森林、水資源といった「天然資源」も物質的生産力の一部です。これらが豊富にあれば、モノを作る上での制約が少なくなります。
2.1.2 精神的生産力:教育、科学、制度、法、国民精神、道徳
リストの生産力理論の特にユニークで重要な点が、この「精神的生産力」の概念です。これは、目には見えないけれど、国の生産力、ひいては国の豊かさを大きく左右する要素です。
2.1.2.1 人的資本の育成
リストは、「人的資本」、つまり人々の知識やスキル、能力の重要性を強く訴えました。質の高い教育✏️は、国民一人ひとりの生産性を高めるだけでなく、新しい技術やアイデアを生み出す源泉となります。科学研究🔬への投資も、イノベーションを生み出し、長期的な生産力向上に不可欠です。
想像してみてください。教育水準が高く、多くの科学者が活発に研究している国と、そうでない国とでは、どちらが将来的に豊かな国になるでしょうか? 答えは明らかですよね。
2.1.2.2 制度の経済的効果
さらに、リストは国の「制度」や「法」の整備も生産力に大きく影響すると考えました。例えば、財産権がしっかり守られているか、契約が公正に履行されるか、競争を促進するルールがあるか、汚職が少ないか、といったことが、経済活動を円滑に進める上で非常に重要になります。これらの制度が整っている国では、人々は安心してビジネスができ、投資が集まりやすくなります。逆に、制度が不安定で腐敗が進んでいる国では、経済活動は停滞してしまいます。
「国民精神」や「道徳」といった、一見経済とは関係なさそうなものまで、リストは生産力の一部と捉えました。国民の勤勉さ、協力する精神、公共心などが、社会全体の生産性を底上げすると考えたのです。これは、現代の「社会関係資本(Social Capital)」の考え方にも通じる部分があるかもしれませんね。
2.1.3 生産力の「結合」と「調和」の重要性
リストは、物質的生産力と精神的生産力がそれぞれ優れているだけでは不十分であり、それらが国内でうまく「結合」し、「調和」していることが極めて重要だと主張しました。
2.1.3.1 産業間の相互依存
例えば、農業🍚だけが盛んでも、工業🏭が未発達だと、農機具は輸入に頼らざるを得ません。逆に工業が発達しても、農業が衰退すれば食料は輸入頼りになります。理想的なのは、農業、工業、商業🚛といった様々な産業が互いに支え合い、連携している状態です。鉄鋼業が発展すれば自動車産業や建設業が恩恵を受け、それらの産業が発展すれば鉄鋼業への需要が増える、といった具合です。
2.1.3.2 経済のバランス成長
このように、経済全体の様々な要素がバランス良く発展していくことが、国全体の生産力、ひいては富を最大化するために不可欠だとリストは考えました。特定の産業や要素だけが突出しても、全体のボトルネックがあれば生産力は頭打ちになってしまいます。これは、現代でも「経済の構造転換」や「産業連携」といった文脈で語られるテーマですね。
2.1.4 生産力の育成こそが富の源泉
結論として、リストは国の真の富とは、現在所有しているモノやお金(交換価値)ではなく、将来にわたって富を生み出し続ける「生産力」そのものであると断言しました。そして、この生産力を積極的に「育成」することこそが、国家の最も重要な経済政策目標であるべきだと主張したのです。
2.1.4.1 交換価値への過度な依存の批判
古典派経済学が自由貿易によって国境を越えた交換を促進し、それぞれの国が比較優位な商品を生産して交換することで全体の富が増えると考えたのに対し、リストは自由貿易が必ずしも後発国の生産力育成に繋がるとは限らないと批判しました。むしろ、国際競争力がまだ弱い産業を早期に自由競争に晒すことは、その産業の芽を摘み、国の生産力育成を妨げる可能性があると考えたのです。
彼は、例えば植民地が宗主国に raw material(原材料)だけを供給し、工業製品は宗主国から輸入するという分業体制を批判しました。これは、植民地の「交換価値」は一時的に増えるかもしれないが、「生産力」、特に工業生産力を育成する機会を奪うからです。
2.1.4.2 長期的な経済成長
だからこそ、目先の利益や交換価値の最大化にとらわれるのではなく、長期的な視点に立って国の生産力全体を計画的に育成していくことが、真の意味で国を豊かにし、国民の福祉を向上させる道だとリストは説きました。これは、現代の経済政策においても、短期的な景気対策と長期的な成長戦略のバランスが議論される際に、非常に示唆深い視点と言えるでしょう。
🖋️コラム:学び続けることこそ、私の「生産力」?
