#中国は偉大なものを発明しているのでしょうか? #三06
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中国は現在、経済力や技術革新において世界の中で重要な地位を占めている一方で、その文化的創造性については疑問が呈されています。
21世紀に入って、中国は高速鉄道の建設や電気自動車産業などで目覚ましい実績を上げていますが、それを科学的なブレークスルーや文化的発展と比較すると、依然として不足を感じさせる部分があります。特に独裁的な政権下では、個々の創造性が抑圧される傾向にあります。 今までに中国から生まれた科学的発見としては、宇宙ベースの量子通信、クローン霊長類、フォトニック量子コンピュータや遺伝子編集技術が挙げられていますが、これらの進展に対する国際的な評価は分かれています。一方で、中国が誇る科学者たちは、化学や物理学の分野で多くの影響力の高い論文を発表しているものの、画期的な発明は依然として見当たらないとの指摘もあります。 また、中国は規模は大きいものの、ノーベル賞受賞者の数や大きなイノベーションの数からみて、他国と比べると著しい成果が欠けているとの懸念も存在します。アジアの他の国々、特に日本や韓国の発明活動との比較も興味深いところです。特に、今後の中国の発展に向けては、単なる漸進的な改良ではなく、創造的な発明が求められています。独裁体制の影響もあると思われるが、中国がイノベーションを促進するインセンティブの調整が必要とされる中で、進化を続けるかどうかは未解決の課題となっています。
未来において、中国が厳しい検閲や政治的抑圧に乗り越え、文化や科学の領域で革新的発明を実現することができるか、それともその特性によって文化が平凡化するかが、注目されるポイントとなるでしょう。この記事は、ジャーナリストのノア・スミスによるもので、2025年3月5日に書かれ、中国文明が最盛期を迎えているか、そしてその創造性について考察しています。記事の主要なポイントと、さらに考察できる点を以下にまとめます。
記事の主要なポイント
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中国の絶頂期:
- 21世紀において、中国は技術的、経済的、軍事的な力において絶頂期を迎えている唯一の主要文明であると主張しています。
- 高速鉄道、電気自動車(EV)産業、太陽光パネル、バッテリー生産、都市の近代化などを例に挙げ、その国家能力と資源動員の驚異を強調しています。
- ゼロコロナ政策の失敗さえも、社会統制能力を示す例として挙げています。
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20世紀の偉大な文明との比較:
- 20世紀初頭のアメリカや日本と比較し、当時のアメリカは電球、電話、飛行機など、日本は後に文化的な爆発を起こしたと指摘しています。
- 中国の文化的な創造性については疑問を呈し、厳格な検閲が映画、音楽、ビデオゲームなどの分野で「当たり障りのない」輸出につながっていると述べています。
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科学技術の革新性:
- 独裁政治が科学技術の創造性を損なうかどうかについて考察し、ソ連やドイツの例を挙げ、独裁国家でも科学技術大国になり得ると指摘しています。
- 現代中国は非常に革新的であり、科学論文の発表数や特許数が多いことをデータで示しています。
- しかし、真に画期的な科学技術のブレークスルー、ゲームチェンジャーとなる発明や発見が少ないのではないかと疑問を投げかけています。
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中国発の商業的発明: 記事では、21世紀以降に中国から生まれた主要な商業的発明として以下の10項目を挙げています。
- クアッドコプタードローン: DJIが世界市場をリードし、現代のドローンの基礎を築いた。
- 5Gワイヤレス通信: ファーウェイとZTEが技術統合と実用化で世界をリードした。
- 個人用航空タクシー: Ehangが世界で初めて製品化。
- 半固体電池車とナトリウムイオン電池車: 中国の自動車会社が代替電池技術を最初に導入。
- ドックレスバイクシェアリング: 中国企業が最初に商業化し、世界に広まった。
- 折りたたみ式スマートフォン: Royole FlexPaiが世界初の商品化。
- 顔認証決済: Alipayが「Smile to Pay」システムを最初に導入。
- ベイプ(電子タバコ): 中国人薬剤師ホン・リックが2003年に発明。
- 超高層建築機械: 中国企業がユニークな建設機械を開発。
