卒論 ビットコインを擁護し、未来の貨幣を想像する 5 第一部のおわりに

第一部のおわりに

既にビットコインが採掘されて6年ほど経つ。我々が経済問題を考えるときにビットコインなしの世界を考えるのは不可能である。我々はビットコインとどのように付き合っていったらよいだろうか。

 少し前まで貨幣市場は国家独占であったと言える、今様々な暗号通貨が参入し法定通貨も競争を強いられている。その競争は貨幣の利便性や受容性、投資的価値、文化的価値などが比較される。これらの価値を発行体は証明しなければならないが、どうやら政府のお偉方の管理している法定通貨よりも理系オタクの作ったコンピュータプログラムのほうが信用できる、と考える人びとが一定数いるようである。確かに暗号通貨は人類の創りだした貨幣システムのなかで最新のものだ、その利便性は他のどの貨幣より高い、受容性、投資的価値もそれにともなって増してゆくだろう。しかしそれだけでここまで急速に求められる程のものだろうか、否。暗号通貨が信任されているというよりは法定通貨があまりにも不甲斐ない様を晒しているからではないか。暗号通貨はその貨幣市場の中で相当のシェアを占めると思われるが、急速な貨幣の転換は経済に無用な混乱をもたらす、そのために暗号通貨手の転換のスピードを緩める必要がある。通貨当局はもっと法定通貨の信用を高め経済の安定に寄与すべきだ。

 金融危機に株式が脆弱であるように、通貨危機に貨幣は脆弱さを抱えている。ビットコインもまた万能ではない。ビットコインを用いるための最低要件はデバイスとインターネット及びエネルギーである。先進国においてこれらが使用不能になるということはまず無いように思われる。しかし有事の際ネット遮断されることはある。アラブの春のときエジプトでは政府がインターネットを遮断した。中国や北朝鮮では実質的にサイバー空間は国家の支配下にある。他にもコンピュータ・ウィルスやサイバーテロ、量子コンピュータによる技術特異点などでビットコインは価値を失う可能性がある。また電源の喪失などでインターネットにアクセスできなければビットコインで決済することはできない。

 我々は、暗号通貨の利便性にもかかわらず、それでも、法定通貨を廃棄すべきでない。通貨には多様性が求められる。我々は決済のポートフォリオをリバランスすべきである。

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