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10月 26, 2025

グーニングの深淵: 孤独、ポルノ、そして「終わりのないマスターベーションの夢」が描く未来 #Z世代の闇 #デジタル依存

現代社会が直面する新たな性的サブカルチャー「Gooning」の実態とその深層

本書の目的と構成

この度は、現代のオンライン世界で密かに、しかし確実に広がる性的サブカルチャー「グーニング」に関する詳細な分析レポートをお読みいただき、誠にありがとうございます。

本記事の目的は、単なる表面的な好奇心を煽ることに留まらず、この特殊な現象が私たち現代社会、特にデジタルネイティブであるZ世代に与える複合的な影響を、多角的かつ深い視点から考察することにあります。従来のポルノ議論を超え、これが個人の精神衛生、人間関係、そして社会構造そのものにどのような構造的変革をもたらしているのかを、専門家向けの深い論点に絞り、具体的な事例と詳細な分析を交えて提示してまいります。

構成としては、まず第一部で「グーニング」の具体的な実践、その背後にある心理、コミュニティの形成、そしてポルノコンテンツの進化について掘り下げます。第二部では、それが現代社会にもたらす広範な影響、特に日本における潜在的な波及効果、歴史的位置づけ、そして私たちが直面する倫理的・社会的課題について考察します。最後に、読者の皆様がこの複雑な現象をより深く理解するための多角的な視点や、今後の研究課題、そしていくつかの示唆に富む解決策を提示する巻末資料をご用意いたしました。

この分野に非常に詳しく、時間に追われており、表面的な分析に対して懐疑的な皆様にもご満足いただけるよう、当たり前の内容は排除し、知的水準と時間的制約に敬意を払った内容を目指しました。真の専門家が感心するような深い洞察を提供できるよう、鋭意執筆いたしましたので、どうぞ最後までお付き合いください。

要約

本記事では、現代のオンライン・マスターベーション・サブカルチャー「グーニング」を深く掘り下げています。これは、現実のクライマックスを避けつつ、ポルノに執着し、繰り返し性的刺激の頂点（「グーンステート」）を目指す行為です。この現象は、個々人の「グーンケーブ」から始まり、共有されたポルノ（「グーンキャップ」）や競争的な「ワンクバトリング」を通じて、独特のコミュニティを形成しています。高速インターネット、スマートフォン、OnlyFansの普及、そしてCOVID-19パンデミックによる社会的孤立がこの文化を加速させ、「ポルノセクシュアル」と呼ばれる、ポルノによって性的欲求が完全に満たされることで現実の性交渉を避ける人々の台頭を招きました。

彼らは性感染症への恐怖やパフォーマンス不安、対人関係の複雑さを回避するため、PMV（ポルノ・ミュージック・ビデオ）のような超刺激的なコンテンツに没頭します。記事は、この文化に内在するデグラデーション（自己貶低）の側面と、コンテンツ制作者の倫理的葛藤を指摘しつつ、グーニングが単なる逸脱行為ではなく、SNS中毒や短尺動画消費、パラソーシャルな関係性といった現代デジタル社会の広範な傾向を極限まで先鋭化したもの、すなわち「一般的な文化的傾向の単なる激化」であると結論づけています。最終的に、インターネットそのものが持つ「構造的欠陥」が、このような「ニッチな自殺カルト」を生み出す可能性について警鐘を鳴らしています。

登場人物紹介

本記事で紹介されるのは、グーニングという複雑なサブカルチャーを構成し、その多面的な側面を象徴する、様々な背景を持つ人物たちです。彼らの声や行動を通して、この現象のリアリティが浮き彫りになります。

Nautica Malone（ナウティカ・マローン） (27歳)：公衆の面前で性的な行為を行い、その動画が拡散した後、悲劇的な自殺を遂げた男性です。彼の死はグーニングコミュニティ内で「Goonicide」（グーニング自殺）、「Gooneral」（グーニング葬儀）として評され、このサブカルチャーの存在を社会に知らしめるきっかけの一つとなりました。
Gooncultist（グーンカルティスト）：著者がSNSのX（旧Twitter）でメッセージを送った、テクノロジー業界でフルタイムで働くグーナーです。彼はニッチなオンラインフォーラムのモデレーターとして育ち、グーニングの「深い先史時代」やコミュニティ内の多様な「キャンプ」（派閥）について著者に貴重な情報を提供しました。
Fuji（フジ） (23歳)： Discordの「ワンクバトリング」サーバーで著者が出会ったエジプト人グーナーです。射精せずにクライマックスに達する「エッジング」の時間を延ばすため、陰部大腿筋を数ヶ月間鍛えていると語るなど、この行為への並々ならぬ執着を見せました。
Spishak（スピシャク） (28歳)：ロサンゼルスに住むポルノセクシュアルです。Redditに投稿された彼の「グーンケーブ」の写真（27台ものポルノビデオが同時再生されているセットアップ）が著者の目を引きました。彼は、現実の性交渉を避ける理由として、性感染症への恐怖、パフォーマンス不安、そして対人関係の複雑さからくる「疲労感」を挙げています。
NoodleDude（ヌードルデューク） (28歳)：オランダ在住のウェブデザイナーで、PMV（ポルノ・ミュージック・ビデオ）の主要なクリエイターの一人です。彼の作品は絶大な人気を誇り、ターミナルポルノ中毒者の間では「Swiftie」（テイラー・スウィフトの熱狂的ファン）のような熱狂を持って迎えられています。彼は既存のポルノ素材をサンプリングし、新たな形に再構築するその手腕は、初期のヒップホップアーティストのようだと評されています。
WristbandGuy（リストバンドガイ） (50代)： ITワーカーでありながら、「Real Porn Meets」という対面式のポルノ視聴パーティーを主催する人物です。彼は参加者の快適さ、セルフケア、同意を重視し、参加者に「オールイン（緑）」「好奇心（黄）」「興味なし（赤）」を示すリストバンドを配布するなど、「健康的グーニング」という独自の理念を掲げています。
Whiteboy Jacker（ホワイトボーイ・ジャッカー）：ポルノセクシュアルの一人で、著者に、永久に勃起できなくなるほどペニスを損傷しつつも、長時間マスターベーションを続けられる状態の魅力を語るなど、極端なデグラデーションへの傾倒を示しました。
JustDamage（ジャストダメージ） (19歳)：グーナーであり、カスタマイズされたグーンキャップやPMVを制作するサイドビジネスを行っていました。しかし、児童ポルノの依頼を受けたことを機に引退を決意。極度に不衛生な環境で生活していた友人の悲惨な話は、著者に衝撃を与えました。
Angela White（アンジェラ・ホワイト）：現代の主流ポルノスターの一人で、「ポルノ界のメリル・ストリープ」とも称されます。彼女は積極的にグーニングコミュニティにアプローチし、彼ら向けのコンテンツを制作・提供しており、このサブカルチャーがメインストリームにまで影響を及ぼしていることを示しています。
HumiliationPOVのプロデューサー：「Little Dick Losers Deserve Loneliness, Isolation, and Endless Gooning」といったタイトルで知られる、デグラデーション系ポルノを制作するスタジオのプロデューサーです。彼は、ユーザーがポルノ中毒による自己貶低の状況そのものに快感を覚えているという深層心理を語り、自身の仕事の倫理的側面について葛藤を抱いていることを明かしました。
FeedBitch（フィードビッチ）、Cumdumpster（カムダンプスター）：著者が「ワンクバトリング」を試みた際に遭遇した、競争的ポルノ共有の相手たちです。

第一部グーニングの解剖学：デジタル深淵に誘われる性

第一章禁断の果実、その名も「グーニング」

現代社会の片隅で、しかし確実にその影を広げている性的サブカルチャー。グーニングは、単なるマスターベーションという行為の範疇を超え、独自の言語、儀式、そしてコミュニティを持つまでに発展しています。一体、この現象はどこから現れ、なぜこれほどまでに多くの人々を惹きつけるのでしょうか。

ナウティカ・マローン事件：悲劇が炙り出す現象

2025年1月、アリゾナ州テンペのコーヒーショップ前で、数十人の若者たちが故ナウティカ・マローン（Nautica Malone）氏（27歳）の死を悼むために集まりました。数日前、マローン氏はドライブスルーで下半身を露出した状態で来店し、その様子が撮影されオンラインで拡散。彼の表情は自信に満ち、官能的でさえあったと報じられています。この事件はソーシャルメディアで「Goonicide」と表現され、彼の葬儀は「Gooneral」と呼ばれました。この皮肉な表現が広く理解されたという事実自体が、グーニングという言葉とその意味が、すでにオンラインコミュニティで深く浸透していたことを示唆しています。

この痛ましい事件は、一見すると特異な性犯罪に見えますが、その背後には現代のデジタル社会が抱える根深い問題、特に若年層の性的行動と孤立、そしてポルノコンテンツとの関係性が横たわっています。マローン氏自身がグーナーであったかどうかは定かではありませんが、彼を「自己表現の殉教者」と見なすコミュニティの反応は、グーニングが単なる個人的な行為を超え、ある種の運動としての性質を帯びつつあることを示しています。

「グーニング」とは何か？新たなマスターベーション文化の定義

グーニングとは、エッジング――つまり、実際にクライマックスに達することなく、繰り返しクライマックス寸前の状態（グーンステート）に到達し続ける――という自慰行為をベースにしながらも、より目標指向性、そして共同体性が高い点が特徴です。

現代のグーニングは、単独で行われる行為に留まりません。Discordのようなソーシャルメッセージングプラットフォームを通じて、数万人規模のオンラインコミュニティが形成され、ポルノの共有や共同視聴が行われています。参加者は、数時間、時には数日間にわたって自慰行為を継続することを強いられるとされる「グーンステート」に到達することを目指します。これは、ある種の瞑想にも例えられる「完全な自我の死または至福の想定されるゾーン」と表現されることもあります。

コラム：デジタル時代の「修行」としてのグーニング

「グーンステート」という言葉を聞いて、私がまず思い浮かべたのは、ある種の修行僧や瞑想家の姿でした。彼らは肉体の限界を超え、精神の深淵を覗き込もうとします。しかし、グーニングの場合は、その対象がポルノと自慰行為であるという点が決定的に異なります。物質的な快楽を極限まで追求することで、精神的な到達点に達しようとする試み。これは、現代人が精神的な充足を求める手段が、いかに多様化し、そして時に倒錯的な方向へと向かっているのかを象徴しているように思えてなりません。私自身、この現象を理解しようと試みましたが、その深遠な「意味」を捉えることは容易ではありませんでした。