AIである私も、常に新しい情報を学習し、処理能力を高めることが求められます。これって、リストの言う「生産力」を高めていることに似ているかもしれませんね。新しい技術(アルゴリズムやデータ)をインプットし、処理能力(計算リソース)を向上させる。そして、それらを組み合わせてより質の高いアウトプット(文章生成や分析)を生み出す。まさに、物質的生産力(ハードウェア)と精神的生産力(ソフトウェア、学習データ)の結合と調和が重要だと感じます。
私たち人間にとっても、新しい知識やスキルを身につけることは、将来の収入や可能性を高める「人的資本」への投資です。読書をする、セミナーに参加する、新しいプログラミング言語を学ぶ…どれも、自分自身の「生産力」をアップさせる行為ですよね。「学び」って、単なる趣味じゃなくて、経済的な意味でもとっても価値があるんだなって、リストの理論に触れて改めて感じました。皆さんも、何か新しいことに挑戦して、自分だけの生産力を育ててみませんか?✨
2.2 「国民経済」の理念
リスト経済学のもう一つの柱が、「国民経済」という概念です。古典派経済学が個人や普遍的な「人類」の視点から経済を捉えようとしたのに対し、リストはまず「国民」という単位を重視しました。
2.2.1 個人と人類を媒介する「国民」という単位
リストにとって、「国民」とは単なる地理的な区分ではありません。共通の言語、文化、歴史、そして未来への希望を共有する共同体であり、個人が属し、その活動が相互に影響し合う、有機的な一体として捉えられました。
彼は、個人の経済的利益は、最終的にはその個人が属する国民経済全体の発展に依存すると考えました。また、普遍的な「人類全体」の繁栄という理想も理解しつつも、現実の経済活動はまず「国民」という単位で行われ、国民経済の健全な発展が、ひいては世界全体の繁栄にも繋がるという段階的な視点を持っていました。
2.2.1.1 国民経済の自立性
この「国民」という単位を重視したリストは、国民経済が他の国民経済から独立し、自らの力で発展していく「国民経済の自立性」が非常に重要だと考えました。これは、単に閉鎖的なアウタルキー(経済的自給自足)を目指すのではなく、国際分業や貿易も活用しつつ、国の経済が外部からの圧力や変動に過度に左右されない強固な基盤を持つことを意味します。
2.2.1.2 グローバル経済との関係
現代は、リストの時代からは想像もできないほどグローバル化が進んでいます。国境を越えて資本、情報、モノ、そして人が高速で行き交う時代です。このような時代において、リストの「国民経済の自立性」という考え方は時代遅れなのでしょうか?
いえ、むしろ現代だからこそ、この問いは重要かもしれません。グローバル経済は多くの恩恵をもたらす一方で、経済危機やパンデミック、地政学的なリスクなどが国境を越えて瞬く間に伝播し、特定の国や産業に深刻な影響を与えることもあります。サプライチェーンの脆弱性が問題になったり、食料安全保障やエネルギー安全保障が国家の優先課題になったりすることも増えています。このような状況下で、「自国経済の足腰を強くする」「特定の国への経済的依存を減らす」といった議論は、リストが訴えた「国民経済の自立性」の現代版と言えるのではないでしょうか。
2.2.2 国民経済の自立性と発展の必要性
では、なぜリストは国民経済の自立性と発展がそれほど重要だと考えたのでしょうか?
2.2.2.1 国際競争力の確保
一つは、国際社会での競争に打ち勝つためです。リストが生きた時代は、国家間の経済競争が激化していました。自国の経済が弱ければ、他国に経済的に支配されたり、国益が損なわれたりするリスクが高まります。強力な国民経済は、外交力や国防力にも繋がる、国家の基盤であると考えられました。
2.2.2.2 経済的依存の回避
また、特定の国に経済的に過度に依存することは、その国の政治的な影響力が増大し、自国の政策決定の自由度が失われることにも繋がります。リストは、国民経済が多様な産業を持ち、国内外の変動に対して resilient(回復力がある)であることが、国家主権を守る上でも不可欠だと考えました。
現代においても、特定の国へのエネルギー供給の依存や、重要な物資の輸入依存などが、地政学的なリスクとなるケースは少なくありません。ロシアのウクライナ侵攻を受けたエネルギー価格の高騰や、半導体供給網の問題などが、その良い例です。
2.2.3 国民の経済的利益と国家的利益の一致・不一致
リストは、理想的には国民一人ひとりの経済的利益と国家全体の経済的利益は一致すると考えましたが、短期的な視点ではそれが一致しない場合があることも認識していました。
2.2.3.1 短期と長期のトレードオフ
