#地方創生で本当に出生率は上昇するのか #士29
https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=4606
地方創生が本当に出生率を上昇させるのかについて、疑問が投げかけられています。自民党の石破茂氏が地方創生の初代担当大臣に就任したことで、東京一極集中の是正が全国的な出生率向上につながるという考えが広がっています。
しかし、その根拠は仮説に過ぎず、実際には2014年以降、日本全体の合計特殊出生率(TFR)は低下を続けている事実があります。2015年のTFRは1.45でしたが、2023年には1.20まで落ち込み、地方創生の施策が出生率に与える影響は確認できていません。 それにもかかわらず、「地方創生→東京一極集中の是正→出生率の上昇」というロジックに基づいて新たな政策提言が行われています。特に、2024年4月に発表された「人口戦略会議」のレポートでは、東京などの低出生率地域を「ブラックホール型自治体」とし、そこへの人口流入が問題視されています。
しかし、これは東京が原因で出生率が低下しているという見解に基づいています。 東京都のTFRは0.99で最下位ですが、地域別の出生率を比較することは必ずしも適切ではありません。例えば、国勢調査のデータによると、東京都の平均出生率は31.5であり、全国的には42位です。また、東京都心3区の出生率は41.7で、沖縄の次に高い結果となっています。このように、合計特殊出生率と平均出生率の計算方法による誤解が存在します。 出生率の低下が東京だけの問題ではないことも重要です。
日本全体の出生率低迷は、東京以外の地域にも広がっており、東京都の人口をゼロにしても日本全体のTFRは1.20から1.23程度にしか上昇しない計算が成り立ちます。したがって、東京一極集中の是正が日本の出生率を大幅に引き上げるという考えは幻想であると言えます。 日本の出生率低迷の原因は、経済構造や財政・社会保障の持続可能性にも大きく関わっています。出生数の減少トレンドを真剣に反転させるためには、自治体間での人口争奪戦を避け、国が責任を持って少子化対策を実行する必要があると筆者は述べています。
地方創生と出生率上昇の関係について
地方創生が必ずしも出生率の上昇に直結するとは限らないという点が、現在の研究や実態から明らかになっています。
地方創生が出生率上昇に期待される理由
地方創生政策は、地方への人口回帰や地域経済の活性化を目的としています。この政策が出生率上昇に期待される理由は以下の通りです。
- 子育て環境の整備: 地方は都市部と比較して自然が多く、子育てしやすい環境であると期待されます。
- 地域コミュニティの活性化: 地域住民同士のつながりが強固な地域では、子育てのサポート体制が整っている可能性があります。
- ワークライフバランスの実現: 地方では、都市部と比べて通勤時間が短く、仕事と育児の両立がしやすくなる可能性があります。
- 住居費の負担軽減: 都市部と比較して、地方では住宅の価格が比較的安いため、経済的な負担が軽減される可能性があります。
地方創生が出生率上昇に繋がらない可能性がある理由
しかし、地方創生が必ずしも出生率の上昇に繋がらない可能性がある理由もいくつか考えられます。
- 経済的な不安: 地方では、都市部と比較して雇用機会が少なく、収入が不安定な場合もあります。
- 保育所の不足: 一部の地域では、保育所の数が十分でないため、子どもを安心して預けることができないという問題があります。
- 医療機関の不足: 一部の地域では、医療機関の数が十分でないため、出産や育児に関する医療サービスを受けにくいという問題があります。
- 若者の都市部への流出: 若者が都市部へ就職や進学するため、地方の人口が減少してしまう可能性があります。
出生率上昇のためのより具体的な施策
出生率を上昇させるためには、地方創生政策に加えて、より具体的な施策が必要となります。
- 保育・教育環境の充実: 保育所の整備や、小中学校の教育環境の改善など、子育てしやすい環境を整えることが重要です。
- 医療体制の強化: 出産や育児に関する医療サービスの充実を図ることが重要です。
- 雇用創出: 地方における雇用機会を増やし、若者が安心して暮らせる環境を整備することが重要です。
- ワークライフバランスの推進: 男性の育児参加を促進し、男女が共に働きやすい環境を整備することが重要です。
まとめ
地方創生は、出生率上昇のための重要な政策の一つですが、それだけでは十分ではありません。出生率上昇のためには、多角的な視点から政策を検討し、実行していく必要があります。
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地方創生政策が出生率の上昇に寄与しているかどうかについては、現時点で明確な効果が確認されていないというのが実情です。以下にその理由を詳しく説明します。
地方創生政策の背景と目的
地方創生政策は、人口減少や地域の衰退を食い止めるために、2014年から日本政府が推進している政策です。この政策の目的は、東京一極集中を是正し、地方の活性化を図ることにあります。具体的には、地方への人口流入を促進し、地域経済の活性化を目指しています。
出生率の現状
しかしながら、地方創生政策が始まって以降、合計特殊出生率(TFR)はむしろ低下傾向にあります。2023年の出生率は1.20と、過去最低を記録しています。このことから、地方創生政策が出生率の上昇に直接的な効果をもたらしているとは言い難い状況です。
地方創生政策の効果と課題
地方創生政策は、地域間の人口移動を促進することにより、特定の地域では一時的な人口増加が見られることもありますが、全体としては出生率の改善にはつながっていないとされています。また、東京への人口集中が続いており、地方の人口流出を完全に止めることができていないことも課題として挙げられます。
結論
地方創生政策は、地域の活性化や人口流入の促進に一定の効果をもたらしている可能性はありますが、出生率の上昇という観点から見ると、その効果は限定的であると言えます。今後、政策の効果をより高めるためには、地域ごとの特性に応じた施策の展開や、出生率向上に直結する具体的な支援策の強化が求められるでしょう。
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