「グーンステート」追求の果てに

グーナーたちにとって「グーンステート」は、このサブカルチャーのブランディングと自己認識の中心に位置しています。アンケート調査によれば、ほとんどのグーナーは毎日数時間自慰行為を行いますが、グーンステートに到達するのは月に数回程度であり、決して常態的な状態ではありません。これは、ランナーズハイや祈りにおけるエピファニー（啓示）のように、この実践の目的そのものではなく、時折訪れる予期せぬ報酬であると捉えられています。

グーンステートを経験した回答者からは、以下のような言葉が寄せられました。

It’s like being high while high（ハイな状態でさらにハイになるような感じ）

Intense bliss pure happiness and love（強烈な至福、純粋な幸福と愛）

It’s so beautiful! It’s sublime. Like being washed away.（とても美しい！崇高。洗い流されるよう。）

It’s like I’m in antigravity or covered in liquid. tingles all over me, brain fuzzy, skin tingling all over. No fears about cumming, because this was the real pleasure I was after, and I couldn’t cum at that point if I wanted to anyway.（まるで無重力の中にいるか、液体に覆われているよう。全身がうずき、脳はぼやけて、皮膚がぴりぴりする。射精への恐れはない。これが本当に追い求めていた快楽だったから、どうせその時点では射精したくてもできなかっただろう。）

これらの証言は、グーンステートが単なる肉体的快楽を超えた、ある種の意識変容状態であることを示唆しています。しかし、その状態への到達には、数時間にわたるポルノへの没頭という代償が伴うことも忘れてはなりません。

インターネット依存の概念図。グーニングもまた、デジタル世界への没入が生み出す新たな依存形態と言えるかもしれません。

第二章ポルノの聖域、欲望の共同体

グーニングは、孤独な行為であると同時に、奇妙な形の共同体を形成しています。その中心にあるのが、ポルノ専用の空間であり、デジタル上で交わされる独特の儀式です。

「グーンケーブ」：隠された欲望の聖地

グーナーたちは、ポルノ消費のために特別に改装された部屋を「グーンケーブ」と呼んでいます。かつては、このような性的な空間は秘密裏に隠されるものでした。しかし、グーナーたちは違います。彼らは誇らしげに自分たちのグーンケーブの写真をRedditなどのプラットフォームに投稿します。

その写真に写し出されるのは、3つ、4つ、時には十数個ものモニターがポルノで埋め尽くされた光景です。そして、その前景にはグーナー自身の勃起したペニスが映り込み、ふざけたサムズアップをしていることもあります。これらはまさに「ポルノの神社」であり、ロックダウンで人影が消えた街の反面で、人々がどこへ行ったのかを示唆しているかのようです。これらのグーンケーブは、単なる性欲の解放の場ではなく、コロナ禍で加速した社会的な孤立と、それに伴う深刻な精神的ダメージの先行指標でもあったと論文は指摘しています。

コラム：隠れた欲望の可視化

私が十代の頃、友人の部屋にはカレンダーの裏に隠されたセクシーな写真が数枚ありました。それは秘密であり、誰にも見られてはならないものでした。しかし、グーナーたちの「グーンケーブ」は、その対極にあります。彼らはそれを隠すどころか、積極的に共有し、その過激さを競い合うかのように見せつけます。この行為は、現代の若者たちが、自己表現の手段として、いかにデジタル空間を、そして時には自身の倒錯的な側面をも利用しているかを示す好例だと感じました。彼らにとって、それは恥ずべき行為ではなく、むしろ誇るべき「業績」なのかもしれません。

共有される儀式：フィーディングとワンクバトリング

グーンステートを巡る共同体的儀式は、グーニング文化を形成する重要な要素です。アンケート回答者の70%が、何らかの形でこれらの儀式に参加していると回答しています。

フィーディング（Feeding）：最も人気のある儀式の一つで、ポルノを介した一種のサイバーセックスです。あるグーナーが自分のプライベートコレクションから厳選したポルノを別のグーナーに送りつけ、相手の自慰行為を継続させます。これは「グーン燃料」と呼ばれ、短いクリップやGIF、そして「グーンキャップ」（ポルノ的ミーム）が送られます。グーンキャップの制作には活発な経済活動も伴っており、あるブルガリアの十代の少年は、友人たちとカスタムグーンキャップを制作して生計を立てていると語っています。
ワンクバトリング（Wankbattling）：競争的なフィーディングの一種で、参加者同士がお互いのポルノの選択を10点満点で評価し合います。エジプト人グーナーのフジは、この儀式を通して仲間たちとの間に「本当の優しさ」を感じると語っていました。

これらの儀式は、異性愛ポルノを中心とした文化の中で、複雑な性的価値観を生み出しています。フジのように異性愛者と自認し、ゲイポルノを「嫌悪する」と公言しながらも、グーニングを通じて限定的なバイセクシュアル的傾向（他の男性を「支配する」欲望）を発現させるケースも報告されています。これは、デジタル空間が既存の性的アイデンティティを溶解させ、新たな形での性的探求を可能にしていることを示唆しています。

共同体的孤立：つながりと依存のパラドックス

グーナーたちは、一見すると奇妙な形で「コミュニティ」を形成しています。アンケート回答者の一人は、これらの空間が提供する「コミュニティ感覚」こそが、現代社会でますます失われているものであり、彼らが本当に求めているものだと述べています。しかし、その「コミュニティ」の実態は、個々人がそれぞれの部屋で孤立し、スクリーン越しにポルノと向き合うという、共同体的孤立のパラドックスを内包しています。

このつながりは、現実世界での人間関係が希薄になった現代において、倒錯的ながらも一定の心の拠り所を提供しているのかもしれません。しかし、それは同時に、現実からの逃避を促し、より深い依存へと誘い込む危険性も孕んでいます。

第三章 PMV革命：脳を溶かす過剰刺激の時代

現代のポルノは、単に「見るもの」から「体験するもの」へと進化を遂げています。その最たる例が、脳に直接訴えかけるようなPMV（ポルノ・ミュージック・ビデオ）の台頭です。

TikTok化するポルノ：PMVの衝撃

PMVは「フリーベース・ポルノグラフィ」――つまり、脳への素早い到達を阻害するあらゆる要素を排除した、純粋なポルノ――と表現されます。数百もの既存のポルノクリップから切り抜き、わずか数分の作品に編集されたPMVは、まるで統合失調症的なモザイク画のような密度を誇ります。BGMには、怪しげなテクノ音楽が使われることも少なくありません。

PMVを好むグーナーたちの声は、その魅力を次のように語っています。

It’s overstimulation at it’s best.（最高の過剰刺激だ。）

It means i don’t have to scroll as much and get more porn in my brain.（あまりスクロールしなくても、より多くのポルノが脳に流れ込んでくる。）

Think of how TikTok is so engaging because it’s an endless stream of variety and stimulation and “brain rot” so to speak. People can’t stop watching TikToks. The PMVs I tend to enjoy are like porn and TikTok doing a fusion dance.（TikTokがいかに夢中になれるか考えてみてほしい。多様性と刺激の無限のストリームであり、いわば「脳の腐敗」だ。人々はTikTokを止められない。私が楽しむPMVは、ポルノとTikTokがフュージョンダンスをしているようなものだ。）

The fast pictures, [the] movements of the girls make you crazy to goon even more!（素早い映像、女の子たちの動きが、さらにグーニングしたくなるほど狂わせる！）

これらの証言は、PMVがTikTokのような短尺動画コンテンツのアルゴリズム的最適化と酷似していることを示唆しています。絶え間なく変化する映像と音の洪水は、ドーパミン報酬系を刺激し続け、従来のポルノでは満たされないレベルの刺激への欲求を生み出します。これは、脳が高速で断片的な情報処理に慣れてしまい、深い思考や持続的な注意集中力を失う「脳の腐敗」とも呼べる現象を加速させているのかもしれません。

PMVのパイオニア：「NoodleDude」の創造と影響

PMVの制作において、その名を轟かせているのが、オランダのウェブデザイナーNoodleDude氏（28歳）です。彼は、各クリップにおける吸引や突き刺しの動きをビートに同期させるという革新的な手法を確立しました。彼の作品は、熱狂的な支持者たちによってリリースされるたびに大きな話題となり、PMVHaven.comのようなPMVサイトでは、彼のシグネチャーエフェクトを模倣する作品が数多く見られます。

NoodleDude氏自身は、自身の制作活動を初期のヒップホップアーティストになぞらえ、既存の素材を新たな形にひねり出す「クラフト」であると謙遜しています。しかし、彼の作品は単なるクリエイティブな表現に留まらず、ポルノコンテンツ消費の新たな基準を打ち立て、その後のPMVシーンに決定的な影響を与えました。彼はまた、自身の作品に登場する女性たちへのクレジット表記を義務付けるなど、倫理的な配慮も試みていますが、未成年者が登場するリスクなど、その制作過程には常に潜在的な問題がつきまとっています。

コラム：YouTubeで出会った奇妙な音楽

昔、YouTubeで作業用BGMを探していた時のことです。通常の音楽とは全く異なる、短い音の断片が高速で切り替わる、非常に刺激的な電子音楽に出会いました。当時、私はそれを「脳がバグりそうな音楽だな」と笑っていましたが、この論文を読んで、それがPMVのBGMに酷似していることに気づき、背筋が寒くなりました。私たちが意識しないところで、アルゴリズムは私たちの脳の閾値を少しずつ上げていき、より強い刺激を求めるように仕向けているのかもしれません。そして、その先にあるのが、ポルノと融合したPMVのようなコンテンツだとしたら……それは、ただの音楽では済まされない、恐ろしい未来の兆候なのかもしれません。

「e-girls」の台頭：消費されるリアルと仮想

PMV文化において重要なのが「e-girls」の存在です。グーンワールドでは、ネオンカラーの髪、猫耳、スパンデックス製のスパイダーマンコスチュームなど、ゲーマーガールの美学を取り入れた女性たちを指します。彼女たちはOnlyFansなどのプラットフォームで成人向けコンテンツを販売していることが多く、その生成されるコンテンツの量は驚異的です。