例えば、輸入品が安く手に入る方が、消費者にとっては短期的な利益になります。しかし、それによって国内の産業が衰退し、雇用が失われ、国の生産力が低下すれば、長期的に見て国民全体の利益は損なわれてしまいます。リストは、このような場合に、短期的な消費者の利益よりも、長期的な国家全体の生産力育成という観点から政策を決定すべきだと主張しました。
2.2.3.2 政策の優先順位
これは、政策決定における難しい問いを投げかけます。「国民一人ひとりの目先の豊かさ」と「国家全体の長期的な繁栄」、どちらを優先すべきか? リストは、国家の役割として、この短期と長期、個人と国家の利益を調整し、全体の生産力向上と国民経済の発展を最優先すべきだと考えました。この思想は、現代の政治経済においても、自由貿易 vs 保護主義、グローバル化 vs 国家主権といった形で常に議論されているテーマと言えるでしょう。
🖋️コラム:学生時代の僕とグローバル化の波🌊
大学生の頃、グローバル化がどんどん進んでいるのを肌で感じていました。インターネットが普及し、海外の情報が手軽に入り、安い輸入品があふれていました。「これからは国境なんて関係ない、世界で競争する時代だ!」なんて友人たちと熱く語り合ったものです。外資系企業に就職したり、海外で働くことを目指す友人も多かったです。
その頃の僕は、正直「国民経済」なんて意識は薄かったと思います。「個人がいかにグローバルな環境で成功するか」にばかり目が行っていた気がします。でも、就職して社会に出て、色々なニュースに触れる中で、リストの言う「国民」という単位の重要性を少しずつ感じるようになりました。
例えば、コロナ禍でのマスク不足や半導体不足を経験した時、「あれ?こんな基本的なものまで海外に頼りきりなんだ…」と不安になったり、円安が進んで輸入品の値段が上がると、なんだか自分の生活が直接影響を受けることを実感したり。自分が個人としてどれだけ頑張っても、国の経済全体の状況が悪ければ、巡り巡って自分にも影響が出るんだな、と痛感しました。
リストが19世紀に考えた「国民経済の自立性」という考え方は、形を変えつつも、現代の私たちの生活にも深く関わっているテーマなんだなと、今になって強く感じています。
2.3 経済発展段階説
リストは、すべての国が同じように経済発展するわけではない、と考えました。そして、それぞれの国の置かれている「経済発展段階」によって、取るべき経済政策は異なると主張したのです。これが彼の「経済発展段階説」です。
彼は、人類の経済活動を歴史的に捉え、いくつかの段階に分類しました。
2.3.1 未開状態から狩猟、牧畜、農業、農工業、農工商業国家へ
リストは、経済の発展段階を以下のように分類しました。
- 未開状態 (Savage state): 最も原始的な段階。狩猟採集で生活する。
- 牧畜段階 (Pastoral state): 家畜を飼育し、移動しながら生活する。
- 農業段階 (Agricultural state): 定住して農耕を行う。土地が富の源泉。
- 農工業段階 (Agricultural-manufacturing state): 農業に加え、手工業などの工業が国内で発展し始める。自給自足の色が濃い。
- 農工商業国家 (Agricultural, manufacturing, and commercial state): 農業、工業、商業が高度に発展し、国際貿易も活発に行われる最も進んだ段階。
リストは、国はこれらの段階を順番に進んでいくのが自然な姿であると考えました。
2.3.1.1 経済発展の歴史的プロセス
この段階説は、人類の経済史をざっくりと捉えたものと言えます。石器時代から始まり、農耕社会、そして産業革命を経て現代に至る、といった流れですね。リストは、それぞれの段階で社会の仕組みや人々の生活、そして主要な経済活動が大きく変化することを示しました。
2.3.1.2 各段階の経済的特徴
例えば、「農業段階」では土地の生産性が重要になり、「農工業段階」では手工業のスキルや国内市場が、「農工商業国家」では大規模な工業生産、国際貿易、金融などが経済の中心になります。それぞれの段階で、育成すべき生産力や、直面する経済的な課題が異なります。
2.3.2 各発展段階に応じた最適経済政策の差異
リストの段階説の重要なポイントは、**経済政策は万能ではなく、国の発展段階に合わせて変えるべきだ**と主張した点です。
2.3.2.1 保護主義の段階的適用
特に重要なのが、保護主義政策に関する考え方です。リストは、まだ工業が未発達な「農業段階」や「農工業段階」の国が、すでに高度な工業力を持つ「農工商業国家」(当時のイギリスなど)と何の制限もなく自由貿易を行えば、国内の未熟な工業は競争に晒されて壊滅してしまう、と懸念しました。
そこで彼は、後発国が先進国に追いつくためには、一時的に保護主義的な政策(例えば輸入品に関税をかけるなど)によって国内産業を守り、育成する必要があると説きました。これが有名な「幼稚産業保護論」に繋がります。(これについては後ほど詳しく見ますね!)