- 電磁カーサスペンション: BYDが製品化。
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中国発の科学的発見: 科学的発見についてはリストアップに苦労しており、以下の4項目を挙げていますが、商業的発明に比べると少ない印象を受けています。
- 宇宙ベースの量子通信: 量子通信分野で先駆的な成果。
- クローン霊長類: 世界初のクローン霊長類の作成。
- フォトニック量子コンピュータ: 「量子超越性」を実証したとされる。
- CRISPRを使った遺伝子編集された人間の赤ちゃん: 倫理的に問題視された事例。
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画期的な進歩が少ない理由の考察:
- 中国の科学者は論文発表数が多いにもかかわらず、画期的な発見が少ないのはなぜかという疑問を呈しています。
- 知的財産保護の弱さ、量産を重視するインセンティブ、過剰競争(内卷)などが原因ではないかと推測しています。
- 独裁政治自体が直接的な原因ではない可能性も示唆しつつも、文化的な創造性の制約との関連性を指摘しています。
さらなる考察点
- 「画期的」の定義: 記事では「画期的発明」や「科学的発見」という言葉を使っていますが、これらの定義は曖昧であり、主観的な判断が含まれる可能性があります。何をもって「画期的」とするのか、より具体的に議論する必要があるかもしれません。
- 長期的な視点: 21世紀はまだ始まったばかりであり、中国のイノベーションの成果を評価するには時期尚早かもしれません。現在「漸進的」に見える進歩も、長期的に見れば大きな影響をもたらす可能性があります。
- 文化と創造性: 記事では中国の文化的な創造性について悲観的な見方をしていますが、文化的な影響力は時間をかけて徐々に浸透していくものであり、今後の変化に注目する必要があります。また、検閲下でも新しい文化が生まれる可能性も考慮すべきでしょう。
- 中国の強み: 記事は、中国の強みを「漸進的な改善」と「技術の展開」にあると指摘しています。これは、大量生産能力と巨大な市場を持つ中国ならではの強みであり、世界経済に大きな影響を与えていることを再認識すべきです。
- 「退屈な超大国」論: 記事の最後に、中国が20世紀の超大国よりも「退屈」になる可能性があると述べていますが、これは西側諸国の視点に基づいた偏見かもしれません。中国独自の価値観や社会システムに基づいた発展は、異なる魅力を持つ可能性があります。
結論
ノア・スミス氏の記事は、中国のイノベーションの現状を多角的に分析し、示唆に富む考察を提供しています。中国は確かに多くの重要な発明を商業化しており、技術力も世界トップレベルに達していますが、真に画期的な科学的発見や文化的な創造性については、まだ発展途上であると言えるかもしれません。しかし、中国の潜在能力は依然として大きく、今後の動向を注意深く見守る必要があります。テクノロジーにおけるドイツの歴史的地位について見ていくと、ドイツ帝国時代には物理学や化学など多くの科学領域で世界をリードしていたことが指摘されます。ドイツは当時、イギリスやフランス、アメリカに比べて権威主義的であったものの、依然として議会制民主主義を維持しており、国民は投票を行うことができました。この状況はワイマール共和国の終焉まで続き、ドイツの科学と芸術は民主的な環境の中で繁栄を享受しました。 しかし、ナチス時代においては、ユダヤ人を含む科学者たちへの迫害が進み、ドイツの科学的地位は低下していきました。
連合国による核爆弾の開発が進む中、ドイツは戦車設計においてソ連に後れを取り、各種の発明品が過剰な問題を抱えていたことも重大な要因です。実際、多くの歴史家はドイツの軍事技術者たちが徴兵を避けるために不適切な計画を立てたと指摘しています。 ナチス・ドイツは暗号学や電子工学、エンジン設計においてもイギリスに対して劣っており、それが戦局に響いています。一方、ジェット機やミサイルといった革新的な軍事技術においては先進的でしたが、戦術的には同盟国が新しい連合軍戦争システムに追いつくのに多くの時間が必要でした。この競争はナポレオン時代のフランスの戦術的革新を思わせるものでした。
最終的にドイツが敗北したのは、強固な産業基盤と大きな総人口に加え、ヒトラーの戦略的失策が重なったからです。具体的にはブリテンの戦い、スターリングラードの戦、クルスクの戦、ファレーズポケットの戦いが影響を与えました。以上を考慮に入れると、ドイツにおけるテクノロジーの変遷とその影響力は、歴史の様々な局面において多岐にわたっていたことが言えるでしょう。
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