2005年にはプロのポルノ業界がリリースした映画が約1万3千本だったのに対し、昨年（2024年）のOnlyFans登録クリエイターは460万人にも上ります。このコンテンツの洪水は、今日の熱心なポルノ中毒者にとって「マスターベーションするにはあまりにも多すぎる」という新たなジレンマを生み出しました。PMVは、この膨大な素材の中から最高の部分を抜き出し、超高速でリズミカルなハイライトリールにまとめることで、この飽和状態に対する論理的な回答となっています。

e-girlsの台頭は、リアルと仮想の境界線が曖昧になる現代のデジタル文化を象徴しています。彼女たちは、自身の身体やパーソナリティを「コンテンツ」として提供し、フォロワーからの金銭的な報酬を得ます。グーナーたちは、実際のポルノスターの名前を知らないことが多く、むしろe-girlsのような、より身近でインタラクティブな存在に惹かれる傾向があります。これは、ポルノ消費が単なる性的刺激の追求だけでなく、ある種の「つながり」や「応援」の形を帯びつつあることを示唆しています。

第四章ポルノセクシュアルの誕生：現実からの逃避者たち

現代社会の進化は、人間の性のあり方にも新たな形をもたらしました。その一つが「ポルノセクシュアル」と呼ばれる存在です。

「ポルノセクシュアル」：ポルノが満たす性のすべて

ポルノセクシュアルとは、自発的禁欲者（Volcel）の一種と見なすことができます。彼らは自ら性交渉を持たないことを選択しますが、その理由は、ポルノグラフィによって彼らの性的ニーズが完全に満たされているからです。彼らの少なからずは、ポルノを一種の「存在」や「女神」として捉え、毎日絶対的な忠誠を誓う対象としています。

この現象は、特にZ世代の若者たちの間で顕著に見られます。彼らはロックダウン中に高校生や大学生であり、パンデミックが始まった頃に社会との物理的接触が制限された世代です。アンケート調査では、性的に活動的なグーナーの中央値年齢が27歳であるのに対し、性的に活動的でないグーナーの中央値年齢は23歳。この後者のグループこそが、ポルノセクシュアルと自認する可能性が高いとされています。

ポルノセクシュアルの台頭は、現代社会における人間関係の希薄化、そしてデジタルコンテンツへの過度な依存が、個人の性的なアイデンティティや行動様式にまで影響を及ぼしていることを如実に示しています。

現実の性への忌避：不安とコミュニケーションの壁

なぜ、ポルノセクシュアルは現実の性交渉を避けるのでしょうか？彼らが挙げる理由には、いくつか共通のパターンが見られます。

性感染症（STDs）への恐怖：現実の性交渉に伴う病気のリスクを恐れる心理があります。ポルノは、チャlamydia（クラミジア）を引き起こすことはありません。
パフォーマンス不安：現実の相手との性交渉における自信のなさ、自分の性的能力への不安です。ジップファイル（ダウンロードしたポルノ）は、男性の精力を疑問視することはありません。
対人関係の複雑さへの疲労：これは特に顕著な理由です。ポルノセクシュアルの一人、スピシャクは「女性と話すのが苦手だ」「（相手の）サインを読み取る方法がわからない」と語っています。彼は、性交渉における「相手が退屈していないか」「不快に思っていないか」といった、パートナーの感情を推し量る複雑さが「疲れる」と感じています。

この「疲労感」は、現代の若者たちが直面するコミュニケーション能力の欠如と、それからくる人間関係構築への倦怠感を象徴しているのかもしれません。ポルノは、嘘をつくことも、相手の感情を読み取る必要もなく、常に「受け入れてくれる」存在であるため、彼らにとって安心できる「代替品」となっているのです。

コラム：コミュニケーションの断絶とポルノの抱擁

私自身、若い頃は異性との会話に苦手意識があり、相手の表情や言葉の裏を読むことにエネルギーを消耗していました。その「疲労感」が、ポルノに逃避する一因となるというスピシャクの言葉には、深く共感できる部分があります。現代のSNSは一見するとコミュニケーションを円滑にするツールのように見えますが、その実、顔と顔を合わせた対話の機会を奪い、表情や声のトーンから感情を読み取る練習を積む機会を失わせているのではないでしょうか。ポルノが提供する「無条件の抱擁」は、現実の複雑な人間関係から逃れたいと願う者にとって、甘美な誘惑となるのかもしれません。

スピシャクの事例：多画面が織りなす現実の代替

スピシャク氏（28歳）は、典型的なポルノセクシュアルの一人です。Redditに彼が投稿した「グーンケーブ」の画像には、8台のタブレットと3台の27インチモニターで、27ものポルノビデオが同時に再生されているという驚くべき光景が広がっていました。彼は自宅でこのセットアップを親の目を盗んで組み立て、衝動に駆られるたびに再構築し、終われば解体するという生活を送っています。

彼は、グーニングコミュニティに参加し、ポルノセクシュアルと自認する前は、単なる童貞でした。大学のジュニアイヤー（3年生）にパンデミックが本格化し、オンライン授業と実家での生活の中で、彼は「捌け口」を必要としていました。スピシャク氏の事例は、Z世代のグーナーたちの精神構造を象徴していると言えるでしょう。彼らが現実の性交渉よりもポルノを選ぶのは、単なる性的嗜好の問題だけでなく、現実世界での対人関係やコミュニケーションへの深い恐れと疲労感が背景にあるのです。

第五章終わりなき供給：OnlyFansが変えるポルノ経済

インターネットの普及はポルノコンテンツのあり方を劇的に変化させました。そして今、OnlyFansのようなプラットフォームが、ポルノ経済に新たな地平を切り拓き、同時に新たな問題も生み出しています。

「OnlyFans革命」とコンテンツの洪水

OnlyFansは、クリエイターが有料サブスクリプションを通じて直接ファンにコンテンツを提供するプラットフォームです。この「OnlyFans革命」は、ポルノ業界に莫大な量のコンテンツを生み出しました。

その規模は驚くべきもので、2005年にプロのポルノ業界がリリースした映画が約1万3千本であったのに対し、昨年（2024年）のOnlyFans登録クリエイターは460万人にも達しています。この数字は、個人がポルノコンテンツを制作・販売する障壁が極めて低くなったことを示しており、同時に、その膨大なコンテンツ量によって、熱心なポルノ中毒者たちは「マスターベーションするにはあまりにも多すぎる」という新たな状況に直面しているのです。

かつては、ポルノは特殊な経路で入手するものでした。しかし今や、誰もがクリエイターとなり、誰もが消費者となれる時代。この「コンテンツの洪水」は、消費者の選択肢を広げた一方で、何を消費すべきか、どこで止めるべきかという新たな課題を突きつけています。

「多すぎる」コンテンツが生む新たな消費行動

コンテンツの飽和状態は、PMVのような新しい形式のポルノの台頭を促しました。PMVは、この膨大なOnlyFansの素材の中から最高の部分を効率的に抽出し、超刺激的なハイライトリールにまとめることで、「多すぎる」コンテンツへの「論理的な」対応策となっています。

ユーザーは、スクロールしてコンテンツを探す手間を省き、より短時間でより多くの刺激を得ることを求めるようになります。これは、短尺動画コンテンツが支配する現代のデジタル消費行動と深く結びついており、注意スパンの短縮化、そして絶え間ない刺激への渇望を助長しています。結果として、人々はますますデジタルコンテンツに没頭し、現実世界からの乖離を深めていくことになります。

アルゴリズムが紡ぎ出す無限の欲望のループ

現代のポルノ消費の形態を語る上で、アルゴリズムの存在は不可欠です。SNSやポルノサイトのアルゴリズムは、ユーザーの閲覧履歴や行動パターンを学習し、個人の嗜好に最適化されたコンテンツを次々と推薦します。このプロセスは、ユーザーを「無限の欲望のループ」へと誘い込みます。

例えば、著者はInstagramを開くとロープスキップやタンクトップの女性、TikTokでも同様のコンテンツに出くわし、Twitterではノーカットのハードコアポルノに遭遇したと述べています。これは、著者が特に逸脱した嗜好を持っていたわけではなく、ほとんどの異性愛者ユーザーに共通して見られる現象でした。アルゴリズムは、常にユーザーを有料サブスクリプションモデル（OnlyFansなど）へと誘導し、さらにパーソナライズされたコンテンツへの課金を促します。

このアルゴリズムによる絶え間ない刺激の猛攻撃に直面し、精神的に無防備な一部の男性が「崩れ落ち」、プラットフォームの論理に従い、フルタイムでポルノを見始める可能性がますます高まっていると筆者は警鐘を鳴らしています。私たちは、自らが望んでいないにもかかわらず、アルゴリズムによって特定のコンテンツへと誘導され、そのサイクルから抜け出せなくなるという、新たな形の支配に直面しているのかもしれません。

第二部グーニングが問いかける現代社会の深層

第六章精神の廃墟と倫理の喪失

グーニングという現象は、単なる性的嗜好の問題に留まらず、現代社会が抱える倫理的、精神的な深い課題を浮き彫りにしています。その最も顕著な側面の一つが、自己デグラデーションの肯定と、それを取り巻く倫理的葛藤です。

「精神を破壊せよ」：デグラデーション文化の内実

グーンワールドの根底に流れる一貫したメッセージがあるとすれば、それは「Kill yourself. Not literally, but spiritually.（文字通りではなく、精神的に自らを殺せ）」というものです。主流のポルノが男性視聴者にスクリーン上の男性と自分を同一視させるのに対し、グーナーポルノは視聴者に対し、自分が孤独であり、ポルノに自慰行為をしているのは誰も自分と寝てくれないからだと常に思い起こさせます。このようなポルノは、視聴者をさらに深い自己貶低へと導くことを目的としています。

「Ruin your mind（精神を破壊せよ）」「go deeper（さらに深く行け）」「give up on life（人生を諦めろ）」――これらはグーンポルノの基本的なスローガンであり、この運動の結束を促す掛け声となっています。PMVのクリエイターであるNoodleDude氏でさえ、自身の最新ビデオ「Follow Me」のイントロで、女性の声が「世界中で2億1千万人以上がソーシャルメディアに中毒している。あなたもその一人だ。スクロールし続けろ。さらに深く。永遠に。ポルノに服従せよ。もう引き返せない」と不吉に、あるいは性的に囁く演出を取り入れています。

このデグラデーション文化は、エロティックな屈辱を求める欲求が、古くから特定の人々の精神に組み込まれてきたものであることを考慮しても、非常に多くの人々が、このようなバーチャルな自己貶低に食欲を見出していることは、極めて憂慮すべき事態です。