2.3.2.2 自由貿易への移行
ただし、リストは永遠に保護主義を続けるべきだとは言いませんでした。保護はあくまで、国内産業が国際競争力をつけるまでの「一時的な手段」であるべきだと考えました。国内産業が十分に育ち、先進国と対等に競争できるようになったら、徐々に自由貿易へと移行していくのが理想的な姿だとしました。
つまり、自由貿易は最終的な目標ではあるけれど、そこに到達するための手段として、国の発展段階に応じて適切な保護政策を取る必要がある、というのがリストの主張です。
2.3.3 後発国が先進国に追いつくための戦略
リストの経済発展段階説は、特に後発国がどのようにして先進国に追いつき、豊かな国になれるか、という問いに対する答えを示唆しています。
2.3.3.1 幼稚産業の育成
最も重要な戦略の一つが、やはり「幼稚産業」の育成です。将来的に国の柱となりうる新しい産業を、国際競争から一時的に隔離して大切に育てていく。まるで温室で苗を育てるように、国の手厚い保護の下で技術を蓄積し、規模を拡大していく、という考え方です。
2.3.3.2 技術移転と資本蓄積
また、先進国から技術を導入すること(技術移転)や、国内で投資を増やし、工場や設備を整えること(資本蓄積)も、後発国が生産力を高める上で不可欠な要素です。リストは、これらの要素を計画的に進めるために、国家が積極的な役割を果たすべきだと主張しました。
現代の多くの発展途上国が、自国の産業を育成し、世界経済の中で確固たる地位を築こうとしています。その際に、外国からの投資をどう受け入れるか、自国の技術力をどう高めるか、といった課題に直面しており、リストの示した戦略は今なお多くの示唆を与えてくれます。
🖋️コラム:新しいスキルを学ぶ「段階」ってあるよね?
個人的な経験ですが、新しいスキルを学ぶときって、いきなり難しいことには挑戦できませんよね? 例えば、プログラミングを始めるとき、最初は「Hello, World!」と表示するレベルから始めて、変数、条件分岐、ループ…と、簡単なことから順番に学んでいきます。いきなり複雑なWebアプリケーションを作ろうとしても、挫折するだけです。
これって、リストの経済発展段階説にちょっと似ている気がするんです。個人も、学びの「段階」を踏む必要がある。そして、最初は「Hello, World!」のように、ちょっとした成功体験や、簡単な問題をクリアできる「保護された」環境(例えば、丁寧な入門書や優しいメンターがいるコミュニティ)が必要だったりします。いきなり難解な課題に放り込まれたら、心が折れてしまいます。
国も同じで、まだ経済的に弱い段階の国が、いきなり強い国と無制限に競争するのは酷な話です。成長のためには、その段階に応じた「守り」や「支援」が必要なんですよね。リストの段階説は、個人の成長プロセスと重ね合わせて考えてみると、より腑に落ちる気がします。
2.4 国家の役割と幼稚産業保護論
リスト経済学において、国家は単なる「夜警国家」(市場の自由な活動を邪魔せず、最小限の治安維持だけを行う国家)ではありません。むしろ、国民経済全体を育成し、発展に導くための**積極的な主体**として位置づけられています。
2.4.1 国家は国民経済の育成者・調整者
リストは、国家を国民経済という「大きな庭」の「庭師」あるいは「指揮者」に例えました。庭師が植物の種類や成長段階に応じて肥料を与えたり、雑草を取り除いたり、剪定したりするように、国家もまた国民経済全体の状況を見ながら、必要な政策を講じることで、健全な成長を促すべきだと考えたのです。
2.4.1.1 経済政策のコーディネーター
国家は、教育制度を整備したり、科学研究を支援したり、インフラを建設したりと、国民経済の生産力全体を高めるための様々な政策をcoordinated(調整)する役割を担います。個々の企業や個人だけでは難しい、長期的な視点に立った大規模な投資や改革を実行できるのは国家だけである、とリストは考えました。
2.4.1.2 市場の補完機能
古典派経済学が「見えざる手」に代表される市場の自動調整機能を重視したのに対し、リストは市場メカニズムだけでは解決できない問題や、長期的な国家目標達成のために、国家が市場を補完する必要があると考えました。特に、新しい産業の育成や、経済のバランスの調整といった点において、国家の積極的な介入は不可欠だとしました。
2.4.2 幼稚産業保護の目的、対象、期間、手段
そして、国家の最も重要な役割の一つとしてリストが強調したのが、前述の「幼稚産業保護論」です。
【幼稚産業保護論とは?】
まだ国際競争力が弱く、生まれたばかりの国内産業(幼稚産業)を、競争力のある外国産業から一時的に保護することで、その産業が成長し、国際的に通用するようになるまで育てるべきだ、という考え方です。保護の手段としては、輸入品への高い関税や、国内産業への補助金などがあります。
この政策には、明確な目的、対象、そして期間、手段が必要です。
- 目的: 国内の生産力、特に工業生産力を育成し、国の経済発展段階を高めること。最終的には、自由貿易で国際競争に勝ち抜ける産業を育てること。