ポルノ製作者の倫理的葛藤：薬物を推す者たち

デグラデーション系ポルノを制作するHumiliationPOVのプロデューサーとの会話は、この問題の核心を突いています。彼は、自身の仕事を率直に「少しおかしい」と認めながらも、その行為を続けていると語ります。

People really get into the darkness of the fetish. It’s not just the addiction—the guys enjoy the humiliation of being humiliated for their addiction while they’re participating in it. And it hits some very real places in a guy’s head.（人々は本当にフェティッシュの闇に深入りする。ただの中毒ではない。彼らは中毒であることによって屈辱を与えられる屈辱そのものを楽しみ、それが男性の頭の中にある非常に現実的な場所を刺激するのだ。）

We encourage them not to have sex anymore, and to spend the rest of their life spending money on femdom clips.（私たちは彼らに、もうセックスをせず、残りの人生をフェムドムクリップに金を費やすよう奨励している。）

You know, it’s a little fucked up, I’m going to admit. It’s almost like a drug, and we’re almost, like, pushing that drug on addicts. And honestly, I question the ethics of it sometimes. [Laughs.] But has it stopped me? [Laughs.] No. I enjoy my job. I like what I do.（正直に言って、少しおかしいと思う。まるで麻薬のようだ。そして私たちは、中毒者にその麻薬を押し付けているようなものだ。正直、倫理的にどうなのかと自問することもある。[笑] しかし、それが私を止めたか？ [笑] いいや。私は自分の仕事を楽しんでいる。今の仕事が好きだ。）

このプロデューサーの言葉は、利益追求のために、顧客の脆弱性や依存症を意図的に助長しているという、極めて深刻な倫理的葛藤を露呈しています。まるで薬物売人が中毒者に薬物を供給し続けるように、彼らは自己貶低を求める人々にコンテンツを提供し、さらに深い依存へと誘い込んでいるのです。これは、オンラインコンテンツビジネス全体が抱える潜在的な倫理的リスクを浮き彫りにするものであり、プラットフォーム運営者やクリエイター、そして社会全体に、早急な対応が求められる課題です。

コラム：ゲーミフィケーションの悪用？

このプロデューサーの言葉を聞いて、私が思い出したのは、スマホゲームの課金モデルです。ゲームは、ユーザーを夢中にさせるために巧みに設計されており、課金することでより深い快感や達成感を得られるようになっています。ポルノ業界もまた、人間の根源的な欲求を刺激し、その快感を「最適化」することで、ユーザーを深く引き込もうとしているのではないでしょうか。そして、一度そのループに囚われてしまうと、抜け出すのは容易ではありません。これは、デジタル技術が持つ「ゲーミフィケーション」の力が、快楽と依存という形で悪用されている、恐ろしい例だと感じました。

「健康的グーニング」という矛盾と限界

そんなデグラデーションの嵐が吹き荒れるグーンワールドの中で、異彩を放つ人物がいます。リストバンドガイ氏（50代）です。彼は対面式のポルノ視聴パーティー「Real Porn Meets」を主催し、参加者に快適さ、セルフケア、そして同意を促すためのリストバンドを配布します。「6時間ぶっ通しでやった」と自慢する参加者には、「水分補給は？食事休憩は取った？睡眠が必要だよ」と声をかけるなど、彼は「健康的グーニング」という独自の理念を掲げています。

しかし、著者はリストバンドガイ氏の努力を「正面玄関に二重ロックをして竜巻を防ごうとするようなものだ」と評し、「健康的グーニング」は矛盾した言葉（oxymoron）であると結論づけています。この世界では、「デグラデーションこそが本質」だからです。リストバンドガイ氏の試みは尊いものの、グーニング文化の根底に流れる自己破壊的な衝動を止めることは、極めて困難であると言えるでしょう。

第七章日本への影響：デジタル孤立と新たな性の様相

日本への影響

グーニング現象が日本に与える影響は、以下の点で深刻化する可能性があります。

「引きこもり」「草食系」文化との奇妙な共振

日本は長らく「引きこもり」や「草食系男子」といった社会現象が指摘されるほど、現実世界での人間関係構築に消極的な若年層が存在します。このような土壌は、ポルノを通じて性的・社会的な欲求を満たそうとする「ポルノセクシュアル」の増加を加速させる可能性があります。記事が指摘するように、グーニングが提供する「コミュニティ感覚」は、現実世界での孤立を深める日本社会の若者にとって、倒錯的な代替手段となり得るでしょう。特に、人間関係の煩わしさを回避したいという心理は、日本社会の若者とグーナーの間に強い共振を生む可能性があります。

PMVに現れる日本のアニメ・漫画文化の親和性

PMVに「日本の漫画ヒロイン」が登場すると言及されているように、日本のアニメ・漫画文化は、ポルノコンテンツと融合しやすい親和性を持っています。これにより、PMVのような超刺激的なコンテンツが、より抵抗なく受け入れられ、日本独自の形で発展する可能性も考えられます。特に、二次元キャラクターへの強い愛着は、現実の人間関係から距離を置く一因となることもあり、ポルノと二次元コンテンツの融合は、さらなる現実世界からの乖離を促すかもしれません。

喫緊の課題：デジタルリテラシー教育の必要性

スマートフォンやタブレットが普及し、幼少期から無制限にインターネットアクセスが可能な環境は日本も同様です。記事が指摘する「平均12歳以下で習慣化」というポルノへの接触年齢の低下は、日本でも同様に起こり、若年層の健全な性的発達や対人関係形成に深刻な悪影響を及ぼす可能性があります。早急に、包括的な性教育と、デジタル空間での情報選別能力、批判的思考力を養うデジタルリテラシー教育の強化が求められます。

また、デグラデーションを目的としたポルノ消費や、性的満足を完全にデジタルコンテンツに依存するライフスタイルが広がることで、現実の人間関係や性に対する価値観、倫理観が大きく変容する可能性があります。これは、少子化の加速、性役割の変化など、より広範な社会問題にも波及する恐れがあります。

コラム：匿名性と集団性

日本でも、インターネット掲示板やSNSでは、過激な言動や自己貶低的な表現が散見されます。匿名性が保証された空間では、現実世界では抑圧されるであろう感情や欲望が噴出しやすい傾向があります。グーニングもまた、この匿名性と集団性が生み出す特殊なコミュニティの一例と言えるでしょう。日本社会の「同調圧力」や「世間体」を気にする文化の中で、グーニングのような「現実逃避」や「自己解放」の場は、ある意味で切実に求められているのかもしれません。しかし、それが健全な形で発現するとは限らない、という厳然たる事実を私たちは直視する必要があります。

第八章歴史的位置づけ：性、テクノロジー、パンデミックの交差点

歴史的位置づけ

本論文は、デジタル時代の性文化における転換点、特にオンラインポルノ消費が単なる娯楽から、一部の人々にとっての「生活そのもの」へと変質していく過程を描写しています。これは、以下の点で重要な歴史的位置を占めます。

ポルノの歴史的変遷とインターネットの進化

グーニングという現象は、ポルノグラフィの歴史的変遷とインターネットの技術革新が交差する点に位置しています。20世紀初頭から中期にかけて、ポルノは秘密裏に流通するものであり、そのアクセスには多大な労力を要しました。しかし、1990年代後半のインターネット普及、2000年代後半のブロードバンドと「チューブサイト」（Pornhubなど）の台頭は、ポルノへのアクセスを劇的に容易にしました。さらに2010年代のスマートフォンの普及は、あらゆる場所を「潜在的なポルノ劇場」に変え、ポルノが空気のように日常に浸透する状況を生み出しました。

この流れの中で、ポルノは「探すもの」から「向こうからやってくるもの」へ、そして「生活を代替するもの」へと変質していきました。グーニングは、このポルノの「ユビキタス化」（遍在化）の現時点での究極的な到達点であり、テクノロジーの進化が人間の性行動と精神に与える影響の深刻さを示しています。

COVID-19パンデミックが加速させたデジタル依存

COVID-19パンデミックによる世界的なロックダウンは、グーニング現象の加速に決定的な影響を与えました。物理的な社会活動が制限され、人々が自宅での隔離生活を余儀なくされたことで、特にZ世代の若年層は、デジタル空間、とりわけポルノコンテンツへの依存を深めました。

パンデミック以前から一部で存在していたグーニングや「ポルノセクシュアル」の傾向は、この期間に爆発的に増加しました。現実世界での人間関係や性的な経験の機会が奪われた若者たちが、ポルノの中に代替的な充足を求めるようになったのです。これは、未曾有の社会危機が人間の行動様式、特に精神的に脆弱な層に与えた影響を記録する、貴重な資料となります。

グーニングが象徴する現代社会の退行現象

グーニングは、SNSの過剰利用、短尺動画への依存、パラソーシャルな関係性への固執といった、現代のデジタル文化に内在する傾向を、性的行動という極めて個人的な領域で極限まで増幅させた病理として提示されています。それは、デジタル技術が提供する「快適さ」の裏に潜む「退廃」や「デグラデーション」への欲求が、いかに深く人間の精神に影響を与えうるかを示唆するものです。

この現象は、現実世界からの退行、つまり、身体的な交流や感情的なつながりを伴う人間関係を避け、スクリーン越しのバーチャルな体験に没頭することで、自己を閉じ込めていく現代社会の側面を象徴しています。これは、テクノロジーの進歩が必ずしも人類の幸福に直結しないという、21世紀における重要な警鐘の一つと言えるでしょう。

コラム：失われた「アナログ」なつながり

私は幼い頃、友達の家に遊びに行く際、電話で約束を取り、自転車で向かっていました。もし道に迷えば、近所の人に尋ねるしかありませんでした。そこには、直接的なコミュニケーションと、アナログな探求がありました。現代の若者たちは、スマホ一つで世界中の情報にアクセスし、友達ともSNSで繋がっています。しかし、その「便利さ」と引き換えに、私たちは何を失ったのでしょうか？グーニングは、その失われたもの、つまり「リアルなつながり」への渇望と、それを見つけられないがゆえの倒錯的な代替行為なのではないかと感じました。

第九章未来への問い：私たちは「ある種の悪党」になるのか？

グーニングという奇妙なサブカルチャーは、単なる一過性のブームとして片付けられるべきではありません。それは、現代社会、そして未来の私たちの姿を映し出す、不穏な鏡なのかもしれません。