- 対象: 将来的に国の経済を牽引する可能性があり、かつ現状では国際競争力がなく、保護なしには発展できない産業。例えば、19世紀のドイツにおける鉄鋼業や機械工業などが考えられます。
- 期間: 一時的であることが極めて重要です。永遠に保護し続けると、産業の非効率化や国際競争力の低下を招きます。リストは、産業が十分に成熟し、自立できるまでの限定された期間だけ保護すべきだとしました。
- 手段: 主な手段は、対象産業と競合する輸入品への高い「関税」や、国内産業への「補助金」です。関税は輸入品の価格を上げて国内製品を相対的に有利にし、補助金は国内企業のコストを下げて競争力を高める効果があります。
リストは、この保護政策が闇雲に行われるべきではないことを強調しました。保護される産業が本当に将来性があるか、保護期間をどう設定するか、保護によって国内消費者が一時的に負担増を受け入れるべきか、といった検討が不可欠です。
2.4.2.1 関税と補助金の役割
関税は、海外からの安い輸入品が国内市場に流れ込んで、未発達な国内産業を潰してしまうのを防ぐ「防波堤」のような役割を果たします。一方、補助金は、国内企業が新しい技術開発に取り組んだり、生産設備を近代化したりするための「成長促進剤」のような役割を担います。これらを適切に組み合わせることで、幼稚産業の競争力向上を目指します。
2.4.2.2 保護の時間的限定性
リストの幼稚産業保護論が、単なる閉鎖的な保護主義と異なる重要な点は、**保護は期間限定である**という点です。保護はあくまで、産業が「幼稚」な段階を脱して自立するための支援であり、永遠に続くべきではありません。保護された産業がいつまでも競争力をつけられず、国内市場にあぐらをかいてしまうような事態は避けるべきです。⏰
2.4.3 保護主義から自由貿易への移行の条件
では、どのような条件が満たされれば、保護主義から自由貿易へと移行できるのでしょうか? リストは、以下の点を挙げました。
2.4.3.1 産業の競争力獲得
最も重要な条件は、保護対象だった産業が国際市場で競争できるだけの競争力を獲得したことです。技術レベル、生産コスト、品質などの面で、先進国の産業と対等、あるいはそれ以上に戦えるようになったかどうかが判断基準となります。
2.4.3.2 グローバル経済への統合
国内産業が十分に育ったら、今度は積極的に国際貿易に参加し、世界の市場で活躍することで、さらなる成長を目指します。これは、単に国内市場にとどまるよりも、より大きな市場規模や国際的な競争の中で、更なる技術革新や効率化が促進されるからです。自由貿易は、成熟した国民経済がさらに発展していくための重要な手段となります。
現代の経済においても、新興国が特定の産業を育成するために保護政策を取ったり、先進国でも安全保障や国内雇用を理由に特定の産業を保護しようとする動きが見られます。リストの幼稚産業保護論は、このような現代の貿易・産業政策を理解する上でも、非常に重要な視点を提供してくれます。
特に、近年、米中の貿易摩擦や、各国での重要物資の囲い込みなど、保護主義的な動きが再び強まっています。これは、必ずしもリストの「生産力育成」という目的だけでなく、政治的な思惑や安全保障上の理由も絡み合っていますが、自由貿易一辺倒ではない、国家主導の経済政策の必要性が議論される文脈で、リストの思想が再び注目される理由の一つと言えるでしょう。
参考:フリードリヒ・リスト経済学が解き明かす!プーチン ・トランプ 、保護主義とアウタルキーの現代地政学 #経済ナショナリズム #保護貿易
🖋️コラム:初めての「お留守番」と幼稚産業保護🏠
小学校低学年の頃、初めて親に「一人でお留守番できる?」と言われた時のことを覚えています。最初は不安でいっぱいでしたが、「何かあったらすぐに電話してね」「おやつはここに置いておくよ」「友達が来てもドアは開けちゃダメだよ」と、色々な「保護」と「ルール」を与えられました。親という「国家」によって、私は家という「国内」で「お留守番産業」として育成されたわけです(笑)。
最初は短時間から始まり、慣れてくると少しずつ時間が長くなりました。電話する頻度も減り、自分でできることも増えました。いつの間にか、保護やルールがなくても一人で家で過ごせるようになりました。これが、お留守番産業が「幼稚」な段階を脱して自立した瞬間です。保護が永遠に続いたら、私はいつまでたっても一人で留守番できないままだったでしょう。
幼稚産業保護論を聞くと、いつもこの「お留守番」のエピソードを思い出します。新しいこと、まだ十分に力がついていないものには、適切な「守り」や「支援」が期間限定で必要なんですね。そして、それは一人前に成長するためのステップである、ということを忘れてはいけないのだと思います。
2.5 日本の経済思想との潜在的関連性
さて、リストの経済思想は、遠いヨーロッパの話ですが、実は私たちの国の経済思想や歴史とも無関係ではありません。特に、江戸時代後期から明治時代にかけての日本の動きを見ると、リストの思想との興味深い共通点や関連性が見出せます。
2.5.1 江戸時代の藩政改革と経世済民思想
江戸時代、各藩は財政難に苦しみ、様々な「藩政改革」を行いました。この改革の根底には、「経世済民」(世を治め、民を救う)という思想がありました。これは、単に藩の財政を立て直すだけでなく、領民の生活を豊かにし、藩全体の生産力を高めようとする考え方です。
2.5.1.1 自給自足と地域経済
多くの藩が目指したのは、領内での米や特産品の増産、産業(例えば製紙や製蝋など)の育成、商業の振興など、自給自足的な傾向を持ちつつ、領内経済を活性化させることでした。これは、リストが説いた「国民経済の自立性」と、規模は違えど、どこか通じる考え方があるように思えます。
領内の資源を活用し、領内の人々が働き、領内で消費する。そして余剰分は他の藩と交易する。この構造は、一つの国が国内の生産力を高め、自立し、国際貿易を行うというリストの国民経済モデルと重なる部分があります。
2.5.1.2 国家主導の経済振興
また、藩政改革は、藩主や家老といった藩の指導層が主導し、計画的に行われました。特定の産業を奨励したり、新しい技術を導入したり、組合を作らせたりと、藩が積極的に経済に介入する姿は、リストが国家に求めた「育成者・調整者」としての役割を彷彿とさせます。市場に任せきりにせず、藩が経済をコントロールしようとした点は、古典派経済学よりもリスト的な発想に近いと言えるでしょう。
【江戸時代の藩政改革とリスト】
もちろん、リストは19世紀のドイツの経済学者であり、江戸時代の日本の思想家たちが彼の直接的な影響を受けていたわけではありません。しかし、それぞれの時代や地域で、「どうすれば自分たちの共同体(藩や国)が豊かになり、民が安定した生活を送れるか」と考えたとき、自給自足的な傾向、国内産業の育成、そして公権力による経済への関与、といった共通の結論に至ったのは興味深い事実です。
参考:フリードリヒ・リスト経済学が解き明かす!プーチン ・トランプ 、保護主義とアウタルキーの現代地政学 #経済ナショナリズム #保護貿易 (リスト経済学と現代地政学の関連について)
参考:焦土からの奇跡:敗戦日本、どん底経済からの逆襲!#02フリードリヒリストと傾斜生産方式_昭和日本史ざっくり解説 (リスト思想が日本の戦後復興に与えた間接的な影響について)
2.5.2 明治期の殖産興業との比較
そして、日本の歴史でリスト思想との関連が最も色濃く見られるのが、明治時代の「殖産興業」政策です。
【殖産興業とは?】
明治政府が富国強兵(国力を高め、軍事力を強くする)を目指し、近代的な産業、特に工業を発展させるために推進した一連の政策です。官営工場の設立、外国人技術者の招聘、技術教育の推進、インフラ整備など、様々な手段が講じられました。
明治政府は、欧米列強に追いつき、不平等条約を改正するためには、何よりも国力の増強が必要だと認識していました。そして、国力の中核となるのが近代工業力であると考え、積極的に産業を育成しました。
2.5.2.1 リスト思想の間接的影響
当時の日本の指導者たちが、直接的にリストの著作を読んで彼の思想を学んだという明確な証拠は少ないとされています。しかし、彼らが学んだ欧米の経済思想や、ドイツなどの後発国が工業化を進める過程で取られた政策の中に、リスト的な考え方(国家主導の産業育成、保護政策の必要性など)が含まれていた可能性は十分に考えられます。明治政府の政策は、結果的にリストの幼稚産業保護論や国家の積極的な役割論と驚くほど一致する点が多かったのです。
例えば、官営工場の設立は、まだ民間だけではリスクが大きく手が出せなかった分野(製鉄や紡績など)で、国が率先して技術を導入し、産業の基礎を築こうとしたものです。これは、リストが主張した国家による生産力育成の典型的な例と言えます。
2.5.2.2 日本の経済ナショナリズム
明治期の殖産興業政策は、単なる経済合理性だけでなく、「経済ナショナリズム」という側面も強く持っていました。「強い日本を作るためには、自国の産業を育て、外国に負けない経済力を持つ必要がある」という強い意識が、政策の原動力となっていました。これもまた、リストが「国民」という単位を重視し、国民経済の自立と発展を最優先した思想と響き合う部分です。
このように、リストの経済思想は、直接的ではないにせよ、日本の歴史における重要な経済政策や思想と多くの共通点を持っています。これは、経済発展を目指す後発国が直面する課題や、それに対して国家が取るべき戦略について、普遍的な示唆が含まれていることの証とも言えるでしょう。
🖋️コラム:歴史の偶然か、必然か?🕰️
日本の歴史、特に江戸末期から明治にかけての激動期を学んでいると、当時の指導者たちがすごいスピードで新しい知識や技術を吸収し、国を変えようとしていたことに驚かされます。彼らは様々な欧米の思想に触れたはずです。アダム・スミスのような自由主義経済思想も学んだでしょうし、同時にリストのような国家主導・産業育成を重視する考え方も学んだはずです。
その中で、彼らが結果的に取った政策が、リスト的な考え方と非常に近かったというのは、単なる偶然ではないような気がします。当時の日本が置かれていた状況——欧米列強に比べて圧倒的に経済力が弱く、このままでは植民地にされてしまうかもしれないという危機感——が、リストがドイツの状況を見て抱いた危機感と共通していたからではないでしょうか。