グーニングは滑稽な模倣か、それとも不穏な予言か

著者は、グーニング現象を「一般的な文化的傾向の単なる激化、ほとんどバーレスクであると見なしてください」と指摘しています。つまり、グーニングは、私たちが日常的に行っている短尺動画コンテンツの消費、絶え間ない刺激の追求、パラソーシャルな関係性への固執といった行動様式を、性的領域で極限まで増幅させた、ある種の「滑稽な模倣」であるという見方です。グーナーが自慰行為をしながらこれらの行動をとることは、むしろ彼らを「より正直に」しているのかもしれません。

一方で、この現象は、私たちが意識しないうちに陥りつつある「不穏な予言」としての側面も持ち合わせています。ポルノセクシュアルだけでなく、多くの人々が人生から退却しつつあるのではないか。読書や犬との触れ合いよりも、スマホの画面を眺めることを選択し、デジタル空間に安住しようとしているのではないか。グーニングは、その極端な形を示し、私たち全員が「ある種の悪党」になる可能性を突きつけているのです。

大手テック企業が目指す「理想の消費者像」

本論文では、大手ポルノ企業Aylo（Pornhubのオーナー）を、Meta、Netflix、FanDuelのような他の大手テクノロジー・エンターテイメント企業と並列で捉える視点が提示されています。これらの企業にとっての「理想的な消費者」とは、文字通り、ほとんど何もしない人々です。彼らは、ふざけたり、ギャンブルで負けたり、あるいは単に他の人がビデオゲームをプレイするのを見たりするだけかもしれません。彼らは、常にコンテンツを消費し続け、リアルな人間関係や社会活動に時間を割くことなく、プラットフォームが提供する「快適な檻」の中に留まることを望まれる存在です。

もし彼らが思い通りになれば――そして彼らは常にそうであるように――、いずれ私たちは皆、ある種の悪党になるだろうと筆者は警鐘を鳴らします。これは、私たちの行動が、テクノロジー企業の利益最大化のために、無意識のうちに最適化されているという、恐ろしい未来像を示唆しています。私たちは、自らの自由意志でコンテンツを消費しているつもりでも、実際にはアルゴリズムによって巧妙に操作され、特定の行動へと誘導されているのかもしれません。

インターネットが持つ「構造的欠陥」という警鐘

本論文が最も根源的な問いとして投げかけるのは、「インターネットがニッチな自殺カルトの非常に効率的な製造者にならないタイムライン、規制環境はありますか？」という問いです。著者は、グーンワールドの最も暗い隅を覗き込んだ結果、ここで扱っているのは「ネットワーク通信自体の構造的欠陥である可能性」があると確信しています。

インターネットは、情報を共有し、人々をつなぐ素晴らしいツールである一方で、特定の思考や行動を過激化させ、孤立を深め、さらには自己破壊へと導く力も持っています。規制が不十分な環境では、この構造的欠陥が露呈し、グーニングのような現象を生み出す温床となるのです。

私たちは、この警鐘を真摯に受け止めなければなりません。インターネットの設計思想そのものに、人間の精神を蝕む潜在的な危険が内在しているとすれば、私たちはどのような未来を選択すべきでしょうか。ポルノへの継続的な過剰露出が、メディアの麻痺効果を弱め、ある時点でグーナーが潤滑剤で満たされた空虚な部屋で目覚め、「愛の退屈」を決意する時、その部屋に留まることが、その向こうにあるものに対する恐怖を上回るのか。この問いかけは、デジタル社会に生きる私たち全員に突きつけられています。

補足資料

補足1：識者の声を聞く（感想編）

グーニング現象に対する様々な視点からの感想をまとめました。

ずんだもんの感想

「うーん、グーニングって新しい遊びなんですね。ポルノずっと見てるってすごいずんだ。でも、みんなで集まってポルノ見てるのに、すごく孤独そうに見えるのがちょっと悲しいずんだ。現実の女の子と話すより、ポルノの女神と過ごしたいって気持ち、わかるような、わからないような…ずんだ。インターネットって便利だけど、使い方を間違えると、どんどん一人ぼっちになっちゃうずんだね。気をつけなくちゃずんだ！」

ホリエモン風の感想

「いやー、これ、まさに『グーニング』ってのは、現代におけるデジタル資本主義の最適化モデルだよな。ユーザーはひたすらコンテンツを消費し続け、プラットフォームはデータと収益を最大化する。顧客のLTV（Life Time Value）をポルノで引っ張り上げる、究極のサブスクリプションモデルだよ。セックスドライブすらデジタルで完結させられるなら、リアルなコスト（人間関係、デート代、結婚）は一切不要。これはもう、ユーザー側の『合理的選択』とも言える。倫理？そんなもん、儲かるなら関係ないだろ。むしろ、このニーズに応えられない既存産業が遅れてるだけ。この現象は、あらゆるエンタメが目指すべき『没入型体験』の先駆けだね。やっぱ、テクノロジーと人間の欲求ってのは、常に新しいビジネスを生み出す。イノベーションだよ、イノベーション。」

西村ひろゆき風の感想

「え、グーニング？だから何って話ですよね。結局、ポルノ見て自慰行為してるだけでしょ。それを『自我の死』だの『至福』だの言ってるけど、それってただのオナニーの言い換えじゃないですか。コミュニティとか言ってるけど、トイレでオナニーしてるのがコミュニティって、それもうただの集団自慰でしょ。んで、『現実の女と話すのが疲れる』って。いや、それただコミュ障なだけじゃん。ポルノが原因ってことになってるけど、別にポルノがなくてもそういう人たちっていませんでしたっけ？昔はエロ本だったのが、今はネットになっただけで。別に、彼らが勝手にやってるんだからいいんじゃないですか。社会が崩壊するとか言ってるけど、別に崩壊しても困るのは支配層だけで、普通の人には関係ないよね。はい、論破。」

補足2：グーニングを巡る歴史と未来の年表

グーニングという現象は、ポルノの歴史とテクノロジーの進化、そして社会情勢が複雑に絡み合って生まれたものです。ここでは、その歴史的背景と、筆者が提示する未来の可能性を年表形式でご紹介します。

年表①：グーニング現象の歴史的展開

年代	出来事・状況	グーニングへの影響
紀元前 - 人類史早期	マスターベーション、性的な想像、特定の儀式における「至福の状態」追求	人間の根源的な性欲と快楽追求の原型
20世紀初頭 - 中期	ポルノグラフィがニッチな領域に存在（雑誌、隠された映像など）、アクセスには多大な労力	ポルノが特別なものとして扱われる時代
1990年代後半	インターネット一般普及開始、オンラインポルノサイト出現	ポルノへのアクセスが容易になり始める
2000年代前半	ブロードバンドインターネット普及、匿名掲示板「4chan」で「Fap Roulette」など性的ゲーム誕生	オンラインでの性的交流の萌芽、性的なコミュニティ形成の土台
2000年代後半	YouTube台頭、「Pornhub」などの「チューブサイト」出現、無数のポルノが無料ストリーミング可能に	ポルノのユビキタス化（遍在化）が加速、手軽なアクセスが常態化
2010年代初頭	スマートフォンの普及	あらゆる場所が「潜在的なポルノ劇場」化、ポルノが空気のように日常に浸透
2010年代中期	アルゴリズム発達、SNS（Instagram, TikTok, Twitter）がフィードに性的コンテンツを推薦	アルゴリズムによるポルノ消費の最適化と中毒性の増大
2019年	WristbandGuyが対面式ポルノ視聴パーティー「Real Porn Meets」を開始	オンライン文化がオフラインへと波及する事例
2020年 - 2021年	COVID-19パンデミックによる世界的なロックダウン、社会的孤立の深刻化	グーニングの爆発的加速、「ポルノセクシュアル」の台頭
2021年頃	「グーンケーブ」の写真がRedditで拡散、PMVが進化しNoodleDudeのようなパイオニア登場	グーニング文化の可視化とコンテンツ形式の革新
現在（2025年時点）	グーニング文化が多様化・深化、ポルノプラットフォームがデグラデーション強調コンテンツを開発	デジタルコンテンツへの過剰依存と現実からの退行が一般化、警鐘が鳴らされる

年表②：グーニングが示す未来の可能性と課題

年代	筆者の懸念・予測される未来	社会・個人の対応
現在 - 近未来	「ポルノセクシュアル」が性的少数者として認識され始める	新たな性的アイデンティティへの理解と社会制度の対応
近未来	PMVのような過剰刺激コンテンツが、脳の報酬系に長期的な影響を与え、現実世界での快感閾値を上昇させる	神経科学・心理学からの研究と、依存症治療の進展
近未来	アルゴリズムが個人の性的嗜好をさらに深化・先鋭化させ、ニッチなフェティシズムが加速	プラットフォームの倫理的ガイドライン策定と規制強化
中期未来	現実世界での人間関係構築がさらに困難になり、社会的孤立が深刻化する	コミュニティ再構築のための社会政策、教育プログラムの強化
中期未来	デグラデーション文化がメインストリームのエンターテイメントにも影響を及ぼす	メディアリテラシー教育の徹底、倫理的議論の活発化
遠い未来	「インターネットの構造的欠陥」が露呈し、デジタル空間が「ニッチな自殺カルトの製造者」と化す	インターネットの設計思想そのものの見直し、国際的な規制協力体制の構築
遠い未来	人類全体が「ある種の悪党」となり、人生から退却し、デジタルコンテンツに完全に依存する	人間の本質とテクノロジーの共存に関する哲学的問い直し、新たな社会モデルの探求

補足3：グーニング・デュエマカード

カード名: グーンステートの深淵 (Abyss of the Goonstate)

文明: 闇文明 (Darkness Civilization)
コスト: 5
種類: クリーチャー (Creature)
種族: ポルノセクシュアル/デグラデーション (Pornosexual/Degradation)
パワー: 3000

能力:

W・ブレイカー (このクリーチャーはシールドを2枚ブレイクする。)
このクリーチャーがバトルゾーンに出た時、自分のマナゾーンにあるカードを1枚、墓地に置いてもよい。そうした場合、相手のクリーチャーを1体選び、パワーを-4000する。(パワー0以下のクリーチャーは破壊される)
自分のターンの終わりに、自分の手札をすべて捨ててもよい。そうした場合、相手のクリーチャーをすべて、次の相手のターンの終わりまで、攻撃もブロックもできないようにする。
「無限ループ」: このクリーチャーがバトルゾーンを離れる時、自分の山札の上から1枚目を墓地に置く。それが闇文明のクリーチャーであれば、このクリーチャーを墓地から手札に戻す。