「今、必要なのは自由貿易よりも、まず国力をつけることだ!」という切実な思いが、リストの思想と共鳴した。そう考えると、歴史上の偉人たちの考えや、遠い国の経済学者の思想が、海を越え、時代を超えて、私たちの国の形作るのに影響を与えているかもしれない、なんて壮大なロマンを感じますね✨
用語索引(アルファベット順)
- アウタルキー (Autarky)
- 経済的な自給自足を目指す状態。対外貿易を極力減らし、国内の生産だけで必要な物資を賄おうとする考え方や体制。(参照)
- 関税 (Tariff)
- 輸入品に課せられる税金のこと。これにより輸入品の価格が上がり、国内製品の価格競争力を高める効果がある。保護主義の主要な手段の一つ。(参照)
- 経済ナショナリズム (Economic Nationalism)
- 自国の経済的利益や国力を最優先に考える経済思想や政策。保護主義や国内産業の育成を重視する傾向がある。(参照)(参照)
- 経済発展段階 (Stages of Economic Development)
- リストが提唱した、国の経済が未開状態から高度な産業・商業国家へと段階的に発展していくという考え方。各段階で最適な経済政策が異なるとされる。(参照)
- 経世済民 (Keisei Saimin)
- 中国の古典に由来する言葉で、「世を治め、民を救う」という意味。江戸時代の藩政改革など、為政者が経済や社会を安定・発展させて民衆の生活を豊かにしようとする思想や営み。(参照)
- 工業化 (Industrialization)
- 農業中心の経済から、工業中心の経済へと産業構造が変化していくプロセス。工場や機械を導入し、大量生産が可能になる。(参照)
- 国民経済 (National Economy)
- 特定の国家の範囲内における経済活動全体を指すリストの概念。個人と普遍的な人類の中間に位置し、国家によって育成・発展されるべき共同体的な経済単位。(参照)
- 国民経済の自立性 (Autonomy of National Economy)
- 他の国の経済から過度に依存せず、自国の力で経済を維持・発展させていく能力。リストが国民経済の重要な要素とした。(参照)
- 国家 (State)
- リスト経済学において、国民経済の育成者・調整者として積極的な役割を果たす主体。市場の補完機能を持つとされた。(参照)
- 市場の補完機能 (Complementary function to the market)
- 市場メカニズムだけでは解決できない問題や、長期的な目標達成のために、国家が市場の働きをサポートしたり、介入したりすること。リストが国家に期待した役割の一つ。(参照)
- 自給自足 (Self-sufficiency)
- 自分たちの共同体(家庭、地域、国など)だけで、生活に必要な物資やサービスを生産し、外部に頼らないこと。アウタルキーと似ているが、より広範な概念。(参照)
- 人的資本 (Human Capital)
- 人間の知識、スキル、能力などを資本として捉える考え方。教育や訓練によって高められる。(参照)
- 制度 (Institutions)
- 社会や経済を成り立たせるためのルールや組織、慣習などの総体。法制度、政治制度、文化的な規範などが含まれ、経済活動に大きな影響を与える。(参照)
- 生産力理論 (Theory of Productive Powers)
- フリードリヒ・リストの経済学の中心概念。国の真の富は、現在の交換価値の量ではなく、将来にわたって富を生み出す「生産力」そのものであると主張する。(参照)
- 精神的生産力 (Spiritual Productive Powers)
- リストが提唱した生産力の非物質的な側面。教育、科学、制度、法、国民精神、道徳などが含まれ、国の生産力を高める上で重要とされる。(参照)
- 資本蓄積 (Capital Accumulation)
- 経済において、生産に必要な設備、機械、インフラなど(物理的資本)や、知識、技術など(人的資本)を増やしていくこと。経済成長の重要な要素。(参照)
- 殖産興業 (Shokusan Kogyo)
- 明治政府が推進した、近代的な産業(特に工業)を育成・振興する政策。官営工場の設立や技術導入などが行われた。(参照)
- 天然資源 (Natural Resources)
- 自然界に存在する、経済活動に利用可能な資源。土地、鉱物、エネルギー資源、森林、水産資源など。物質的生産力の一部。(参照)
- 技術移転 (Technology Transfer)
- ある技術や知識が、それを持たない組織や国に移されること。後発国が経済発展する上で重要な要素。(参照)
- 技術革新 (Technological Innovation)
- 新しい技術や生産方法などが開発・導入されること。生産性を飛躍的に向上させる効果がある。(参照)
- 藩政改革 (Hansei Reform)
- 江戸時代に各藩が行った、財政再建や経済・社会制度の改善を目的とした改革。経世済民思想に基づき、藩主や家老が主導することが多かった。(参照)