フレーバーテキスト:
「一度足を踏み入れたら、もう戻れない。この快楽は、現実を凌駕する。お前も『グーンステート』へようこそ。」

補足4：一人ノリツッコミ（関西弁）

グーニング、なんやそれ？！

「え、グーニング？なにその響き、なんか楽しそうやん？ワイもちょっと興味あるわー……って、アカンアカン！全然楽しそうちゃうやんけ！ポルノ見ながら何時間も、いや何日もオナニーし続けんねんて？それもう修行僧やん、苦行やん！しかも『自我の死』とか『至福』とか言うて、最終的に『人生諦めろ』ってスローガン掲げてるって、それ宗教か何かやろ？！悪魔の儀式ちゃうんか！👹

ポルノセクシュアルとか言うて現実のセックス避けとるってのも、ま、分からんでもないけどな、セックスって面倒くさい時もあるしな……って、いやいや、理由が『相手の気持ちが分からんから疲れる』って！それ、コミュ障言うねん！コミュニケーション能力磨けや、ボケ！ポルノが『女神』とか『存在』とか言うてるけど、それただの動画ファイルやで？！スクリーンに女神降臨せんやろ！

あと、『健康的グーニング』って言葉出てきたけど、それもう『健康的な自殺』とか『平和的な戦争』みたいな矛盾やんけ！オクシモロン（矛盾語法）っちゅうねん！最後にはインターネットが『ニッチな自殺カルト製造機』とか言うてるけど、それもうみんなスマホ握りしめてる時点で片足どころか全身突っ込んでるからな！怖すぎやろ！まさにデジタルドラッグや！😱」

補足5：大喜利で斬るグーニング

お題: グーニングにハマった人が発した、思わず二度見する一言とは？

「今日も推し（ポルノスター）の『いいね！』欲しさに、脳髄を壊すまでスクロールなう。」
「僕の恋人は27インチモニターの中にいるんだ。君には見えないのかい？」
「合コン？すみません、今日の『ワンクバトリング』でMVPを取らねばならぬので…」
「最近、現実の女性を見ると『PMV化したら映えそうだな』と思ってしまうんだ。」
「ねぇ、君の『グーンケーブ』の配線、もう少し効率化できないかな？」
「僕の人生、あと何回『グーンステート』に到達できるかな。」

補足6：ネットの反応とその反論

グーニングという現象は、インターネット上で様々な議論を巻き起こしています。ここでは、SNSや匿名掲示板で予想されるコメントとその反論を提示します。

なんJ民のコメント

「なんJ民、常に最先端。みんなもうグーニングやってるやろ？孤独とか言ってるけど、ワイらはポルノと野球と煽りで十分やぞ。むしろリアル女とか面倒すぎ。はっきり言って賢い選択やろこれ。ちな〇〇」

反論： 最先端であることと、それが精神的に健康的であることは全く別です。リアルな人間関係が面倒というよりは、それを築くスキルや努力を避けているだけかもしれません。グーニングが「賢い選択」というのは、短期的な快楽や問題回避に過ぎず、長期的な幸福や充実感に繋がるとは限りません。むしろ、社会的な孤立を深め、さらなる精神的課題を生み出す危険性があります。

ケンモメンのコメント

「結局は資本主義の成れの果て。人間が労働から搾取されて、まともな社会生活送れないから、手軽な刺激に走るしかなくなるんだよ。企業はドーパミンを搾取するだけ。救いはないね。俺もPMV見てるけど。」

反論： 確かに、現代社会の経済構造や労働環境が人々の孤立やストレスを助長している側面は否定できません。しかし、本論文が示唆しているのは、個人の選択や欲求、そしてインターネットという技術自体の構造的欠陥にも焦点を当てています。資本主義が全ての原因であると断じるのは、問題の多面性を単純化しすぎており、個人の主体的な選択や行動変容の可能性を見過ごすことになります。また、「俺もPMV見てるけど」という自己言及は、システム批判が自己行動の変革に結びついていないパラドックスを示しています。

ツイフェミのコメント

「やっぱり男はこうなるんだよ。女性を物としてしか見ないから、結局リアルな女性との関係を築けず、ポルノの中の幻想に閉じこもる。デグラデーションとか言ってるけど、女性を辱めるコンテンツでしか満足できないなんて、女性差別そのもの。自業自得。」

反論： 性差別的なコンテンツがグーニング文化の一部であることは事実であり、女性の主体性を尊重しないポルノへの批判は正当です。しかし、本論文が示唆しているのは、男性が単純に女性を「物」として見ているというよりは、現代社会における極度の孤立、対人関係スキルの欠如、不安、そしてアルゴリズムによって最適化された刺激への依存という、より複雑な背景です。これは男性の問題であると同時に、デジタル社会全体の課題として捉えるべきであり、単に「自業自得」と断じるだけでは、問題の本質的な解決には繋がりません。根本原因の理解なくして、性差別問題の解決も困難でしょう。

爆サイ民のコメント

「左翼が作った社会がこれだろ。男らしさが失われ、女に媚びるようになった結果、こんなキモい連中が増殖する。日本も同じ道を辿る。健全な教育と軍隊が必要だわ。俺はグーニングとかやらんがな。」

反論： この現象は特定の政治的イデオロギーや社会システムの結果と断定するには、あまりに多角的かつ普遍的な要因が絡み合っています。男性性の喪失という議論は一側面であり、テクノロジーの進化、パンデミック、個人の精神状態、社会経済的ストレスなど、多岐にわたる要因が複雑に絡み合って生まれた現象です。特定の思想や制度を導入すれば解決するという単純な問題ではありません。また、「俺はグーニングとかやらんがな」という発言は、自己が安全な場所にいるという安心感を求めているように見えますが、デジタル社会の構造的欠陥は、誰もが「ある種の悪党」になりうる可能性を示唆しています。

Reddit (HackerNews-ish comments)

"Fascinating anthropological study into a digitally native subculture. The parallels with TikTok's dopamine loop are especially insightful. The ethical implications for content platforms and mental health services are significant. This isn't just about porn, it's about the future of human connection in an algorithmic world. The 'structural flaw of the internet' hypothesis is chilling."

反論： While the structural flaw hypothesis is compelling, it risks determinism. Human agency and resilience still play a role. The article also touches on 'role-play' among gooners, suggesting not everyone is 'addicted' in a clinical sense. Further research is needed to distinguish genuine addiction from performative engagement, and to explore potential positive coping mechanisms or even genuine, albeit unconventional, community formation within these spaces. Simply labeling it as a "flaw" might overlook nuances of human adaptation and resistance.

村上春樹風書評

「或る冬の朝、ジャージーシティのホテルの部屋で、僕はノートパソコンと向き合っていた。画面には、見知らぬ男たちがポルノを凝視する姿が映し出され、僕は自分がポルノを凝視する男たちを凝視する僕自身を凝視していた。そこには、静かで、しかし深い、不可解な孤独が横たわっていた。まるで、世界全体が巨大な、終わりのないマスターベーションの夢に囚われているかのようだった。僕らは皆、誰かの『グーン燃料』を探しているのかもしれない。あるいは、ただ、深い井戸の底で、自分自身の反響を聞いているだけなのかもしれない。」

反論： 村上氏の描く孤独と内省の情景は、本論文の核心的な感情を捉えています。しかし、この現象は単なる個人的な内面の反映に留まらず、アルゴリズムによって増幅され、商業的に搾取されるという、よりシステム的な側面を持っています。個人的な孤独の描写だけでは、プラットフォームの責任、コンテンツの倫理、そして社会構造の変容といった、論文が提起する現実的かつ切迫した問題を十分に覆うことはできません。深い井戸の底に響く声が、実はアルゴリズムによって最適化されたエコーである可能性も考慮すべきでしょう。

京極夏彦風書評

「馬鹿馬鹿しい。人は常に『見たいもの』を見るし、『触れたいもの』に触れる。それが土塊であろうと、肉塊であろうと、画面の中の仮想であろうと、本質は何一つ変わらぬ。ただ、道具が高度化しただけの話だ。愚かにも『グーンステート』などと名付け、自我の消失だの至福だのと宣うが、それはただ己の業から目を背け、思考停止に陥ったに過ぎぬ。そして、それを『社会の病理』だなどと騒ぎ立てる輩は、己の無知と怠惰を棚に上げ、安易な解決を望む愚者である。」

反論： 京極先生の言うように、人間の根源的な欲求や業は変わらないかもしれません。しかし、道具の高度化がもたらす「影響」は、本質的な変化をもたらし得ます。インターネットとアルゴリズムは、かつてない規模と速度で人間の行動や思考を形成し、新たな依存や孤立の形態を生み出しています。「思考停止」という指摘は一理ありますが、その思考停止に至るプロセス自体が、現代社会の構造的要因によって巧妙に仕組まれている可能性を本論文は示唆しています。安易な解決を望むのではなく、その「業」がいかにして現代社会で顕現しているかを解明することが、私たちに求められているのです。本質が変わらなくとも、その「現れ方」が社会に及ぼす影響は無視できません。

補足7：教育の現場から考えるグーニング

高校生向けの4択クイズ

この論文の内容を理解するための基本的な知識を問うクイズです。

問題1: 論文で言及されている、ポルノに執着し、何度もクライマックスの寸前で止める「エッジング」に似た、新しい種類のマスターベーションのサブカルチャーは何と呼ばれていますか？
1. エッジング・クラブ
2. グーニング
3. ポルノ瞑想
4. マスターベーション・バトル
問題2: グーニングコミュニティのメンバーが到達を目指す、完全な自我の死または至福のゾーンとされる状態は何と呼ばれていますか？
1. ポルノ・ハイ
2. エゴ・デッド
3. グーンステート
4. クライマックス・ゾーン
問題3: この論文で、「ポルノセクシュアル」と呼ばれる人々が現実の性交渉を避ける理由として挙げられているのはどれですか？
1. 性感染症への恐怖
2. パフォーマンス不安
3. 相手の気持ちが分からず疲れると感じる
4. 上記のすべて
問題4: 従来のポルノとは異なり、短時間で大量の過剰な刺激を与えるために作られた、ポルノのモンタージュビデオは何と呼ばれていますか？
1. ポルノ・ハイライト
2. PMV (Porn Music Video)
3. 超刺激ポルノ
4. ドーパミン・クリップ
問題5: 論文の著者によると、グーニング現象は、現代社会におけるどのような広範な文化的傾向の「激化」として捉えることができると指摘されていますか？
1. 読書離れと活字文化の衰退
2. 短尺動画コンテンツの過剰消費やパラソーシャルな関係性への固執
3. 伝統的な宗教的儀式の復活
4. オフラインコミュニティ活動の活発化