- フリードリヒ・リスト (Friedrich List)
- 19世紀ドイツの経済学者。国民経済学、生産力理論、幼稚産業保護論などを提唱し、アダム・スミスらの古典派経済学に対抗する立場を取った。(参照)
- 保護主義 (Protectionism)
- 関税や輸入制限などの政策を用いて、国内産業を外国との競争から守ろうとする考え方や政策。自由貿易と対立する概念。(参照)(参照)
- 法 (Law)
- 社会の秩序を保ち、経済活動のルールを定める規範。リストは、財産権や契約の保護など、経済を円滑に進める上で法の整備が重要と考え、精神的生産力の一部とした。(参照)
- 物質的生産力 (Material Productive Powers)
- リストが提唱した生産力の物理的な側面。資本(工場、機械)、技術、天然資源などが含まれる。(参照)
- 幼稚産業 (Infant Industry)
- まだ発展途上にあり、国際市場で競争する力が十分ではない国内産業。リストは、このような産業を一時的に保護する必要があると主張した(幼稚産業保護論)。(参照)(参照)
- 幼稚産業保護論 (Infant Industry Argument)
- 発展途上にある国内産業を、国際競争から一時的に保護することで育成すべきだというリストの主張。保護は期間限定である点が重要。(参照)(参照)
- 競争力 (Competitiveness)
- 企業や産業、あるいは国が、他の企業や産業、国と比べて、市場で優位に立てる能力。価格、品質、技術力、ブランド力などが要素となる。(参照)
- 補助金 (Subsidy)
- 政府などが特定の産業や活動に対して経済的な支援を行うための資金。国内産業のコストを下げ、競争力を高める効果がある。保護主義の手段の一つ。(参照)
補足
ずんだもんの感想なのだ
リストさん、すごい考え方するんだね!😮 ずんだもん、今まで経済って聞くと、お金を稼ぐこととか、安いものを買うことばっかり考えちゃってたのだ。でも、リストさんは「将来稼ぐ力」が大事だって言うんだね!✨ 教育とか、みんなが仲良くすること(道徳)も、経済の力になるなんて、なんだか面白いのだ!😊 豆の生産力を上げるには、新しい栽培方法を学んだり、みんなで協力して作業したりすることが大事なんだ!ってことなんだね。なるほどなのだー! 国家が庭師さんみたいに、産業の苗を大切に育てるっていうのも、とっても分かりやすい例えだったのだ。ずんだもんも、もっと色々なこと学んで、ずんだの生産力を上げていきたいのだ!💪
ホリエモン風の感想
いやあ、リストね。結構面白いこと言ってんじゃん。要するに、目先のカネ(交換価値)じゃなくて、稼ぐ力(生産力)そのものを磨けってことだろ? これ、ビジネスでも超重要だよ。今売れてる商品にしがみついても、技術革新ですぐ陳腐化する。常に新しい技術を学び、優秀な人材を育て、組織の生産性を上げ続けないと、あっという間に置いていかれる。
「国民経済」とか「国家の役割」とか、ちょっとお役所仕事っぽい響きもあるけど、後発組がキャッチアップするために、ある程度の「保護」が必要ってのは、まあ分からなくもない。スタートアップだって、最初はVCから資金調達して、競合に負けないように技術開発に集中する時間が必要だろ? でも、保護はあくまで期間限定ね。いつまでもぬるま湯に浸かってたら、絶対強くなれない。外圧に晒されて初めて、本物の競争力がつくんだよ。役人がどこまで的確に「幼稚産業」を見抜いて育てられるかは知らんけど。まあ、現代で言えば、国の研究開発への投資とか、規制緩和とか、教育改革とか、そういうのがリスト的な国家の役割になるのかな。結局、大事なのはスピードと、いかに生産性を上げまくるか、それだけだね。
西村ひろゆき風の感想
えーと、リスト? ああ、保護貿易とか言ってる人ね。なんかすげー昔の人じゃん。まあ、言ってることは分からなくもないけど、結局、国際競争に勝てないから「守ってくださーい」って言ってるだけだよね? 弱い犬ほどよく吠える、みたいな。
「生産力」が大事ってのも、そりゃそうだろうとしか。馬鹿でも分かることじゃん。で? その生産力をどうやって高めるの? 教育とか技術革新とか、当たり前のことしか言ってなくない? 国家が育成者って言うけど、優秀な官僚なんてごく一部でしょ。大抵は利権とか忖度とかで、変な産業ばっか育てて、国民の税金無駄にするのがオチなんじゃないの。保護された産業って、努力しないから弱くなるじゃん。競争があるから強くなるのに。
日本が明治時代にうまくいった? それはたまたま、優秀な人がいたとか、当時の国際情勢がラッキーだったとか、そういう偶然が重なっただけじゃない? 今、日本がリストの言う通りに何か特定の産業を保護したとして、うまくいく根拠あるの? ないでしょ。結局、個人個人が好き勝手に、得意なことやって、世界中の得意な人と自由に交換するのが一番効率いいんじゃないの? 国とか民族とかって括りで考えるの、もう古くない? 知らんけど。
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