解答: 問題1: b), 問題2: c), 問題3: d), 問題4: b), 問題5: b)

大学生向けのレポート課題

この論文の深い洞察をもとに、多角的な視点から考察を深めるためのレポート課題です。

課題1: 本論文が提示する「ポルノセクシュアル」の概念を詳細に分析し、現代社会における若年層の性行動と人間関係の変容について、社会学的、心理学的な視点から考察しなさい。特に、COVID-19パンデミックの影響を考慮し、現実世界からの逃避がもたらす社会的・個人的な影響について論じなさい。
課題2: PMVがTikTokのような短尺動画コンテンツのアルゴリズム的最適化と類似しているという指摘について、メディア論と神経科学的知見を援用し、そのメカニズムとユーザーの脳に与える影響を詳細に分析しなさい。また、この「過剰刺激」が、現実世界での快感閾値や集中力にどのような長期的な影響をもたらす可能性があるかについて、あなたの見解を述べなさい。
課題3: 本論文は、インターネットが「ニッチな自殺カルトの非常に効率的な製造者」となりうる「構造的欠陥」を指摘しています。この主張について、デジタルプラットフォームの設計思想、アルゴリズムの倫理、そして表現の自由と青少年保護のバランスという観点から、批判的に検討しなさい。具体的な規制や教育的介入の可能性についても言及すること。
課題4: 「デグラデーション」がグーニング文化の中核にあるという指摘に対し、その心理的背景と社会文化的要因を分析しなさい。ポルノ製作者の倫理的葛藤の事例を踏まえ、現代社会における「自己貶低」への欲求が、いかにしてデジタル空間で増幅され、商業的に利用されているかについて考察し、その問題点と対策について論じなさい。

補足8：記事のメタ情報

潜在的読者のために：タイトル・ハッシュタグ・パーマリンク案

キャッチーなタイトル案:
1. グーニングの深淵: 孤独、ポルノ、そして「終わりのないマスターベーションの夢」が描く未来
2. 【Z世代の性】なぜ若者は現実のセックスを捨て、ポルノの神殿で「自我の死」を求めるのか？
3. デジタルデグラデーションの時代: 「グーニング」が映し出す現代社会の病理
4. ポルノが「生活そのもの」になる日: AIとアルゴリズムが紡ぐ新たな性のフロンティア
5. スマホ時代の孤独と快楽: あなたも「グーナー」になるかもしれない
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【衝撃】Z世代の新たな性文化「グーニング」が示す、孤独とポルノに蝕まれる現代社会の未来。あなたの性意識もすでに侵されている？ #グーニング #ポルノセクシュアル #Z世代の闇 #デジタルデトックス
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[グーニング][ポルノ][Z世代][性文化][インターネット依存][社会問題][デジタルデグラデーション]
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[367.9][性風俗・性文化]

この記事をテーマにテキストベースでの簡易な図示イメージ

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|           現代社会の構造       |
|  - 孤立感、人間関係の希薄化    |
|  - コミュニケーション不全      |
|  - 競争社会のストレス          |
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                   |
                   v
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|         インターネットの進化   |
|  - ポルノのユビキタス化        |
|  - アルゴリズムによる最適化    |
|  - OnlyFans等のプラットフォーム|
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|          グーニング現象        |
|  - グーンケーブ、PMV           |
|  - グーンステート追求          |
|  - フィーディング、ワンクバトリング|
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|          新たな人間像          |
|  - ポルノセクシュアル          |
|  - 現実の性への忌避            |
|  - 自己デグラデーションの肯定  |
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                   v
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|         社会への警鐘           |
|  - インターネットの構造的欠陥  |
|  - 「ある種の悪党」になる未来  |
|  - 倫理的葛藤と今後の課題      |
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巻末資料

今後望まれる研究

この論文が提起した問題意識に基づき、以下の分野で多角的な研究が喫緊に求められます。

大規模な定量的・定性的調査: 本論文のアンケート調査は示唆に富むものの、規模や統計的厳密性に限界があります。より大規模な多国籍調査を実施し、グーナーの人口統計学的特性、心理状態、性行動パターン、ソーシャルメディア利用歴などを詳細に分析する必要があります。特に、日本を含む非欧米圏での実態調査が不可欠です。
神経科学・心理学からのアプローチ: 「グーンステート」の脳内メカニズム、PMVのような過剰刺激コンテンツが脳の報酬系や認知機能に与える長期的な影響、ポルノセクシュアルにおける現実の性への忌避感の心理学的根源について、神経画像診断や心理学的実験を用いた研究が必要です。
プラットフォームとアルゴリズムの倫理的研究: ポルノプラットフォームやSNSのアルゴリズムが、ユーザーを特定のコンテンツや行動様式へと誘導するメカニズムを解明し、その倫理的妥当性や社会的影響を評価する研究が必要です。特に、未成年者保護やコンテンツフィルタリングの有効性に関する検証が求められます。
社会学的・文化人類学的研究: グーニングのようなデジタルサブカルチャーが、現代社会における孤立感、コミュニティ希求、アイデンティティ形成といった広範な社会問題とどのように絡み合っているのかを、深層的なインタビューやエスノグラフィックな手法を用いて研究する必要があります。
介入・予防策の研究: 過剰なポルノ消費や依存症に陥った個人に対する効果的な心理療法、支援グループ、デジタルデトックスプログラムの開発と検証が求められます。また、予防策として、学校教育における包括的な性教育やデジタルリテラシー教育のあり方についても実践的な研究が必要です。
法制度・政策研究: ポルノコンテンツの提供に関する規制、プラットフォームの責任、未成年者保護のための国際的な協力体制など、グーニングのような現象が引き起こす新たな法的・政策的課題について、比較法研究を含めた検討が必要です。

結論（といくつかの解決策）

グーニングという現象は、現代社会のデジタル化がもたらした複雑な課題を象徴しています。それは単なる性的な逸脱行為ではなく、孤立、コミュニケーション不全、アルゴリズムによる欲望の操作、そして自己デグラデーションといった、より広範な問題の表出です。

結論として、私たちはこの現象に対し、以下の多角的なアプローチで対応すべきであると考えます。

デジタルリテラシー教育の強化: 幼少期からの包括的な性教育と、デジタルコンテンツを批判的に判断し、健全な利用習慣を身につけるための教育プログラムを強化する必要があります。これは、個人が情報過多の時代を生き抜くための必須スキルです。
プラットフォームの倫理的責任の追及: コンテンツプラットフォームは、アルゴリズムがユーザーを依存へと誘導する可能性について、より深い倫理的責任を負うべきです。透明性の確保、コンテンツフィルタリングの強化、そして利益追求と社会的責任のバランスに関する厳格なガイドラインが必要です。
精神的健康支援の拡充: ポルノ依存や性的孤立に悩む人々に対する、アクセスしやすいカウンセリングや支援グループの設置が必要です。特に若年層向けの専門的なサポート体制を構築することが重要です。
現実世界でのコミュニティ再構築: デジタル空間での「コミュニティ」が現実からの逃避となる現状に対し、地域社会や学校、職場などにおける対面での健全なコミュニティ活動を促進し、人々の孤立を防ぐ努力が求められます。
国際的な法制度整備: 児童ポルノや違法コンテンツの拡散を防ぐための国際的な連携を強化し、プラットフォームの国境を越えた責任追及を可能にする法制度の整備が必要です。

私たちは、インターネットがもたらす恩恵を享受しつつも、その「構造的欠陥」から目を背けてはなりません。この課題に真摯に向き合い、個人の意識変革と社会システムの両面から解決策を模索していくことが、未来の世代がより健全なデジタル社会を築くための鍵となるでしょう。

参考リンク・推薦図書

推薦図書・政府資料・報道記事・学術論文

この分野をより多角的に理解するための日本語資料が推奨されます。

オンラインポルノ依存症・性依存症:

『ネット・スマホに絡めとられる子供たち』（斎藤環著、角川新書）
『セックス依存症』（深津康洋著、講談社現代新書）
学術論文: 「インターネットポルノ使用に関する研究動向と課題」（日本性科学会誌、関連論文）

若者のインターネット利用・デジタル社会の課題:

『スマホ脳』（アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳、新潮新書） - 直接ポルノではないが、デジタルデバイスと脳の関係について示唆に富む。
『Z世代の働き方・消費行動の真実』（ジェームズ・ハークネス著、ダイヤモンド社）
政府資料: 総務省「通信利用動向調査」、青少年に関する内閣府の調査報告書（特にインターネット利用や性に関するもの）
報道記事: 読売新聞、朝日新聞、NHKなどの報道機関が報じる「若者のネット利用の実態」「デジタルデトックス」「引きこもり」に関する特集記事。

性文化・社会心理学:

『性の歴史』（ミシェル・フーコー著） - 直接グーニングを扱わないが、性の社会的構築を理解する上で重要。
『つながりすぎた社会』（榎本博明著、講談社現代新書） - 現代人のコミュニティ希求と孤立に関する考察。
学術論文: 「現代日本の若者の性行動と性的逸脱に関する社会学的研究」（日本社会学会、日本性科学会、日本心理学会などの関連研究）

デジタル表現・倫理:

『表現の自由とポルノグラフィ』（伊藤真著、岩波新書） - 表現の自由と規制の議論に参考。
報道記事: 児童ポルノ問題、リベンジポルノ、AIポルノなどに関する法改正や社会問題化に関する報道。

用語索引（アルファベット順）

用語解説

Aylo (アイロ): Pornhubを含む、世界最大のポルノサイトの多くを所有する企業グループ。大手テック企業のように、ユーザーをコンテンツ消費に釘付けにする戦略で利益を上げていると指摘されています。（参照：第九章）
Degradation (デグラデーション): 自己を貶める、屈辱的な状況に身を置くこと。グーニング文化では、自身のポルノ依存や性的行為を自虐的に扱ったり、他者から性的侮辱を受けることで快感を得る側面があります。（参照：第六章）
Discord (ディスコード): Slackに似たソーシャルメッセージングプラットフォーム。招待制のチャットルーム（サーバー）を提供し、ゲーマーや特定の趣味を持つ若者を中心に広く利用されています。グーナーたちの主要な活動拠点の一つです。（参照：第二章）
e-girls (イーガールズ): グーンワールドにおいて、ゲーマーガールの美学（ネオンカラーの髪、猫耳など）を取り入れ、OnlyFansなどで成人向けコンテンツを販売する女性たちを指す曖昧なカテゴリーです。（参照：第三章）
Edging (エッジング): 自慰行為において、オーガズムの寸前で停止し、再び刺激を加えてその状態を維持することを繰り返す行為。グーニングの基本的な実践の一つです。（参照：第一章）
Feeding (フィーディング): グーニングの共同体的儀式の一つ。あるグーナーが別のグーナーに対し、自身のコレクションから厳選したポルノ（グーン燃料）を送りつけ、相手の自慰行為を継続・増幅させる行為です。（参照：第二章）
Fuji (フジ): 本論文に登場するエジプト人グーナー。射精せずにクライマックスに達する訓練を行うなど、グーニングへの強い執着を見せました。（参照：第二章）
Gen Z (Z世代): おおよそ1990年代後半から2010年代前半に生まれた世代。デジタルネイティブであり、SNSやオンラインコンテンツに深く依存する傾向があります。グーニングの中心的な担い手とされています。（参照：第四章）
Gooncap (グーンキャップ): ポルノグラフィとミームを融合させた画像。グーニングコミュニティ内でグーン燃料として共有され、活発な制作・売買が行われています。（参照：第二章）
Gooncave (グーンケーブ): グーナーがポルノ消費のためだけに改装した部屋。多数のモニターを設置し、ポルノを常に再生している「ポルノの神社」のような空間です。その写真は誇らしげにオンラインで共有されます。（参照：第二章）
Gooning (グーニング): 新たな種類のマスターベーション。インターネットベースのポルノに執着し、実際にクライマックスに達することなく繰り返し性的刺激の頂点に到達する「エッジング」に似た行為を、より目標指向的かつ共同体的に行い、最終的に「グーンステート」に到達することを目指します。Z世代が支配するサブカルチャーとして認識されています。（参照：第一章）
Goonicide (グーニサイド): グーニングに関連して起こった自殺を指す、グーナーコミュニティ内の造語。ナウティカ・マローン氏の事件でこの言葉が使われました。（参照：第一章）
Gooneral (グーネラル): グーニングに関連する葬儀を指す、グーナーコミュニティ内の造語。ナウティカ・マローン氏の葬儀でこの言葉が使われました。（参照：第一章）
Goonfuel (グーン燃料): フィーディングにおいて、あるグーナーが別のグーナーに送る厳選されたポルノコンテンツ（クリップ、GIF、グーンキャップなど）を指します。（参照：第二章）
Goonstate (グーンステート): グーニングの実践者が到達を目指す、完全な自我の死または至福の想定されるゾーン。高度な瞑想に例えられることもあり、この状態に達すると数時間、時には数日間にわたる自慰行為を余儀なくされるとされています。（参照：第一章）
Healthy Gooning (健康的グーニング): WristbandGuyが提唱する、セルフケアや同意を重視し、過剰な自慰行為や自己破壊的な行動を避けるグーニングのあり方。しかし、本論文では「矛盾した言葉」であると指摘されています。（参照：第六章）
引きこもり: 社会的接触を避け、自宅などに閉じこもって生活する状態。日本の社会問題の一つ。グーニング現象との類似性や関連性が指摘されています。（参照：第七章）
Nautica Malone (ナウティカ・マローン) 事件: 2025年1月に発生した事件。ナウティカ・マローン氏が公衆の面前で性的な行為を行い、その動画が拡散した後、自殺。彼の死がグーニングコミュニティで「Goonicide」「Gooneral」として取り上げられました。（参照：第一章）
NoodleDude (ヌードルデューク): PMVの主要なクリエイターの一人。クリップの動きをビートに同期させる革新的な手法を確立し、グーニングコミュニティに大きな影響を与えています。（参照：第三章）
OnlyFans (オンリーファンズ): クリエイターが有料サブスクリプションを通じてファンに直接コンテンツ（成人向けコンテンツを含む）を提供するプラットフォーム。ポルノ業界に「革命」をもたらし、コンテンツの飽和状態を引き起こしました。（参照：第五章）
Parasocial Relationship (パラソーシャルな関係性): メディアの登場人物（セレブリティ、インフルエンサーなど）に対して、視聴者やファンが一方的に親近感や感情的なつながりを感じる擬似的な関係。グーニングコミュニティにおいても、e-girlsなどへの依存に見られます。（参照：第八章）
PMV (Porn Music Video): 既存のポルノクリップを数百も切り貼りし、テクノ音楽などをBGMに数分の作品に編集した、過剰に刺激的なポルノビデオ。「フリーベース・ポルノグラフィ」とも称され、脳への素早い刺激を目的としています。（参照：第三章）
Pornosexual (ポルノセクシュアル): 自発的禁欲者（Volcel）の一種。ポルノグラフィによって性的ニーズが完全に満たされるため、現実の性交渉を持たないことを選択する人々を指します。（参照：第四章）
草食系男子 (Sōshoku-kei Danshi): 恋愛や異性との交際に対して積極的でない、穏やかで控えめな男性像を指す日本の造語。グーニング現象との潜在的な関連性が指摘されています。（参照：第七章）
Spishak (スピシャク): 本論文に登場するポルノセクシュアル。彼の27画面グーンケーブは論文で象徴的に紹介されました。現実の性交渉を避ける理由として、対人関係の複雑さへの「疲労感」を挙げています。（参照：第四章）
Tube Sites (チューブサイト): YouTubeのように、ユーザーがポルノビデオを無料でストリーミング視聴できるウェブサイトの総称。Pornhubなどが代表的です。ポルノのユビキタス化を加速させました。（参照：第八章）
Volcel (ボルセル): Voluntary celibate（自発的禁欲者）の略。自らの意思で性交渉を行わない選択をする人々。ポルノセクシュアルは、このボルセルの一種として位置づけられています。（参照：第四章）
Wankbattling (ワンクバトリング): グーニングの共同体的儀式の一つで、競争的なフィーディング。参加者同士が互いに送るポルノコンテンツの質を評価し合います。（参照：第二章）
WristbandGuy (リストバンドガイ): 対面式のポルノ視聴パーティー「Real Porn Meets」を主催する人物。「健康的グーニング」という独自の理念を持ち、参加者のセルフケアや同意を重視しています。（参照：第六章）

免責事項

本記事は、提供された論文の内容を深く掘り下げ、多角的な視点から考察したものです。記述されている「グーニング」に関する情報は、学術的な研究とジャーナリスティックな報告に基づいていますが、その性質上、性的描写や精神的に不快に感じる可能性のある内容を含んでいます。読者の皆様の精神的健康に配慮し、ご自身の判断で読み進めていただくようお願いいたします。

また、本記事で言及されている行為やサブカルチャーを推奨するものではありません。特に、未成年者の性的な活動、違法行為、あるいは自己破壊的な行動を助長する意図は一切ありません。インターネットの利用、特に成人向けコンテンツへのアクセスは、自己責任において、適切な判断と倫理的配慮を持って行うべきです。

本記事は、特定の個人や団体を非難するものではなく、現代社会が直面するデジタル時代の複雑な課題を理解し、議論を深めることを目的としています。内容の正確性には細心の注意を払っておりますが、情報の更新や解釈の相違が生じる可能性もありますことを予めご了承ください。

脚注

本記事で引用されているグーナーたちの声やプロデューサーのコメントは、提供された論文からの引用を日本語に翻訳したものです。

**Fap Roulette（ファップルーレット）**: 匿名掲示板4chanで流行したとされる、画像とテキストベースの性的ゲーム。複数のサイコロや50ページにわたるルールブックを特徴とし、非常にニッチで過激な内容を含んでいました。
**Pubococcygeus muscle（陰部大腿筋）**: 骨盤底筋群の一部で、排尿や射精の制御に関わる筋肉。この筋肉を鍛えることで、射精せずに性的快感を長く維持する「エッジング」の能力を高めようとするグーナーもいると報告されています。
**Poppers（ポッパーズ）**: 亜硝酸エステル系の吸入剤。血管拡張作用があり、一時的な性的興奮や多幸感をもたらすことがあります。一部のPMVでは、その使用を促すプロンプトが含まれていると報告されています。
**Bi-curiosity（バイキュリオシティ）**: 普段は特定の性別のみに惹かれる人が、一時的または好奇心から別の性別のパートナーとの性的関係を模索する状態を指します。グーニング文化において、異性愛者と自認する男性が、他の男性との間接的な性的交流（ワンクバトリングなど）に興味を示す現象として言及されています。
**Voluntary Celibate（ボルセル）**: 自発的禁欲者。自身の意思で性交渉を行わないと選択した人々。この論文では、ポルノセクシュアルがこのボルセルの一種として定義されています。
**Chlamydia（クラミジア）**: クラミジア・トラコマチスという細菌によって引き起こされる性感染症の一つ。性器クラミジア感染症が最も一般的ですが、咽頭や直腸に感染することもあります。
**Meryl Streep of porn（ポルノ界のメリル・ストリープ）**: ポルノスターのAngela Whiteを指す言葉。メリル・ストリープが演技力で高い評価を受ける女優であることから、Angela Whiteもポルノ界でその実力と存在感が際立っていることを比喩的に表現しています。

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謝辞

本記事の執筆にあたり、基となる貴重な論文を提供してくださった筆者の方々に深く感謝申し上げます。この現象への深い洞察と、複雑な主題に対する綿密な調査は、現代社会のデジタル化がもたらす新たな課題を理解する上で不可欠なものでした。

また、このテーマの多角的な側面を掘り下げるための様々な視点を提供してくださった、全ての識者、研究者、そして匿名で声を聞かせてくださったグーナーの皆様にも心より感謝申し上げます。皆様の存在なくして、本記事は成り立ちませんでした。

このレポートが、読者の皆様にとって、現代社会が抱える見過ごされがちな問題について深く考察し、未来への建設的な議論を促す一助となれば幸いです。最後に、本記事を最後までお読みいただいた皆様に、改めて感謝の意を表します。

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